JD / 法曹認可 / 学費 / 卒業後の進路
法学は、「学位を取ること」と「その国で法律家として働けること」が、はっきり分かれている分野です。 オーストラリアで法曹(lawyer)になるには、必修11科目(Priestley 11)を含む学位 → PLT(実務研修) → 州の認可機関への admission という3段階があり、 認可後もしばらくは監督下でしか実務ができません。 一方で、法学の学位そのものは、法曹にならない人にとっても強い資格です。 このページでは、法曹を目指す道と、法学位を仕事に活かす道の両方を、費用と要件つきで整理します。
Summary
オーストラリアで法曹(lawyer)になるには、①Priestley 11 を含む3年以上の法学の学位 → ②PLT(実務研修) → ③州の法曹認可機関による admission という3段階が必要です。そして admission を受けた後も、2年間は監督下でしか実務ができません。
Juris Doctor はすでに大学を卒業している人が入る3年の大学院レベルの法学位で、学部の専攻は問われません。ボンド大学は3学期制のため2年で修了できます。高校卒業から入るLLB(学部)は3〜4年、二重学位なら5年です。
LLMはすでに法学を修めた人が専門分野を深める課程で、Priestley 11 を含む3年分の法学の学修という要件を、単独で満たす設計にはなっていません。「1年のLLMで資格が取れる」という理解でご相談に来られる方がいらっしゃいますが、そこは分けて考える必要があります。
NSWの法曹認可機関(LPAB)が示す admission の英語基準は Listening 7.0/Reading 7.0/Writing 8.0/Speaking 7.5。Writing 8.0 は非常に高い水準です。しかしオーストラリアの認定ロースクールで法学位を取得した人には、この試験が標準的に免除されます。つまり「オーストラリアで学位を取る」こと自体が、この壁を越える手段になっています。
PLT課程にはCRICOS登録があるもの(College of Law のシドニー校=学生ビザで就学可)と、登録がないもの(UNSWの課程は「CRICOS登録なし。留学生は学生ビザ以外のビザが必要」と明記)があります。ここを確認せずに大学だけ決めると、卒業のタイミングで足止めされます。
JDの授業料(CRICOS登録額)はボンド大学 152,150(2年)からANU 193,739(3年)まで。PLTを加えた合計では A$165,260 〜 206,849、差は A$41,589 です。さらにボンド大学は在学が1年短いぶん、生活費も1年分少なくなります。
UTSが Juris Doctor 向けに用意している20%減額の奨学金は、オーストラリア国籍・NZ国籍・永住権保持者のみが対象で、留学生は応募できません。一方で、大学が留学生全般に出している成績ベースの奨学金は法学の学生も対象になります。制度があるかではなく、自分が対象かで見てください。
マッコーリー大学が公表しているJD卒業生の職種一覧には、企業内弁護士、コンプライアンスオフィサー、契約マネージャー、政策アドバイザー、規制対応アドバイザー、リーガルテクノロジスト、調停人、外交官などが並びます。「法廷に立つ」以外の使い道が、最初から想定されている学位です。
01 — Degree vs licence
日本で「法律を勉強したい」と言うとき、そこにはふたつの違う願いが混ざっていることがよくあります。「法律という仕組みを学びたい」のか、「法律家として働きたい」のか。オーストラリアの制度は、この2つをかなりはっきり分けています。
学位を取った時点で完結します。契約、会社法、不法行為、憲法、行政法、証拠法。これらは法曹にならなくても、企業の法務・コンプライアンス・契約管理・規制対応でそのまま使う知識です。オーストラリアの法学教育は判例を読み込む訓練が中心で、英語で長文を読み、論点を立て、書いて反論するという作業を3年続けることになります。
州・準州の法曹認可機関に admission(法曹認可)を受け、実務証明書(practising certificate)を取得してはじめて実務ができます。オーストラリアには「弁護士」という一語の資格はなく、solicitor(事務弁護士)と barrister(法廷弁護士)に分かれています。認可は各州・準州が行うため、「オーストラリアの弁護士」ではなく「NSW州で認可された法曹」という単位で考えます。
この2つの間には、学位のあとにもう1段階あります。PLT(Practical Legal Training/実務研修)です。「法学部を出れば法曹」という設計ではなく、「学位+実務研修+認可」の3点セットになっています。
日本では、法科大学院(または予備試験)→ 司法試験 → 司法修習 → 弁護士登録という一本道が基本です。オーストラリアの制度は、似ている部分と、決定的に違う部分があります。
オーストラリアには日本の司法試験にあたる全国統一試験がありません。かわりに Priestley 11 という11の必修科目を含む学位を修めたかどうかが、学歴要件の中身になります。合格率で人数を絞る仕組みではありません。
認可機関はNSWの Legal Profession Admission Board、ビクトリア州の Victorian Legal Admissions Board、西オーストラリア州の Legal Practice Board など、州ごとに存在します。ただし全国的な統一規則(Uniform Admission Rules)があるため、学修要件の中身は共通しています。
admission の申請では good fame and character(善良な評判と人格)/fit and proper person(適格者)であることを示す必要があり、不利な事情がある場合は自分から開示する義務があります。開示すべき事項はLACCのガイドラインに示されています。
02 — Three stages
順番に見ていきます。この順番を入れ替えることはできません。
すでに大学を卒業している方は、こちらが基本になります。学部の専攻は問われません。理系・文系を問わず出願でき、むしろ知財なら理工系、税務なら会計系というように、前の学位が専門分野の武器になる設計です。ただし成績(GPA)で選抜されます。
商学・国際関係・心理学などとの二重学位(combined degree)にすると5年前後になり、卒業時に2つの学位が残ります。ただし、日本の高校卒業だけでオーストラリアの学部に直接出願できるとは限りません。大学によってはファウンデーションコースや日本の大学1年修了が求められます。志望校ごとに扱いが違うため、個別確認が必要です。
ビクトリア州法曹認可機関(VLAB)の案内では、学歴要件は「少なくとも3年フルタイム相当の法学の学修」を含む承認された高等教育課程を修了することとされ、そこに11の必修科目が指定されています。この11科目を「全学生が履修する設計になっている課程」だけが、認可のための学位として認められます。(科目の一覧はこちら)
学位のあと、次のいずれかで実務研修の要件を満たします。
ただし、どちらを選んでも「倫理と職業責任」「弁護士の技能」「リスクマネジメント」の要素は、認定PLTプロバイダーで修了する必要があります(VLABの案内)。統一基準では、PLTは75日相当の監督下の実務経験、またはそれと同等の構造化されたコースワークとされ、法律文書の作成、法廷弁論、依頼者面談、交渉、倫理的判断といった技能を、模擬と実地の両方で扱います。
学位とPLTが揃ったら、州・準州の法曹認可機関に admission を申請します。ここで人格要件(good fame and character/fit and proper person)が審査され、不利な事情があれば開示する必要があります。VLABは「希望する認可日の最低3か月前に申請を開始すること」を案内しています。
ここが見落とされやすい点です。admission を受けても、それだけでは自由に実務ができるわけではありません。実務を行うには別途 practising certificate(実務証明書)が必要で、新しく認可された法曹には「監督下でのみ実務を行うこと」という条件が付きます。NSWではフルタイム24か月(パートタイムは相当期間)、南オーストラリア州でも2年とされています。
しかも、期間を満たしても条件は自動的には外れません。NSW法曹協会は「必要な監督下実務期間を終えても、条件の削除を申請して認められるまでは、条件は実務証明書に残る」と案内しています。手続きを忘れると、そのまま制限が続きます。
03 — Six facts
この分野は、入口の情報と実際の構造の落差が大きい領域です。パンフレットには書かれにくい6点を先にお伝えします。
これが最も多い誤解です。Master of Laws はすでに法学の学位を持っている人が、国際法・商事法・知財法などの専門分野を深めるための課程です。期間は1年程度で費用も抑えられます。しかし法曹認可の学歴要件は「Priestley 11 を含む3年以上の法学の学修」です。1年のLLMは、この要件を単独で満たす設計になっていません。ただしLLMには別の価値があります。日本で法学部を出た方、企業法務の実務経験がある方が、英語で国際取引法や競争法を学び直すには非常に効率のよい課程です。目的が「資格」なのか「知識と英語」なのかで、選ぶものが変わります。
NSWの法曹認可機関(LPAB)は、admission の申請者に対して IELTS Academic で Listening 7.0/Reading 7.0/Writing 8.0/Speaking 7.5 という最低スコアを示しています。試験結果は申請時点で2年以内、General Training ではなく Academic であることも条件です。ただし、オーストラリアで認定されたロースクールで法学位を取得した人には、標準的な免除があります。免除は認可審査の過程で書類にもとづいて与えられ、別途の申請は不要とされています。つまり「オーストラリアでJDを取る」ことが、この壁を越える手段になっています。
JDを修了しても、PLTを終えなければ admission を申請できません。そしてPLT課程には学生ビザで就学できるものと、できないものがあります。UNSWの Graduate Diploma in Legal Professional Practice は、公式ページに「この課程はCRICOS登録されていません」「留学生はこの課程に出願するために、学生ビザ以外のビザ(たとえば卒業生ビザ)が必要です」と明記されています。一方、College of Law のシドニー校の Graduate Diploma of Legal Practice は CRICOS登録があり(コースコード 069734C)、学生ビザの対象になります。最初から3段階をひとつの計画として組んでください。
ディーキン大学のJuris Doctorは、公式ページで「100%オンラインの学習モデル」と説明されており、開講場所も「オンライン」と記載されています。3年フルタイム(またはパートタイム相当)で、大学は「ビクトリア州のトップ3ロースクールのひとつ」と紹介しています。ただし、オンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。すでにオーストラリアで就労できるビザを持っている方や、日本にいながら学位を取りたい方には選択肢になりますが、「留学して学ぶ」という前提とは別のものです。
UTSは Juris Doctor の学生向けに Dean’s Academic Merit Scholarship を用意しています。内容は残りの各セッションの授業料を20%減額、年10名(オータム5名・スプリング5名)が対象です。しかし応募資格は「オーストラリア国籍、ニュージーランド国籍、または永住権・特別人道ビザの保持者」であり、留学生は対象外です。これは珍しいことではありません。法学分野は国内学生向けの制度が厚く、留学生向けの分野特化型奨学金は多くありません。
admission は「ゴール」ではなく「スタートライン」です。新しく認可された法曹の実務証明書には「監督下でのみ実務を行うこと」という条件が付き、NSWではフルタイムで24か月これを続ける必要があります。つまり、認可の直後は「監督してくれる勤務先」を確保していることが前提になります。これは資格の問題ではなく、就職の問題です。在学中から法律事務所・法務部門とのつながりを作っておくことが、この分野では制度上ほぼ必須になります。
04 — Degrees
| 学位 | 誰が入るか | 期間 | 法曹認可の学歴要件 | 向いている目的 |
|---|---|---|---|---|
| LLB Bachelor of Laws | 高校卒業から 進学準備課程が必要な場合あり | 3〜4年 二重学位は5年 | ✓ 満たす | 高校からオーストラリアで法曹を目指す。他分野との二重学位で幅を持たせる |
| JD Juris Doctor|留学生の主流 | 法学以外の学士を持つ人 専攻不問 | 3年 ボンド大学は2年 | ✓ 満たす | 社会人・大学卒業者がキャリアを法務方向へ切り替える。前の専攻を専門分野に活かす |
| LLM Master of Laws | すでに法学を修めた人 | 1年程度 | ✗ 単独では満たさない | 日本の法学部卒・企業法務経験者が、国際取引法などを英語で学び直す |
| GDLP Graduate Diploma of Legal Practice | 法学位を修めた人 | 20〜30週 | ─ PLTの課程 | 学位のあとの実務研修。単独では学位要件を満たさない |
※法曹認可の学歴要件は、ビクトリア州法曹認可機関(VLAB)が示す「Priestley 11 の全科目を含む、3年以上フルタイム相当の法学の学修」を基準にしています。個別の課程が要件を満たすかは、各認可機関の認定状況で判断されます。
JDは学部の専攻を問いませんが、成績(GPA)は問われます。公式に確認できた要件は次のとおりです。
| 大学 | 入学要件(学業成績) | 備考 |
|---|---|---|
| ANU | 学士(分野不問)+GPA 5.0/7.0以上 | 「要件を満たしても入学が保証されるわけではない(競争的選考)」と明記 |
| UNSW | 学士(分野不問)+平均70%以上 | 海外の法学位保持者も出願可能 |
| UTS | 学士+GPA 4.5/7.0以上(法学以外の分野) | GPA 4.1/7.0+関連実務経験1年でも可。大学院修了者・博士号保持者にも別枠あり |
| UWA | 学士+GPA 5.5相当以上 | ─ |
| シドニー大学 | 法学以外の分野の学士 | コモンロー以外の国の法学位保持者は単位認定の対象になり得る。留学生の出願締切は12月1日 |
| ボンド大学 | 分野を問わない学士 | コモンロー以外の国の法学位を修めた人には6科目分の単位認定 |
ここは、日本で法学を学んだ方に効いてきます。ボンド大学は「コモンローではない国の法学位を修了した学生に、Juris Doctor に対して6科目分の単位認定を行う」と公式に案内しています。日本の法学部は、まさにこれに該当します。シドニー大学もコモンロー以外の法域の法学位保持者について、単位認定の対象になり得るとしています。
ただし実際に何科目分が認められるかは個別審査です。「必ず短縮される」とは書かれていません。成績証明書とシラバスを揃えて照会するところから始まります。
05 — Universities
ここでは、留学生がJDで出願できる大学のうち、公式情報を確認できたものを挙げます。
キャンベラ | オーストラリア国立大学(ANU)
Juris Doctor(3年・CRICOS 061559M)。15の必修科目(96単位)と9つの選択科目(48単位)で構成され、国際法、行政法、会社法、刑法、契約法、証拠法・訴訟法などを必修で学びます。選択科目には環境・気候法、国際通商法、金融市場と企業買収、情報技術法、国際安全保障法、人権法が用意されています。
入学要件は学士(分野不問)+GPA 5.0/7.0。ただし大学は「ANUのほとんどのプログラムは競争的選考のため、入学要件を満たしても入学が保証されるわけではない」と明記しています。入学は2月と7月の年2回。
シドニー | UNSW(ニューサウスウェールズ大学)
Juris Doctor(3年フルタイム/最長8年パートタイム・CRICOS 068850G)。キャンパスはケンジントンで、一部の授業はCBDキャンパスでも提供されます。入学はTerm 1とTerm 3の年2回。入学要件は分野を問わない学士+平均70%以上で、海外の法学位を持つ方も出願できます。
大学が公表している学費は初年度 A$60,500/修了までの総額 A$193,500で、CRICOSに登録された総額(184,500)とは基準が異なります。どちらも「見直しの対象」と明記されているため、出願時点で照会が必要です。
シドニー | シドニー工科大学(UTS)
Juris Doctor(3年フルタイム/5.5年パートタイム・CRICOS 060932C)。シティキャンパス。オータムとスプリングの年2回入学。大学は課程の説明のなかで「法曹実務に必要な学歴要件には、オーストラリアで3年以上フルタイム相当の法学の学修を含む高等教育課程の修了が含まれる」と、制度そのものを明示しています。
入学要件は法学以外の分野の学士+GPA 4.5/7.0が基本。GPA 4.1/7.0でも関連する実務経験が1年あれば出願可能という枠があるのが特徴です。英語要件はIELTS Academic 総合6.5・Writing 6.0で、今回調べた中では最も低い設定でした。
シドニー | マッコーリー大学
Juris Doctor(3年フルタイム・CRICOS 079539A)。ノースライドのキャンパスで、Session 1(2月)とSession 2(7月)の年2回入学。大学は「Juris Doctorは、法学部卒業生の法曹認可を規制する専門機関の認定を受けており、オーストラリア全土で法曹として認可されるための適切な資格となる」と明記しています。
英語要件は IELTS 総合7.0・Reading/Writing/Listening/Speaking 各6.5と、今回調べた中では高めの設定です。依頼者対応を単位として経験できる仕組みがあることも大学が挙げています。
ゴールドコースト | ボンド大学
Juris Doctor(CRICOS 093923J・プログラムコード LA-43055)。私立大学で年3学期制のため、2年(108週)で修了できます。24科目で構成され、必修の基礎法科目に加えて大学院レベルの選択科目で専門分野を作る設計です。
大学は「Graduate Diploma in Legal Practice と組み合わせることで、Juris Doctor は法曹認可のための承認された学位となる」と説明しています。そして「コモンローではない国で法学位を修了した学生には、6科目分の単位認定を行う」と明記しています。日本の法学部を卒業された方にとっては、ここが実質的な短縮につながる可能性があります。
シドニー/パース | シドニー大学・西オーストラリア大学(UWA)
シドニー大学のJuris Doctorは3年(パートタイム可)で、法学以外の分野の学士が要件です。海外のコモンロー以外の法域で法学位を取得した方は単位認定の対象になり得るとされています。留学生の出願締切は12月1日です。
UWAのJuris Doctorは、学士+GPA 5.5相当が入学要件。修了後の進路について大学は「弁護士、事務弁護士、法廷弁護士、企業内弁護士、裁判官といった法実務が最も一般的な進路だが、政治、国際関係、指導的立場、法律出版といった分野にも進める」と説明しています。さらに商事・資源法、国際法、税法、国際商取引法、鉱業・エネルギー法、中国ビジネス法といった専門課程への進学も用意されています。
※この2校については、留学生向けの年額学費を課程ページ上で確認できませんでした。推測での掲載はしていません。ご希望があれば大学に直接照会し、最新額を無料でお伝えします。
ディーキン大学のJDについて(重要な注意点)。ディーキン大学の Juris Doctor は、公式ページで「100%オンラインの学習モデル」と説明され、開講場所も「オンライン」と記載されています。期間は3年フルタイム(またはパートタイム相当)で、職務経験と過去の資格にもとづく単位認定(RPL)によって、必要単位数が8・12・16・24単位と変わる設計です。
オンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。「オーストラリアに滞在して学ぶ」ことが前提であれば、この課程は選択肢から外れます。逆に、すでに就労できるビザをお持ちの方や、日本にいながら学位を取りたい方には、有力な候補になり得ます。目的によって評価が正反対になる課程です。
06 — Comparison
| 大学 | 期間 | CRICOS登録のコース総額 | 入学要件 | 英語要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ボンド大学 最短・最安 | 2年 (108週) | A$152,150 | 学士(分野不問) | 要確認 | 3学期制で2年修了。非コモンロー法学位に6科目の単位認定 |
| マッコーリー大学 | 3年 (156週) | A$154,000 | 学士 | IELTS 7.0 (各6.5) | 認定を明記。依頼者対応を単位化。年2回入学 |
| シドニー工科大学 (UTS) | 3年 (156週) | A$156,720 | GPA 4.5/7.0 (4.1+実務1年も可) | IELTS 6.5 (W 6.0) | 英語要件が最も低い。実務経験枠あり |
| UNSW | 3年 (174週) | A$184,500 | 平均70%以上 | 要確認 | 大学公表は初年度 A$60,500/総額 A$193,500。海外法学位も出願可 |
| ANU | 3年 (156週) | A$193,739 | GPA 5.0/7.0 | 要確認 | 大学公表は年 A$62,440。国際法・人権法の選択科目が厚い |
| シドニー大学 | 3年 | 要確認 | 法学以外の学士 | 要確認 | 非コモンロー法学位は単位認定の対象になり得る。留学生の締切12月1日 |
| 西オーストラリア大学 (UWA) | 3年 | 要確認 | GPA 5.5相当 | 要確認 | 修了後の専門課程が豊富(資源法・鉱業エネルギー法など) |
| ディーキン大学 | 3年 | ─ | 学士 | ─ | 100%オンライン。学生ビザの対象外 |
※CRICOS(留学生向けコース登録)に記載された「推定コース総額」を2026年8月に確認したものです。大学が課程ページで公表する年額・総額とは算出の基準が異なる場合があります(UNSW・ANUについては両方を記載しました)。「要確認」は、公式ページ上で数値を確認できなかったため推測での記載を避けたものです。ご希望があれば大学に直接照会します。
07 — Tuition
この表の金額は、すべて奨学金を適用する前の「定価」です。実際にお支払いいただく額は、成績ベースの奨学金や、既修得単位の認定による期間短縮によって下がる場合があります。特に法学は、日本の法学部を出た方に単位認定の可能性がある分野です。定価の比較だけで判断すると、順位を読み違えます。
| ルート | JDの授業料 | PLTの授業料 | 合計 | 在学期間 |
|---|---|---|---|---|
| ボンド大学+College of Law | A$152,150 | A$13,110 | A$165,260 | 約2年半 |
| マッコーリー大学+College of Law | A$154,000 | A$13,110 | A$167,110 | 約3年半 |
| UTS+College of Law | A$156,720 | A$13,110 | A$169,830 | 約3年半 |
| UNSW+College of Law | A$184,500 | A$13,110 | A$197,610 | 約3年半 |
| ANU+College of Law | A$193,739 | A$13,110 | A$206,849 | 約3年半 |
いちばん安いルートといちばん高いルートの差は A$41,589、およそ416万円です。同じ「オーストラリアで法曹認可を受けられる資格」に到達するのに、これだけの幅があります。
さらに、ボンド大学の場合は在学期間が1年短くなります。学生ビザの財政要件で示されている単身12か月の生活費は A$29,710。1年短いということは、生活費でおよそ A$29,710 の差が加わるということです。
| 費目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 授業料(JD+PLT) | A$165,260 〜 206,849 | 上の表のとおり。定価 |
| 生活費 | A$74,275 〜 103,985 | 学生ビザの財政要件(単身12か月 A$29,710)を在学期間で換算した概算 |
| OSHC(留学生健康保険) | 年 A$700 〜 900 程度 | 加入は学生ビザの条件 |
| 学生ビザ申請料 | A$2,500〜 | 内務省公表額(2026年8月時点) |
| 卒業生ビザ(485)申請料 | A$5,750〜 | 2026年7月1日に大幅改定されています |
| 合計の目安 | A$245,000 〜 325,000 | およそ2,450万〜3,250万円(1豪ドル100円換算) |
※生活費は住む都市・住居形態によって大きく変わります。ここでは学生ビザの財政要件として内務省が示す金額を基準にした概算であり、実際の支出を保証するものではありません。日本円の金額は1豪ドル=100円で計算した目安で、為替により変動します。
08 — Scholarships
法学は、分野特化型の留学生向け奨学金が多い領域ではありません。そのぶん、「何が対象外か」を先に知っておくことと、「大学全体の制度で何が使えるか」を洗い出すことが重要になります。
| UTS Dean’s Academic Merit Scholarship(Juris Doctor) | 内容 |
|---|---|
| 減額 | 残りの各セッションについて、UTSの授業料を20%減額 |
| 人数 | 年10名(オータムセッション5名・スプリングセッション5名) |
| 条件 | Juris Doctorで46単位以上を修了していること(単位認定を受けている場合はUTSで24単位)、当該セッションの加重平均点が上位であること |
| 対象者 | ✗ オーストラリア国籍、ニュージーランド国籍、永住権保持者、特別人道ビザ保持者に限られます。留学生は応募できません |
この制度を見て「UTSは法学の奨学金が手厚い」と判断すると、留学生の場合は前提が崩れます。奨学金は「制度があるか」ではなく「自分が対象か」で見る必要があります。
多くの大学が、学部を問わず留学生に出す成績ベースの減額制度を持っています。申請が不要で、出願と同時に自動審査されるものもあれば、別途の申請書と締切があるものもあります。後者は、コース出願の締切より早いことがあります。
これが法学では最大のレバーになり得ます。ボンド大学は非コモンロー国の法学位に6科目分の単位認定を明記。1科目分の授業料が浮くだけでも数千豪ドルで、6科目なら奨学金より大きくなることがあります。
ボンド大学の2年課程は、授業料でも生活費でも効いてきます。3年課程との差は、授業料で最大 A$41,589、生活費でさらに約 A$29,710。「奨学金がいくら出るか」より先に、「何年通うか」を見たほうが金額は動きます。
これらはすべて無料です。学校へ直接申し込む場合と比べて、お支払いいただく学費は変わりません。
オーストラリアの大学奨学金一覧を見る09 — English
この分野の英語は、「大学に入るための英語」と「法曹として認可されるための英語」という2つの基準が存在します。ただし、留学して学位を取る方にとっては、後者に救済があります。
| 大学 | IELTS Academic | その他の試験 |
|---|---|---|
| マッコーリー大学 | 総合 7.0/Reading 6.5/Writing 6.5/Listening 6.5/Speaking 6.5 | ─ |
| シドニー工科大学(UTS) | 総合 6.5/Writing 6.0 | TOEFL iBT 79(Writing 21)/PTE 58(Writing 50)/Cambridge C1A・C2P 176(Writing 169) |
| ANU・UNSW・シドニー大学・UWA | 各大学の共通基準(課程ページに数値の記載なし) | ─ |
※課程ページに具体的なスコアが示されていない大学については、推測での記載をしていません。出願前に個別に確認します。
NSWの Legal Profession Admission Board(LPAB)は、法曹認可の申請者は、法実務に従事するのに十分な英語の読み書き・会話能力を持っていなければならないとしたうえで、IELTS Academic の最低スコアを次のように示しています。
| 項目 | Listening | Reading | Writing | Speaking |
|---|---|---|---|---|
| LPABの最低スコア | 7.0 | 7.0 | 8.0 | 7.5 |
Writing 8.0 は、大学院入学の基準(多くは6.0〜6.5)とはまったく別の水準です。またGeneral Training ではなく Academic を受験すること、結果が申請時点で2年以内であることも条件とされています。
ただし、標準的な免除があります。LPABのガイドラインでは、次のいずれかに該当する場合、IELTSの取得が標準的に免除されるとされています。
免除は認可審査の過程で、提出書類にもとづいて与えられます。別途の申請は不要とされています。ただし、英語能力に懸念がある場合には委員会がIELTSの受験を求める裁量を留保しています。
日本はカテゴリーT国に含まれていません。したがって「日本の法学部を出て、日本で弁護士資格を取ってから、オーストラリアで認可を目指す」というルートでは、Writing 8.0 を含むスコアが必要になり得ます。一方、オーストラリアでJDを修了すれば、この試験は標準的に免除されます。これは費用や期間だけでは見えてこない、留学の実質的な価値のひとつです。
なお、これはNSWの認可機関が公表している基準です。他州では運用が異なる可能性があるため、認可を目指す州の機関で必ずご確認ください。10 — Routes
| いまの状況 | おすすめのルート | 期間の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大学卒業(法学以外) | JD 3年 → PLT → 法曹認可 | 約3年半 | GPAが要件。UTSはGPA 4.1+実務経験1年でも出願可 |
| 日本の法学部卒 | JD(単位認定を照会)→ PLT → 法曹認可 | 2〜3年半 | ボンド大学は非コモンロー法学位に6科目分の単位認定を明記。シドニー大学も対象になり得る |
| 日本の弁護士資格を保有 | 州の認可機関に技能評価(skills assessment)を申請 → 指示された追加学修とPLT | 個別審査 | 統一原則にもとづく個別評価。追加学修とPLTの内容は評価書で指定されます。英語はカテゴリーT国以外のためIELTSが必要になり得ます |
| 法学の知識だけ英語で得たい | LLM(1年程度) | 約1年 | 法曹認可の学歴要件は満たしません。目的が資格でないなら効率的 |
| 高校卒業から | LLB 3〜4年(二重学位は5年)→ PLT → 法曹認可 | 約4〜5年半 | 日本の高校卒業だけで直接出願できない大学があります。進学準備課程の要否を大学ごとに確認 |
| すでに就労ビザで在豪 | オンラインのJDも選択肢に入る | 3年 | ディーキン大学は100%オンライン。学生ビザでは就学できません |
日本の弁護士資格をお持ちの方へ。ビクトリア州法曹認可機関(VLAB)の案内では、外国の資格を持つ方は規則11にもとづく技能評価(skills assessment)を申請し、「海外資格の評価に関する統一原則(Uniform Principles for Assessing Overseas Qualifications)」にもとづいて審査を受けます。
評価の結果は評価書(assessment letter)として交付され、認可までに残っている要件 ── 追加で必要な学修(規則の別表2)と実務研修(別表4)が示されます。何科目必要になるかは個別の履修内容次第で、こちらから「◯科目で済みます」と申し上げることはできません。
なお、資格を持たない法学部卒業生は「外国の卒業生(foreign graduate)」、すでに他法域で認可されている方は「外国の法曹(foreign lawyer)」として、それぞれ別の枠で扱われます。
11 — Priestley 11
Priestley 11 は、1992年に法曹認可協議委員会(LACC)が定めた最低学修要件です。委員長を務めた Lancelot John Priestley 判事の名にちなんで、この通称で呼ばれています。Uniform Admission Rules 2015 の別表1に列挙されており、全学生がこの11科目を履修する設計になっている課程だけが、法曹認可のための学位として認められます。
| 科目(英語) | 日本語の目安 | どんな内容か |
|---|---|---|
| Contracts | 契約法 | 契約の成立・解釈・違反・救済。企業法務でそのまま使う中核 |
| Torts | 不法行為法 | 過失、名誉毀損、生活妨害。損害賠償の考え方 |
| Criminal Law and Procedure | 刑法・刑事手続法 | 犯罪の成立要件と刑事手続の流れ |
| Property | 物権法 | 不動産・動産の権利。オーストラリアはトレンス登記制度 |
| Equity (including Trusts) | エクイティ(信託を含む) | コモンローとは別系統の救済法理。信託の設定と受託者責任 |
| Company Law | 会社法 | 会社の設立、取締役の義務、株主の権利 |
| Administrative Law | 行政法 | 行政の決定に対する司法審査 |
| Federal and State Constitutional Law | 連邦・州憲法 | 連邦と州の権限配分。オーストラリア固有の論点が多い分野 |
| Civil Dispute Resolution | 民事紛争解決 | 訴訟手続と、調停・仲裁などの裁判外解決 |
| Evidence | 証拠法 | 何が証拠として認められるか |
| Ethics and Professional Responsibility | 倫理・職業責任 | PLTでも重ねて扱われる、この職業の中核 |
12 — PLT & visa
学位を取っただけでは、法曹認可を申請できません。ここが、留学の計画上でいちばん見落とされる部分です。
College of Law が案内している入学要件は「Priestley 11 のすべてを修了し、法学位の最終試験を終えていること」。成績は問われず、修了しているかどうかだけが見られます。
| PLT課程 | CRICOS登録 | 期間 | 費用 | 学生ビザ |
|---|---|---|---|---|
| College of Law(シドニー校・オンキャンパス) Graduate Diploma of Legal Practice | あり 069734C | 30週 (うち実務15週) | A$13,110 | ✓ 就学可 |
| UNSW Graduate Diploma in Legal Professional Practice | なし | 20週 (0.5年) | 留学生 A$16,000 (国内 A$11,000) | ✗ 不可 |
UNSWは公式ページに次のように明記しています。「このプログラムはCRICOS登録されていません」「留学生がこのプログラムに出願するには、学生ビザ以外のビザ(たとえば卒業生ビザ)が必要です」。そして「留学生は、自身のビザの選択肢について独立した移民アドバイスを受けるように」と案内しています。
つまり、UNSWでJDを修了した方がそのままUNSWのPLTに進む場合、学生ビザから卒業生ビザ(485)への切り替えが前提になります。卒業生ビザの申請料は2026年7月1日にA$5,750へ改定されており、申請時に35歳以下という年齢要件もあります(例外あり)。
一方、CRICOS登録のあるPLT課程(College of Law のシドニー校など)を選べば、学生ビザのまま就学できます。ただし修士(JD)の後に大学院ディプロマへ進む形になるため、学生ビザの延長申請では就学計画の一貫性について説明を求められる場合があります。GSステートメントの組み立てが重要になる場面です。アンアルウェンが一緒に整理します。
この分野で「どの大学を選ぶか」は、実は「その後のPLTをどう受けるか」とセットの問題です。大学だけ決めて出願してしまうと、修了時にビザの選択肢が狭まります。
13 — Career
法学の学位は、法廷に立つためだけのものではありません。むしろ大学が公表している卒業生の進路一覧を見ると、法曹以外の職種のほうが数としては多く並びます。ここでは、大学と政府機関が公表している情報だけを使って整理します。
マッコーリー大学が Juris Doctor の「キャリアアウトカム」として挙げている職種は次のとおりです。
| 分野 | 職種の例 | 法学位が効く理由 |
|---|---|---|
| 法曹実務 | 法廷弁護士・事務弁護士(Barrister or solicitor)、企業内弁護士(In-house counsel) | 認可を受けたうえで、実務そのものに就く道 |
| 企業のリスク・統制 | コンプライアンスオフィサー、契約マネージャー、コーポレートガバナンス・リスクオフィサー、規制対応アドバイザー、リスクマネジメント専門職 | 法令を読み、社内の運用に落とす仕事。認可がなくても就ける領域 |
| 公共政策・行政 | 政策アドバイザー、法令起草の専門職、公務員、政治関連の実務、政治家 | 立法と行政の仕組みを内側から理解している人材 |
| 国際・外交 | 外交官、政治情勢担当官 | 条約・国際法・交渉の素養 |
| 紛争解決 | 調停人(Mediator)、戦略的訴訟担当 | 民事紛争解決が必修科目に入っている |
| アドボカシー・調査 | アドボケイト・ロビイスト、法務リサーチアナリスト | 論点を立てて根拠を積む訓練 |
| 人事・労務 | 従業員関係マネージャー | 労働法と契約法の知識 |
| 環境・技術 | 環境政策担当、リーガルテクノロジスト | 法務と他分野の掛け合わせが職種になっている |
同大学が挙げている雇用先は、法律事務所だけではありません。
西オーストラリア大学も、Juris Doctor の進路について「弁護士、事務弁護士、法廷弁護士、企業内弁護士、裁判官といった法実務が最も一般的な進路だが、政治、国際関係、指導的立場、法律出版といった分野にも進める」と説明しています。
| 項目 | 数値 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 就業者数 | 約99,500人 | 専門職としては規模の大きい部類 |
| 年間の増加 | 約3,600人 | 毎年、新しい席が生まれている |
| 週給の中央値 | 約 A$1,828 | フルタイム非管理職・成人賃金・税引前の中央値 |
| 女性比率 | 約61% | 女性が多数を占める専門職 |
| 年齢の中央値 | 37歳 | ─ |
| パートタイム比率 | 約13% | 柔軟な働き方も一定程度ある |
※Jobs and Skills Australia の ANZSCO 基準の職業プロファイル(2713 Solicitors)にもとづきます。同機関は「ANZSCO基準のデータは今後更新されず、2026年11月に新しいOSCA分類にもとづくデータを公表する」と告知しています。数値は公表時点のものであり、将来の収入や採用を保証するものではありません。
卒業直後の給与については、政府の卒業生調査(Graduate Outcomes Survey)で、2024年の「法学・パラリーガル分野」の国内学部卒業生のうちフルタイム就業者の給与中央値は A$76,000 と報告されています。これは卒業後4〜6か月時点の調査で、国内学生を対象とした数値です。留学生の就職状況を示すものではありません。
最も時間と費用がかかりますが、到達すれば職業リスト上の位置づけは良好です。ただし認可後2年は監督下での実務が条件のため、「監督してくれる勤務先を確保できるか」が実質的な関門になります。在学中の人脈づくりが制度上ほぼ必須です。
認可がなくても就ける領域です。契約管理、コンプライアンス、規制対応、ガバナンス。マッコーリー大学の職種一覧でも、法曹職より数が多く挙げられています。企業の国際部門では、英語で契約書を読める人材が慢性的に足りません。
日本の弁護士資格にはなりませんが、英文契約・国際取引・コンプライアンスの実務力は日本でそのまま評価されます。商社、メーカーの海外部門、外資系企業、法律事務所の国際チーム。「英語で法律を扱える」ことが職種そのものになります。
JDは前の学位が武器になる設計です。理工系なら知的財産法、会計なら税法、医療なら医事法、IT ならデータ・プライバシー法。UWAは修了後の専門課程として、商事・資源法、鉱業エネルギー法、中国ビジネス法などを挙げています。
ここで、はっきりお伝えしておきたいこと。「オーストラリアで法学を学べば、現地の大手法律事務所に入れる」とは申し上げられません。採用は各事務所の判断で、留学生の採用実績や比率は公表されていません。また法曹認可の後も2年間は監督下での実務が必要なため、就職の確保は制度上避けて通れません。
言えるのは、「法学の学位が使える職域は法曹実務よりずっと広い」ということと、「その広さを大学自身が公表している」ということです。入口の時点で法曹一本に絞らず、2つ目・3つ目の道も設計に入れておくほうが、この分野は安全に進みます。
14 — Visa
法律職は職業リストに掲載されています。ただし、この分野には他分野にない構造上の特徴があります。
| ANZSCO | 職種 | CSOL | 技能評価機関 |
|---|---|---|---|
| 271111 | Barrister(法廷弁護士) | ✓ | 州・準州の法曹認可機関 |
| 271214 | Intellectual Property Lawyer(知的財産弁護士) | ✓ | 州・準州の法曹認可機関 |
| 271299 | Judicial and Other Legal Professionals nec | ✓ | VETASSESS(法務官、法務リサーチャー、家事調停人、議会法制官など) |
| 271311 | Solicitor(事務弁護士) | ✓ | 州・準州の法曹認可機関 |
※CSOL(Core Skills Occupation List/中核技能職業リスト)は内務省が公開しているPDFで2026年8月に確認しました。技能評価機関については、内務省の「評価機関一覧」に Legal admissions authority of a state or territory(州・準州の法曹認可機関) が掲載されていることを確認しています。VETASSESSは自社ページで、271299の評価対象に Barrister・Solicitor・Legal Executive・裁判官・治安判事・審判所メンバー・知的財産弁護士・コンベヤンサーは含まれないと明記しています。職業リストと指定評価機関はいずれも改定されます。出願時点の最新版で必ずご確認ください。
この分野に固有の構造を、ひとつだけ指摘しておきます。多くの分野では、技能評価(ビザのための要件)と職業登録(実務のための要件)は別の機関が担当します。心理士ならAPSとAHPRA、教員なら評価機関と州の教員登録機関、というように。
ところが法律職では、技能評価を行うのが「州・準州の法曹認可機関」そのものです。つまりビザのための評価と、法曹になるための審査が、同じ機関の同じ枠組みの中にあります。
これは実務上、「オーストラリアで法曹認可を受けられる状態に近づくこと」が、そのまま技能ビザの前提になるということを意味します。法学を「永住のための分野」として選ぶ場合、認可までの3段階を完走する前提で計画を立てる必要があります。
| 段階 | ビザ | できること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 在学中(JD・LLB) | 学生ビザ(500) | 就学、2週間48時間までの就労 | 申請料 A$2,500〜。単身12か月の財政要件は生活費 A$29,710 |
| PLT期間 | 課程による | 実務研修 | CRICOS登録がある課程なら学生ビザ、ない課程なら卒業生ビザなどが必要 |
| 修了後 | 卒業生ビザ(485) | 就労(通常2〜3年。資格による) | 申請料 A$5,750〜(2026年7月1日改定)。申請時35歳以下(例外あり) |
| 認可後 | 482/190/491/189など | 法曹としての就労、永住申請 | 技能評価は州・準州の法曹認可機関。認可後2年は監督下実務の条件が付きます |
15 — Back in Japan
「オーストラリアで法学を学べば、日本で弁護士になれますか」というご質問をよくいただきます。結論から申し上げると、日本の弁護士になる道と、オーストラリアの法学位は接続していません。ただし、別の枠組みが存在します。
日本で弁護士になるには、法科大学院の修了(または予備試験の合格)→ 司法試験 → 司法修習 → 弁護士登録という道筋があります。オーストラリアの法学位(JD・LLB・LLM)は、この受験資格を与えるものではありません。これは制度上、明確に分かれています。
一方で、外国の弁護士資格を持つ人が日本で活動するための制度があります。日本弁護士連合会が案内している外国法事務弁護士(registered foreign lawyer)です。
取り扱える業務は、原資格国の法律および指定を受けた特定外国法に関する事務です。日本法の事務はできず、日本の裁判所の訴訟代理人にもなれません。ただし国際仲裁事件では、日本の弁護士と同等に活動できます。
ここで断定できないこと。「オーストラリアでJDを取れば、日本で外国法事務弁護士になれます」とは申し上げられません。まずオーストラリアで法曹認可を受け、そのうえで3年以上の実務経験を積み、法務大臣の承認を得る必要があります。承認には相互主義の確認も含まれ、判断は法務省が行います。エージェントが結果を保証できる性質のものではありません。
言えるのは、「制度上の枠組みは存在する」「オーストラリアでの認可と実務経験が前提になる」「日本法は扱えない」という3点までです。
これが最も直接的な価値です。商社、メーカーの海外事業部、外資系企業、スタートアップの海外展開。英文契約のドラフトとレビューができる人材は、資格の有無にかかわらず必要とされています。Priestley 11 の契約法・会社法はそのまま実務に接続します。
金融、製薬、テクノロジー。規制が国境をまたぐ産業では、海外の法制度を一次資料で読める人が求められます。マッコーリー大学の職種一覧でも、規制対応アドバイザーやガバナンス職が挙げられています。
外国法事務弁護士は、国際仲裁事件では日本の弁護士と同等に活動できます。民事紛争解決が必修科目に入っているオーストラリアの法学教育は、この領域と相性がよい設計です。
日本の資格に接続することが目的でないなら、話は単純になります。オーストラリアで認可を受け、オーストラリアで働く。職業リスト上の位置づけも整っています。ただし認可後2年の監督下実務が前提です。
16 — How to choose
Priestley 11 を全員が履修する設計になっているかどうかが分かれ目です。LLMは原則として満たしません。「法学を学べる課程」と「法曹になれる課程」は別です。
オンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。ディーキン大学のJDは100%オンラインです。留学して学ぶ前提なら、最初に確認してください。
CRICOS登録の有無で、必要なビザが変わります。UNSWの課程は「CRICOS登録なし・学生ビザ以外が必要」と明記されています。大学と一緒に決めてください。
ボンド大学は非コモンロー国の法学位に6科目分の単位認定を明記。日本の法学部を出ている方には、奨学金より効く場合があります。
UTSは総合6.5(Writing 6.0)、マッコーリー大学は総合7.0(各6.5)。同じJDでも入口の高さが違います。
UTSの法学向け20%減額は、留学生は対象外です。「制度があるか」ではなく「自分が対象か」で確認してください。
法学のご相談では、「1年のLLMで弁護士になれますか」というご質問がいちばん多くいただくものです。制度上、それは成り立ちません。ただ、この誤解自体はとても自然なもので、日本語の情報だけを追っていると、そう読めてしまう書き方が多いのも事実です。
もうひとつ多いのが、「JDを卒業したら、そのまま弁護士として働けると思っていた」というケースです。実際にはPLTと、州の認可申請と、認可後2年の監督下実務が続きます。特にPLTを「どのビザで受けるか」は、大学を決める時点で一緒に考えておかないと、修了時に選択肢が狭まります。
そして、これは前向きな話なのですが ──法曹認可の英語基準(Writing 8.0)は、オーストラリアで法学位を取れば標準的に免除されます。日本の法学部を出て日本から目指す場合との差は、ここに現れます。「留学すること自体が制度上の近道になっている」数少ない分野です。
まずは、いまお持ちの学歴と成績、そして英語のスコアを拝見させてください。法学部を出ていらっしゃるなら、単位認定の可能性を大学に照会するところから始めます。そのうえで、法曹を目指すのか、法務職を目指すのかを一緒に整理します。相談は無料です。
17 — Flow
| 時期 | やること | アンアルウェンの担当 |
|---|---|---|
| 12〜10か月前 | 目的の確定(法曹認可を目指すか、法務職を目指すか)/志望校の絞り込み/PLTまで含めた3段階の計画 | 無料カウンセリング。成績証明書を拝見して、直接入学できるかを判定します |
| 10〜8か月前 | IELTSの受験計画/既修得単位の認定の照会(法学部卒の方) | 大学への照会。単位認定は回答に時間がかかるため、早めに動きます |
| 8〜6か月前 | 出願書類の準備/成績証明書・卒業証明書の英訳/奨学金の対象要件の確認(留学生が対象かどうか) | 書類作成サポート。対象条件の確認 |
| 6〜4か月前 | 出願/条件付きオファーの受領/英語スコアの提出 ※シドニー大学の留学生締切は12月1日 | 出願手続きの代行。締切からの逆算 |
| 4〜3か月前 | 学費の支払い/CoE(入学許可証)の発行/OSHC加入 | 手続き代行 |
| 3〜2か月前 | 学生ビザ申請/GS(Genuine Student)ステートメント | ビザ申請サポート。GSの作成を一緒に組み立てます |
| 1か月前 | 住居の手配/航空券/渡航準備 | ホームステイ・学生アパートの手配、出発前オリエンテーション |
| 渡航後 | 現地オリエンテーション/履修登録/PLTと就職先の情報収集 | 現地オフィスがサポート。PLTの選択とビザ切り替えの相談も承ります |
18 — Why An Arwen
アンアルウェンの強みは、留学の申し込みだけで終わらない、出発前から進学後まで続く伴走型サポートです。
学校選びや出願手続きはもちろん、進学で重要となるGS(Genuine Student)対策、学生ビザ申請もしっかりサポート。法学は学位のあとにPLTが続くため、就学計画の説明が問われます。ここに時間をかけます。
オーストラリアには提携オフィスがあり、渡航後も学校生活や現地での手続き、困りごとを日本と現地の両方からサポートします。PLTの選択、卒業生ビザ(485)への切り替えについてもご相談いただけます。
一人ひとりに十分な時間をかけるため、サポート人数を毎月12名様限定としています。法学はいまの学歴(法学部かどうか)・成績・目的によって最適なルートが変わる分野です。画一的な案内ではなく、その方の状況に合わせて設計します。
紹介先を幅広く並べるだけではなく、スタッフが実際に学校へ足を運び、授業や校内の雰囲気を確認したうえで、厳選した学校を紹介しています。資料だけではわからないことがあります。
2008年の設立以来、3,000名以上の留学を支えてきた経験と、オーストラリア留学に特化した専門知識を生かしてご提案します。学部から大学院へ進まれた方のサポート実績もあります。
費用や生活面の現実も率直にお伝えします。「LLMでは法曹になれません」「この20%減額は留学生が対象外です」「認可されても2年は監督下でしか実務ができません」──言いにくいことも含めてお伝えするのが、私たちの仕事だと考えています。
「手続きだけを代行するエージェント」ではなく、「留学という大きな挑戦を一緒に考え、現地でも支え続けるパートナー」であること。それが、私たちが他の留学エージェントに負けない一番の強みです。
19 — Free support
学校選びから渡航後のトラブル対応まで、すべて無料でサポートします。学校へ直接申し込む場合と比べて、余分な費用は一切かかりません。
※「無料」なのはアンアルウェンの手配代行サービスです。滞在手配料・寮費・保険料・出願料・PLTの受講料などは別途かかります。
20 — FAQ
Free consultation
「日本の法学部の単位は認められる?」「LLMとJD、どちらを選べばいい?」「PLTはどのビザで受けるの?」 この分野は、入口の選び方が3年後・5年後の選択肢を決めます。 だからこそ、最初に全体像を持っておく価値があります。ご相談・お見積りはすべて無料で、無理な勧誘は一切いたしません。
新規サポート 毎月12名様限定21 — Related
法学と近い分野、あわせて検討される方が多いページをまとめました。
最終更新日:2026年8月20日/執筆・監修:アンアルウェン 留学カウンセリングチーム
本ページのコース内容・学費・入学条件・法曹認可制度・英語基準・奨学金・職業リストは、各大学、州の法曹認可機関、CRICOS(留学生向けコース登録)、Jobs and Skills Australia および内務省の公式情報をもとに、アンアルウェンが2026年8月時点で確認・翻訳・整理したものです。
学費は、比較の基準を揃えるためCRICOSに登録された「推定コース総額」を主に用い、大学が課程ページで公表する年額・総額がある場合は併記しました(UNSW・ANU)。シドニー大学・UWA・ボンド大学の英語要件など、公式ページ上で数値を確認できなかった項目は「要確認」とし、推測での記載はしていません。
学費・入学要件・奨学金の条件・法曹認可の基準・職業リスト・ビザ関連の金額は年度により変更されます。出願前には必ず最新情報をご確認ください。アンアルウェンでは学校担当者に直接確認のうえ、最新情報を無料でお伝えしています。
※ 学費の日本円換算は1豪ドル=100円で計算した概算です。実際の負担額は為替により変動します。
※ 冒頭のOUTCOMEは Jobs and Skills Australia の職業プロファイル(2713 Solicitors)の週給中央値 A$1,828 を52週換算した目安です。同機関はANZSCO基準のデータについて「今後更新されず、2026年11月に新分類OSCAのデータを公表する」と告知しています。将来の収入や採用を保証するものではありません。
※ 法曹認可(admission)の要件・英語基準・監督下実務の条件は州・準州ごとに定められています。本ページではニューサウスウェールズ州およびビクトリア州の機関が公表している内容を中心に整理しています。認可を目指す州の機関で必ずご確認ください。
※ 日本の外国法事務弁護士に関する記載は、日本弁護士連合会が公表している制度の説明にもとづく一般的な情報です。承認の可否は法務大臣が判断します。
※ 本ページの記載は一般的な情報提供であり、個別の移民アドバイスではありません。ビザ・移住に関する判断は、必ず登録移民エージェント(MARA登録)にご確認ください。