このページで最初にお伝えしたいのは、「心理学の学位を取ること」と「オーストラリアで心理士(psychologist)として登録すること」は、長さも難しさもまったく違うということです。
登録までは最短でも6年。学士だけでは足りず、4年目・5年目にそれぞれ選抜があり、最後に1年の実務またはインターンシップが入ります。英語も、大学の入学基準(IELTS 6.5前後)とは別に、AHPRAの登録基準としてIELTS 7.0が要ります。
この構造を知らずに「心理学部に入る」ところだけを決めてしまうと、4年目・5年目で行き先がなくなります。このページでは、6年分の道のりを段階ごとに、費用と選抜条件つきで示します。
DATA ── 心理学留学の要点
このページの結論 ── 3分でわかる心理学留学
CONTENTS
日本語で「心理学を勉強したい」と言うとき、そこにはふたつの違う願いが混ざっていることが多くあります。「人の心の仕組みを学問として学びたい」のか、「資格を取って、人を支援する仕事に就きたい」のか。オーストラリアの制度では、この2つがはっきり分かれています。
3年の学士で完結します。認知、発達、社会、生物学的基盤、心理病理、そして研究法と統計。オーストラリアの心理学は科学(science)として設計されていて、実験計画と統計解析に相当な時間を割きます。「文系だから数字は少ない」という想定は、この分野では当たりません。
AHPRA(オーストラリア医療従事者規制庁)に登録して、はじめて名乗れる名称です。登録を管轄するのは Psychology Board of Australia(PsyBA/心理士委員会)。看護師・薬剤師・理学療法士などと同じ国家登録制度の中にあり、登録なしに psychologist を名乗ることはできません。
この2つの間には、3年分の距離があります。学士(3年)を出ただけでは登録に届かず、4年目・5年目・そして1年の監督下の実務を積んではじめて一般登録に到達します。「オーストラリアの大学で心理学を学びました」と「オーストラリアの登録心理士です」は、履歴書の上でまったく別の意味を持ちます。
日本では、公認心理師(国家資格・2018年に第1回試験)と臨床心理士(民間資格)が並立し、いずれも学部+大学院という設計です。オーストラリアの制度と似ているようで、3点、決定的に違います。
登録を目指さない場合でも、心理学の学士には固有の価値があります。マッコーリー大学が卒業生の進路として挙げているのは、行動支援スペシャリスト、消費者インサイト、データアナリスト、従業員エンゲージメント、市場・社会調査、人事、メンタルヘルス支援ワーカー、リハビリテーション専門職、福祉オフィサーなど。同大学は「Psychologist(さらに学修が必要)」「Counsellor(さらに学修が必要)」と、注記付きで区別して記載しています。
この記載の仕方自体が、この分野の構造をよく表しています。心理学の学士は、人の行動を測り、データとして扱い、根拠をもって説明する訓練です。その技能は臨床以外でも使えます。ただし「心理士」になるには、その先が要ります。
APACは心理学の課程を4段階に区分しています。この区分が、そのまま学修の順番になります。
| 段階 | 相当する課程 | 期間 | 到達点 |
|---|---|---|---|
| Level 1 基礎的コンピテンシー | Bachelor of Psychology/Bachelor of Psychological Science、または他学位内の心理学専攻 | 3年 | 学士。ここでは登録できません |
| Level 2 準専門的コンピテンシー | Honours(4年制学位の4年目)、または Graduate Diploma of Psychology (Advanced) | 1年 | 仮登録(provisional registration)の最低要件 |
| Level 3 専門的実践(5年目) | Master of Professional Psychology(単独)、または修士・博士課程の前半 | 1年 | 5+1ルートのインターンシップに進める |
| Level 4 専門領域(6年目) | Master of Psychology (Clinical) など、Level 3とパッケージ化された課程の後半 | 1年 | 一般登録+専門領域の承認(AoPE)へ |
※APAC(Australian Psychology Accreditation Council)が公表する認定制度の区分にもとづきます。Level 1・2は単独課程としても、4年制学位の一部としても提供されます。
APAC Level 1
Honours/Grad Dip (Advanced)
Level 2
Master of Professional Psychology
Level 3
仮登録での監督下実務
国家試験の合格が必要
APAC Level 1
Honours/Grad Dip (Advanced)
Level 2
Master of Psychology (Clinical) など
Level 3+4
国家試験は原則不要
かつては「4年+2年の実務インターンシップ」で登録に至るルート(4+2)がありました。これは2022年6月30日をもって新規の受付を終了しています。PsyBAは「申請が締め切られた後は、いかなる個人的事情があっても、遅延申請や例外は認めない」という趣旨の説明を公表しています。
5+1ルートを選ぶ場合、一般登録の申請前にこの試験に合格する必要があります。PsyBAが公表している内容は次のとおりです。
この分野は、「入口の情報」と「実際に進んでみたときの構造」の落差が大きい領域です。パンフレットには書かれにくい5点を、先にお伝えします。
心理学の学士(Level 1)に入ること自体は、他学部と大きく変わりません。難しいのはその先です。
UNSWの Master of Psychology (Clinical) の公式ページには、入学要件として「4年制のAPAC認定心理学課程を Honours Class 1(85%)またはそれに相当する成績で修了していること」「その資格は過去10年以内に修了したものであること」が示され、さらに「定員が設けられているため、要件を満たす応募者であっても席を得られないことがあります」と書かれています。
加えて2026年入学については、一部の課程が定員に達し、新規の留学生(New Overseas Student Commencement)の受け入れを停止している旨の告知が出ています。これは制度上の話ではなく、その年ごとの枠の話です。年によって状況が変わるため、出願時期には必ず最新の受け入れ状況を確認する必要があります。
大学の学部に入るための英語(IELTS 6.5 前後)を満たしても、それだけでは登録に必要な英語基準を満たしたことにはなりません。AHPRAの共通基準(English language skills registration standard)は、心理士を含む複数の職種に適用され、IELTS Academic 総合7.0、Listening・Reading・Speaking 各7.0、Writing 6.5 です。
この差は、思っているより大きいものです。IELTS 6.5と7.0の間には、多くの受験者にとって数か月から1年の学習期間があります。しかも Listening・Reading・Speaking は「1項目でも7.0を切ると不可」という設計です。
そして大学側が、AHPRA基準に合わせて入学要件を引き上げている例もあります。ディーキン大学の Master of Professional Psychology は入学時点で「総合7.0かつ全項目7.0」を求めており、AHPRAの基準(Writingは6.5)よりも厳しい設定です。ACUの Bachelor of Psychological Science(学部・3年)も、入学要件が総合7.0(L・R・S 7.0/W 6.5)とAHPRAと同じ水準になっています。
ここを誤解したまま計画を立てると、5年目を終えた時点で行き詰まります。
5+1ルートのインターンシップ1年は、仮登録(provisional registration)を持った状態で、委員会が承認した指導者(Board-approved supervisor)のもとで実務を行う期間です。大学のコースではないため、学生ビザの対象になりません。卒業生ビザ(485)など、就労が認められるビザが前提になります。
さらに、受け入れ先は自分で見つける必要があります。PsyBAのガイドラインでは、その職務が心理学的な性質のものであり、アセスメント・問題の定式化・診断・介入・予防といった心理職固有の業務を含み、一般登録に必要な8つのコアコンピテンシーを一通り習得・実証できる幅を持つことが求められます。「心理系の職場でアルバイトをすれば足りる」という性質のものではありません。
485ビザ(Post-Higher Education Work stream)の滞在期間は、内務省の公表によれば学士(Honours含む)で2年、修士(コースワーク)で2年、修士(研究)・博士で3年です。年齢要件は申請時に35歳以下(一部例外あり)。
つまり5+1ルートの場合、5年目を修了して485を取得し、その2年のうちにインターンシップ1年を終える、という組み立てになります。時間的には収まる設計ですが、「受け入れ先が見つかるかどうか」で実現可能性が決まります。ここは制度ではなく個別の状況の問題なので、「必ずできます」とはお伝えできません。
※485ビザの申請料は2026年3月1日にAUD 2,300からAUD 4,600へ引き上げられました(ICEF Monitor報道)。その後も改定されているため、申請時点の金額は内務省のVisa Pricing Estimatorでご確認ください。
ここまで厳しい話が続きましたが、裏返せばこうも言えます。登録を目指さないのであれば、心理学の学士は3年で完結する、ごく標準的な学位です。
ディーキン大学の Bachelor of Psychological Science は年 AUD 43,000・3年、IELTS 6.5(各6.0)。3年分の授業料は AUD 129,000 です。人事、市場調査、UXリサーチ、行動データの分析、福祉・教育の現場といった進路であれば、この3年で十分な土台になります。
大切なのは、「3年で終える」のか「6年かけて登録まで行く」のかを、入学前に自覚しておくことです。途中で方針が変わること自体は問題ありませんが、6年ルートを目指すなら、学部1年目から成績を積み上げる必要があります。4年目の選抜は、1年目からの成績で決まるからです。
心理学はオーストラリアの多くの大学が開講しています。ここではAPAC認定が確認でき、留学生が出願できる課程を持つ7校を、「どの段階まで自校で揃うか」という観点で整理します。この分野では、これが最も実用的な比較軸です。
この分野でディーキン大学が持つ最大の特徴は、Level 1(学士3年)・Level 2(4年目)・Level 3(5年目)をすべて自校で提供していることです。学部から5年目まで、大学を移らずに進めます。
Bachelor of Psychological Science (Honours) が4年制の一貫課程で、Level 1とLevel 2をまとめて修了できます。4年目を別途出願で取り直す必要がないのが、3年制学位との実務上の違いです(ただし4年目に進むための学内基準はあります)。
Level 1から Level 4(専門領域)まで、1校で通せる数少ない選択肢です。臨床心理学の課程は1971年開設と歴史があります。そのぶん、入学の壁も高くなっています。
Bachelor of Psychology(3年・APAC認定)。北シドニーのNorth Ryde、医療・研究施設が集まるヘルス・プリシンクト内にあります。
Bachelor of Psychology (Honours)(4年)。2024年のオータム学期に開講した比較的新しい課程で、シティキャンパス(シドニー中心部)で学びます。
Australian College of Applied Professions(ACAP)は、心理学・カウンセリングを専門とする私立の高等教育機関です。Master of Professional Psychology(5年目・Level 3)を1年で提供しています。
「学部と4年目は大学で、5年目はACAPで」という組み方ができます。大学の修士課程が定員で埋まっている年でも、選択肢を複線化しておけるのがこのルートの実務的な価値です。
ACUの Bachelor of Psychological Science(3年・APAC Level 1)は、メルボルンとストラスフィールド(シドニー)で開講されています。特筆すべきは英語要件で、学部にもかかわらず総合7.0(Listening・Reading・Speaking 7.0/Writing 6.5)── AHPRAの登録基準とまったく同じ水準です。
入口のハードルは高くなりますが、見方を変えれば「入学時点でAHPRA基準を満たしている」ことになります。6年ルートを本気で目指す方にとっては、後で英語をやり直す必要がないという意味を持ちます。留学生の学費は課程ページに掲載がないため、本ページでは記載していません。
| 学校 | 課程(段階) | 期間 | 学費(定価・年額) | IELTS | 所在地 |
|---|---|---|---|---|---|
| ディーキン大学 5年目まで1校で | BPsychSci(L1) Honours/GradDip Adv(L2) M Professional Psychology(L3) |
3年 1年 1年 |
43,000 43,000/45,400 45,400 |
6.5(各6.0) 6.5(各6.0) 7.0(各7.0) |
メルボルン ジロング |
| クイーンズランド大学 | BPsychSci (Honours)(L1+2) | 4年 | 52,528 (2027年の目安) |
6.5(各6.0) | ブリスベン |
| UNSW | BPsych (Honours)(L1+2) M Psychology (Clinical)(L3+4) |
4年 2年 |
61,000(総額267,500) 58,500(総額122,000) |
大学基準+ AHPRA基準 |
シドニー |
| マッコーリー大学 | Bachelor of Psychology(L1) | 3年 | 要確認 (学費計算ツール) |
6.5(各6.0) | シドニー |
| UTS | BPsych (Honours)(L2・条件付認定) | 4年 | 要確認 | 6.5(W 6.0) | シドニー |
| ACU | BPsychSci(L1) | 3年 | 要確認 | 7.0(L/R/S 7.0 W 6.5) |
メルボルン ストラスフィールド |
| ACAP(私立) | M Professional Psychology(L3) | 1年 (3トライメスター) |
総額 約56,846 | 要確認 | シドニー |
※学費はいずれも各校公式サイトに掲載された留学生向けの金額(AUD)で、2026年8月時点で確認したものです。ディーキン大学は「初年度フルタイム(8クレジットポイント)の概算」、クイーンズランド大学は2027年入学の目安、UNSWは初年度と総額の両方が公式に掲載されているため両方を記載しています。マッコーリー大学・UTS・ACUは、留学生向けの年額が課程ページから確認できなかったため「要確認」としています。推測での記載はしていません。/L1〜L4はAPACの認定レベルを指します。
ディーキン大学は5年目まで、UNSWは6年目まで、1校で通せます。3年制学位の大学(マッコーリー大学・ACU)を選ぶ場合は、4年目で別の課程に出願し直す前提になります。移動そのものは珍しくありませんが、選抜がもう一段増えます。
ディーキン大学は学部6.5、5年目で7.0(各7.0)。入学時に足りていても、5年目で足りなくなります。逆にACUのように最初から7.0を求める学校もあります。どこで7.0に到達するかを、逆算して決めてください。
クイーンズランド大学の25%減額は国籍制限がなく申請不要ですが、ディーキン大学の25%とUNSWの20%は日本が対象国に入っていません。定価だけで並べると、実際に払う額の順番とはずれます。
ここに書く金額は、すべて「定価」です。奨学金や授業料減額が適用されれば下がります。まず定価で全体像をつかみ、そのうえで「アンアルウェンを通すと何が変わるか」を次のセクションでご説明します。
| 段階 | 課程 | 学校 | 期間 | 学費(AUD) |
|---|---|---|---|---|
| Level 1 学士 | Bachelor of Psychological Science | ディーキン大学 | 3年 | 年 43,000 (3年計 129,000) |
| Level 1+2 学士4年制 | Bachelor of Psychological Science (Honours) | クイーンズランド大学 | 4年 | 年 52,528 (4年計 210,112) |
| Level 1+2 学士4年制 | Bachelor of Psychology (Honours) | UNSW | 4年 | 初年度 61,000 総額 267,500 |
| Level 2 4年目 | Bachelor of Psychological Science (Honours) | ディーキン大学 | 1年 | 43,000 |
| Level 2 4年目 | Graduate Diploma of Psychology (Advanced) | ディーキン大学 | 1年 | 45,400 |
| Level 3 5年目 | Master of Professional Psychology | ディーキン大学 | 1年 | 45,400 |
| Level 3 5年目 | Master of Professional Psychology | ACAP | 1年 | 総額 約 56,846 |
| Level 3+4 5・6年目 | Master of Psychology (Clinical) | UNSW | 2年 | 初年度 58,500 総額 122,000 |
| ルート | 内訳 | 就学年数 | 授業料の合計(定価) |
|---|---|---|---|
| ルートA ディーキン大学で通す 最安 |
学士3年(43,000×3)+Honours 1年(43,000)+Master of Professional Psychology 1年(45,400) | 5年 +インターン1年 |
AUD 217,400 (約2,174万円) |
| ルートB クイーンズランド大学+ACAP |
Bachelor of Psychological Science (Honours) 4年(52,528×4)+ACAPのMaster of Professional Psychology(56,846) | 5年 +インターン1年 |
AUD 266,958 (約2,670万円) |
| ルートC UNSWで通す |
Bachelor of Psychology (Honours) 4年(267,500)+Master of Psychology (Clinical) 2年(122,000) | 6年 | AUD 389,500 (約3,895万円) |
| 項目 | 目安(AUD) | 備考 |
|---|---|---|
| 生活費 | 年 30,000 前後 | 学生ビザの財政要件は単身12か月で 29,710。都市と住まい方で上下します |
| OSHC(海外学生健康保険) | 年 700〜900 | 加入が学生ビザの条件です |
| 学生ビザ申請料 | 2,500 | 2026年7月1日にAUD 2,000から引き上げられた現行額 |
| 卒業生ビザ(485)申請料 | 4,600〜 | 2026年3月1日にAUD 2,300から引き上げ。その後も改定されているため申請時に要確認 |
| National Psychology Exam | 450/回 | 5+1ルートの場合に必要 |
| AHPRA登録料 | 要確認 | 仮登録・一般登録それぞれに費用があります。年度で改定されます |
授業料と生活費を合わせた6年間の総額は、およそ AUD 370,000〜570,000(約3,700万〜5,700万円)になります。この分野は、留学のなかでも最も長く、最も費用がかかる部類です。その前提で計画を立てる必要があります。
※日本円換算は1豪ドル=100円で計算した概算です。実際の負担額は為替により変動します。/5+1ルートのインターンシップ1年は授業料が発生しない代わりに、給与を得ながら生活する期間になります。
このセクションは、このページで最も実利的な部分です。「留学生向けに20〜25%の授業料減額があります」という案内は各大学のサイトに並んでいますが、対象国リストを開くと、日本が入っていないことがあります。
| 制度 | 大学 | 減額 | 日本国籍 | 条件 |
|---|---|---|---|---|
| International Excellence Scholarship | クイーンズランド大学 | 25% | 対象 | 国籍による制限が示されていません。別途申請不要・出願と同時に自動審査・課程の全期間。ただし「その回の合格者のなかで競争的なスコア」が条件 |
| Vice-Chancellor’s International Scholarship | ディーキン大学 | 100% または50% |
対象 | 国籍による制限が示されていません。85%以上の成績(学部からの進学なら在学中の最初の4学期で80%)。「競争が激しく、最低基準を満たしても選ばれるとは限らない」と大学が明記。VCPEPへの参加が必須 |
| International Scholarship for Excellence | ディーキン大学 | 25% | 対象外 | 対象国はバングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、モーリシャス、ミャンマー、ネパール、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、東ティモール、ベトナムの18か国。日本は含まれていません |
| International Student Award | UNSW | 20% | 対象外 | 公式の対象国リスト(PDF)に日本の記載がありません。アフガニスタンからジンバブエまで100か国以上が並びますが、日本・韓国・中国・シンガポール・台湾はいずれも不記載。500語以内のパーソナルステートメントの提出が必要 |
クイーンズランド大学の25%減額が適用された場合で計算します。
学費そのものは、エージェント経由でも直接申込でも変わりません。変わるのは、次の5点です。
この分野では、英語のスコアを2回、別々の目的で問われます。ひとつは大学に入るため。もうひとつは、心理士として登録するためです。
| 課程 | 学校 | IELTS Academic |
|---|---|---|
| Bachelor of Psychological Science | ディーキン大学 | 総合 6.5(各項目6.0以上) |
| Bachelor of Psychological Science (Honours) | クイーンズランド大学 | 総合 6.5(各項目6.0以上) |
| Bachelor of Psychology | マッコーリー大学 | 総合 6.5(各項目6.0以上) |
| Bachelor of Psychology (Honours) | UTS | 総合 6.5(Writing 6.0) |
| Bachelor of Psychological Science | ACU | 総合 7.0(L・R・S 7.0/W 6.5) |
| Master of Professional Psychology | ディーキン大学 | 総合 7.0(全項目7.0以上) |
AHPRAと各国家委員会が定める共通基準(English language skills registration standard)は、心理士を含む複数の医療職に適用されます。IELTS Academicの要求水準は次のとおりです。
| 項目 | 必要スコア |
|---|---|
| 総合(Overall) | 7.0 |
| Listening | 7.0 |
| Reading | 7.0 |
| Speaking | 7.0 |
| Writing | 6.5 |
多くの大学が、規定の英語コースを修了すればIELTSのスコア提出を免除する仕組みを持っています。ただしこれは大学の入学要件を満たすための仕組みで、AHPRAの登録基準には使えません。ここは分けて考える必要があります。
これが最も現実的な設計です。学部入学時に6.5、在学中に授業と生活で英語に浸り、4年目〜5年目の出願までに7.0へ。ディーキン大学の5年目は全項目7.0が要件なので、そこが実質的な締切になります。
いまの立ち位置によって、入口も所要年数も変わります。4つのパターンに整理しました。
Level 1(+2)
3年制学位の場合
Level 3
+国家試験
Level 1相当か
Grad Dip (Advanced)
Level 3
+国家試験
Level 1相当
Level 2
Level 3
+国家試験
6年相当かの審査
不足分の補完
期間は個別判断
原則として必要
他の分野では、職業団体の認定は「あれば有利になり得る要素」であることが多いのですが、心理学は違います。APAC認定は「なければ次に進めない」という性質のものです。
大学が認定されているのではなく、課程が認定されています。同じ大学の中でも、認定されている課程とされていない課程があり得ます。「心理学」という名前が付いていても、認定を受けていない課程は、登録に向けた履修系列としてカウントされません。
APACは認定課程の検索ページを公開しており、大学名・課程名・提供形態(対面/オンライン/混合)で検索できます。出願前に、志望する課程がいま認定されているかを確認してください。認定状況は更新されます。
一般登録した心理士が、特定の領域の専門家として承認を受ける制度です。APACによれば、9つの領域があります。
| 専門領域 | 扱う内容の例 |
|---|---|
| Clinical Psychology 臨床心理学 | 精神疾患のアセスメントと心理療法。最も一般的な領域です |
| Clinical Neuropsychology 臨床神経心理学 | 脳損傷・認知症・発達障害などの認知機能評価 |
| Counselling Psychology カウンセリング心理学 | 対人関係・適応・ライフステージの課題 |
| Educational and Developmental Psychology 教育・発達心理学 | 学習、発達、学校現場での支援 |
| Forensic Psychology 司法心理学 | 司法・矯正の場面での評価と介入 |
| Health Psychology 健康心理学 | 慢性疾患、健康行動、医療現場での心理支援 |
| Organisational Psychology 組織心理学 | 採用、人材開発、職場のウェルビーイング |
| Community Psychology コミュニティ心理学 | 地域単位での予防と支援 |
| Sport and Exercise Psychology スポーツ・運動心理学 | 競技者のパフォーマンスとメンタル |
この分野の実習は、段階によって性質が変わります。
実習は必須ではないことが多く、あっても短時間です。ディーキン大学の Bachelor of Psychological Science は140時間の業界プレースメントを「選択できる」設計。マッコーリー大学は PACE というキャップストーン科目を必修にしています。
Honoursの1年は、独立した研究プロジェクト(論文)が中心です。UNSWは4年目を「通年の独立研究プロジェクト」と説明しています。臨床実習ではなく、研究者としての訓練の年だと考えてください。
Master of Professional Psychology でロールプレイ、ワークショップ、模擬ケース、組織内でのプレースメント、スーパービジョンが入ります。ディーキン大学は課程の説明で、アセスメント・診断・エビデンスに基づく介入を、生涯発達と多様な対象に応じて実践する能力を養うとしています。
仮登録を持ち、委員会が承認した指導者のもとで働く1年です。就学ではないため大学は関与せず、受け入れ先は自分で探します。PsyBAは「職務が心理学的な性質を持ち、8つのコアコンピテンシーを一通り習得・実証できる幅があること」を求めています。
オーストラリアの心理職の訓練は、スーパービジョン(supervision)を軸に組まれています。委員会が承認した指導者(Board-approved supervisor)のもとで実務を行い、定期的に振り返りを受ける。これが仮登録期間を通じて続きます。
プレースメント以外で心理職として働く場合も、仮登録中は指導者による定期的なスーパービジョンが必要だとPsyBAは示しています。「資格を取ってから独り立ちして経験を積む」のではなく、「指導を受けながら実務時間を積む」のがこの制度の設計です。
「6年かけて登録まで行く」以外の道も、はっきり存在します。むしろ、心理学の学位を取る人の多くはそちらへ進みます。
マッコーリー大学が卒業生の進路として公表しているものを挙げます。大学自身が「(さらに学修が必要)」と注記している職種は、そのまま記載します。
| 分野 | 職種の例 | 心理学の学位が効く理由 |
|---|---|---|
| データ・調査 | データアナリスト、市場・社会調査、消費者インサイト | 実験計画と統計解析の訓練がそのまま使えます |
| 人事・組織 | 人事、従業員エンゲージメント、人材コンサルティング | 行動と動機づけの理論、アセスメントの知識 |
| 福祉・支援 | メンタルヘルス支援ワーカー、行動支援スペシャリスト、福祉オフィサー、NDIS関連 | 心理病理と発達の基礎知識 |
| 医療・リハビリ | アライドヘルス専門職、リハビリテーション専門職、認知評価テクニシャン | アセスメントの基礎 |
| さらに学修が必要 | 心理士(Psychologist)、カウンセラー(Counsellor)、神経画像テクニシャン | 大学自身が注記付きで区別しています |
給与の目安は、政府統計と求人サイトの集計で数字が異なります。また、登録の有無・専門領域の承認の有無・勤務先(公的機関か民間開業か)・州によって幅が大きい分野です。このページでは、根拠を示せない数字は掲載しません。
確かなこととして言えるのは、Clinical Psychologist(272311)が内務省の分類で Skill Level 1(最上位の技能レベル)に位置づけられていることです。技能レベルは給与を意味しませんが、要求される教育水準の高さを示しています。
4年目・5年目の選抜は成績で決まります。1年目の成績も平均に入ります。「最初の1年は慣れる期間」という感覚で臨むと、3年目に取り返せません。ここが日本の大学との最大の違いです。
心理学の統計スキルは、登録しなくても市場価値があります。SPSS・R・実験計画・質的分析。6年ルートに進めなかった場合の受け皿にもなり、進めた場合も研究の土台になります。どちらに転んでも損をしません。
大学の修士課程が定員で埋まる年があります。大学のMaster of Professional Psychologyと、ACAPのような私立の課程の両方を候補に入れておく。ひとつの課程に賭けないほうが、6年計画は安全に進みます。
「人の話を聴いて支援する仕事に就きたい」という目的であれば、心理士(psychologist)以外の道もあります。ここは正直に比較しておく価値があります。
AHPRAの国家登録制度が対象としているのは psychologist であって、counsellor(カウンセラー)や psychotherapist(心理療法士)は、この登録制度の対象外です。代わりに ACA(Australian Counselling Association)や PACFA(Psychotherapy and Counselling Federation of Australia)といった職能団体が、任意の会員制度と認定を運営しています。
| 比較項目 | 心理士(Psychologist) | カウンセラー/心理療法士 |
|---|---|---|
| 資格の性質 | 国家登録(AHPRA/PsyBA)。登録なしに名乗れません | 国家登録なし。ACA・PACFAの会員制度は任意 |
| 最短の年数 | 6年 | 修士課程で1〜2年(学部の専攻は問わないことがある) |
| 入学の選抜 | 4年目・5年目で強い選抜。定員あり | 相対的に間口が広い |
| 永住(技能ビザ) | 272311など4職種が189・190・491の対象 | 189の対象外。Rehabilitation Counsellor、Drug and Alcohol Counsellor、Student Counsellor はCSOL掲載で、482など雇用主が関わるビザが中心 |
| 技能評価機関 | オーストラリア心理学会(APS) | VETASSESS(Rehabilitation Counsellor・Psychotherapistの場合) |
Master of Counselling / Master of Counselling and Psychotherapy は、留学生が出願できる課程が複数の大学・カレッジにあります。ACA・PACFAの認定を受けた課程もあります。ただし個別の課程の学費・入学要件・留学生の受け入れ可否は課程ごとに異なるため、このページでは具体的な金額を掲載していません。ご関心があればお調べします。
登録まで到達できれば、この分野の職業リスト上の位置づけは良好です。ただし到達までが長いという、他分野にはない事情があります。
| ANZSCO | 職種 | 189 | 190・491 | 485 | 482・186・494 |
|---|---|---|---|---|---|
| 272311 | Clinical Psychologist | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 272312 | Educational Psychologist | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 272313 | Organisational Psychologist | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 272399 | Psychologists nec | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| 272314 | Psychotherapist | ✗ | ✓ | ✗ | ✓ |
| 2721xx | Rehabilitation/Drug and Alcohol/Student Counsellor | ✗ | ✗ | ✗ | ✓ |
※内務省(Department of Home Affairs)の職業リスト検索で2026年8月に確認した内容です。カウンセラー系3職種はCSOL(Core Skills Occupation List)に掲載されています。職業リストは改定されます。出願時点の最新版でご確認ください。
技能ビザを申請するには、職種ごとに指定された機関の技能評価が必要です。心理職の評価機関は Australian Psychological Society Limited(APS)です。
APSは海外の心理学の資格が「オーストラリアにおける6年相当の心理学の教育・訓練の系列」に匹敵するかを評価します。ここでも「6年」という数字が出てきます。オーストラリアで6年ルートを修了していれば、この評価の議論は単純になります。
| 段階 | ビザ | できること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 在学中 | 学生ビザ(500) | 就学、2週間48時間までの就労 | 申請料 AUD 2,500(2026年7月1日改定) |
| 5年目の修了後 | 卒業生ビザ(485) | 学士・修士(コースワーク)で2年間の就労 | 申請時35歳以下(一部例外あり)。この2年のうちにインターンシップ1年を終える設計になります |
| インターン中 | 485など就労可能なビザ | 仮登録での監督下の実務 | 学生ビザではできません。受け入れ先を自分で探します |
| 一般登録後 | 482/190/491/189 | 心理士としての就労、永住申請 | APSの技能評価が別途必要。189は点数制で、リスト掲載=招待ではありません |
※ビザおよび移住に関する最終的な判断・申請代理は、登録移民代理人(MARA)の業務範囲です。本ページの記載は一般的な情報提供であり、個別の移民アドバイスではありません。
「オーストラリアで心理学を学べば、日本の公認心理師になれますか」というご質問をよくいただきます。結論から申し上げると、「認定を受ける枠組みは存在しますが、個別審査であり、自動的に受験資格が得られるわけではありません。」
公認心理師の受験資格には複数の区分があり、そのひとつが区分Cです。文部科学大臣および厚生労働大臣による受験資格の認定を受ける枠組みで、書類審査によって、日本国内の大学・大学院のカリキュラムと同等の内容を履修しているかが判断されます。
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、原則として協会が指定した日本の大学院の修了が受験資格の基礎になります。オーストラリアの学位で直接この要件を満たす設計にはなっていません。
心理学の一次文献は圧倒的に英語です。研究・企業のリサーチ・国際機関・外資系の人事や組織開発では、英語で心理学の議論ができること自体が希少な条件になります。
オーストラリアの心理学課程は研究法と統計の比重が高い設計です。データを扱う仕事(UXリサーチ、マーケティングリサーチ、人事アセスメント、行政の政策評価)で直接使えます。
在外邦人向けのカウンセリング、多文化背景を持つ人への支援、企業の海外赴任者支援など、「日本語と英語の両方で心理を扱える人」が必要とされる領域があります。
日本の資格に接続することだけが目的でないなら、話は単純になります。オーストラリアで登録し、オーストラリアで働く。永住ルートも4職種で開いています。
この分野では、ランキングよりも先に確認すべきことがあります。順番に並べました。
| 優先 | 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | APAC認定を受けている課程か | 認定がなければ、次の段階へ進めません。この分野では「あれば有利」ではなく「なければ不可」です。APACの認定課程検索で確認してください |
| 2 | 何年目まで自校で行けるか | Level 1だけの3年制学位なのか、Level 2まで含む4年制なのか、Level 3・4まで揃うのか。移るたびに選抜が増えます |
| 3 | 4年目・5年目の入学要件(成績) | UNSWの臨床修士はHonours Class 1(85%)。逆算して、学部1年目からどれだけの成績が要るかを把握してください |
| 4 | その年、留学生を受け入れているか | 定員に達すると受け入れが止まります。2026年入学ではUNSWの一部課程で停止の告知が出ました。年ごとに変わります |
| 5 | 英語要件が、どの段階でいくつか | 学部6.5でも、5年目で7.0(各7.0)になる大学があります。AHPRA登録の7.0も見据えて、到達時期を決めてください |
| 6 | 減額の対象国に日本が入っているか | ディーキン大学の25%とUNSWの20%は対象外です。定価の順番と、実際に払う額の順番は違います |
心理学のご相談では、「大学のランキングはどこが上ですか」と最初に聞かれることが多くあります。ただ、この分野に限っては、ランキングより先に確認したほうがよいことがいくつもあります。
いちばん多い行き違いは、「3年の学士を出れば心理士になれる」という前提でご計画を立てていらっしゃるケースです。実際には4年目・5年目・そして1年の実務があり、その途中に成績による選抜があります。この構造を知らずに入学されると、3年目の終わりに「4年目に進めない」という事態が起こり得ます。
もうひとつ、英語です。大学に入れる6.5と、AHPRAが求める7.0の間には距離があります。「入学できたから大丈夫」ではなく、「いつまでに7.0へ持っていくか」を最初に決めておくほうが、結果的に楽になります。
逆に、6年を織り込んで進める方にとっては、これは非常に見通しの立てやすい分野です。制度が明文化されていて、各段階の要件が公表されているからです。まずは、いまお持ちの学歴と成績、そして英語のスコアを拝見させてください。そこから、どのルートが現実的かを一緒に組み立てます。相談は無料です。
| 時期 | やること | アンアルウェンの担当 |
|---|---|---|
| 12〜10か月前 | ルートの決定(3年で終えるか、6年かけるか)/志望校の絞り込み/APAC認定の確認 | 無料カウンセリング。成績証明書を拝見して、直接入学できるかを判定します |
| 10〜8か月前 | IELTSの受験計画/既修得単位の評価(心理学を学んだ経験がある場合はAPACまたはAPSの評価に着手) | 大学への照会。評価には時間がかかるため、早めに動きます |
| 8〜6か月前 | 出願書類の準備/成績証明書・卒業証明書の英訳/奨学金の対象国と条件の確認 | 書類作成サポート。対象国リストの確認 |
| 6〜4か月前 | 出願/条件付きオファーの受領/英語スコアの提出 | 出願手続きの代行。その年の留学生受け入れ状況を大学に確認 |
| 4〜3か月前 | 学費の支払い/CoE(入学許可証)の発行/OSHC加入 | 手続き代行 |
| 3〜2か月前 | 学生ビザ申請/GS(Genuine Student)ステートメント | ビザ申請サポート。GSの作成を一緒に組み立てます |
| 1か月前 | 住居の手配/航空券/渡航準備 | ホームステイ・学生寮の手配、出発前オリエンテーション |
| 渡航後 | 現地オリエンテーション/履修登録/学習の立ち上がり | 現地オフィスがサポート。成績の維持は4年目の選抜に直結するため、初年度から相談を受けます |
アンアルウェンの強みは、留学の申し込みだけで終わらない、出発前から進学後まで続く伴走型サポートです。
「手続きだけを代行するエージェント」ではなく、「留学という大きな挑戦を一緒に考え、現地でも支え続けるパートナー」であること。それが、私たちが他の留学エージェントに負けない一番の強みです。
学校選びや出願手続きはもちろん、進学で重要となるGS(Genuine Student)対策、学生ビザ申請もしっかりサポート。心理学は就学期間が長い分野なので、6年の計画をどう説明するかが問われます。ここに時間をかけます。
オーストラリアには提携オフィスがあり、渡航後も学校生活や現地での手続き、困りごとを日本と現地の両方からサポートします。4年目・5年目の出願や、卒業生ビザ(485)の申請についてもご相談いただけます。
一人ひとりに十分な時間をかけるため、サポート人数を毎月12名様限定としています。心理学はいまの学歴・成績・英語スコアによって最適なルートが変わる分野です。画一的な案内ではなく、その方の状況に合わせて設計します。
紹介先を幅広く並べるだけではなく、スタッフが実際に学校へ足を運び、授業や校内の雰囲気を確認したうえで、厳選した学校を紹介しています。資料だけではわからないことがあります。
2008年の設立以来、3,000名以上の留学を支えてきた経験と、オーストラリア留学に特化した専門知識を生かしてご提案します。学部から大学院へ進まれた方のサポート実績もあります。
費用や生活面の現実も率直にお伝えします。「登録までは最短6年です」「この25%減額は、日本国籍だと対象外です」「臨床修士は要件を満たしても入れないことがあると大学が明記しています」──言いにくいことも含めてお伝えするのが、私たちの仕事だと考えています。
アンアルウェンは、オーストラリア留学の専門エージェントです。学校選びから渡航後のトラブル対応まで、すべて無料でサポートします。学校へ直接申し込む場合と比べて、余分な費用は一切かかりません。
心理学部を3年で卒業すれば、オーストラリアで心理士として働けますか?
働けません。ここがこのページで最もお伝えしたい点です。
オーストラリアで psychologist として名乗り、実務を行うには、AHPRA(Psychology Board of Australia)への登録が必要です。登録にはAPAC認定の課程を4年分(Level 1+2)修了したうえで、さらに5年目、そして1年の監督下の実務またはLevel 4の課程が要ります。合計で最短6年です。
3年の学士は「Level 1」にあたり、その先に進むための土台にすぎません。ただし、学士だけでも進める道はあります。人事、市場・社会調査、データ分析、メンタルヘルス支援、福祉・教育の現場など、心理学の統計と行動分析の訓練が活きる職種です。マッコーリー大学は卒業生の進路一覧で、「Psychologist(さらに学修が必要)」「Counsellor(さらに学修が必要)」と注記付きで区別して記載しています。入学前に、3年で終えるのか6年かけるのかを決めておいてください。
いくらかかりますか?
ルートによって大きく変わります。授業料(定価)で計算します。
ルートA(ディーキン大学で通す):学士3年(43,000×3=129,000)+Honours 1年(43,000)+Master of Professional Psychology 1年(45,400)=AUD 217,400。
ルートB(クイーンズランド大学4年+ACAP):52,528×4=210,112 + 56,846 =AUD 266,958。
ルートC(UNSWで通す):学部4年 267,500 + Master of Psychology (Clinical) 2年 122,000 =AUD 389,500。
ルートAとCの差は AUD 172,100、およそ1,720万円です。
これに生活費(学生ビザの財政要件は単身12か月で AUD 29,710)、OSHC(年 700〜900)、学生ビザ申請料 AUD 2,500(2026年7月1日改定)、卒業生ビザ(485)の申請料が加わります。6年間の総額の目安は AUD 370,000〜570,000、1豪ドル100円換算でおよそ3,700万〜5,700万円です。
登録を目指さず学士3年で終える場合は、ディーキン大学で授業料 AUD 129,000 です。
留学生でも、Master of Psychology (Clinical) に入れますか?
制度上は出願できます。ただし条件は厳しく、確約はできません。
UNSWの公式ページには、入学要件として「4年制のAPAC認定心理学課程を Honours Class 1(85%)またはそれに相当する成績で修了」「その資格は過去10年以内のもの」とあり、海外の資格については「出願前にオーストラリア心理学会(APS)の評価を受け、主要な研究論文・プロジェクトを含む必要がある」と記載されています。
さらに「定員が設けられているため、要件を満たす応募者であっても席を得られないことがあります」と大学自身が明記しています。加えて2026年入学については、一部の課程が定員に達し、新規の留学生受け入れを停止している旨の告知が出ています。
合格率や留学生の受け入れ人数は公表されていないため、「◯%が入れます」という数字はお伝えできません。現実的な備えとしては、5+1ルート(Master of Professional Psychology)も並行して候補に入れておくことです。5年目の1年課程は、2年課程より間口が広いのが一般的です。
英語はIELTS 6.5があれば足りますか?
大学に入るには足りますが、心理士として登録するには足りません。
大学の学部入学はIELTS 6.5(各項目6.0)が標準です(ディーキン大学・クイーンズランド大学・マッコーリー大学)。UTSは総合6.5・Writing 6.0。
一方、AHPRAの登録基準は IELTS Academic 総合7.0、Listening・Reading・Speaking 各7.0、Writing 6.5 です。2026年4月23日に各国家委員会が最低スコアを改定しましたが、IELTSの数値はこの水準で変わっていません。
さらに、大学側がAHPRA基準に合わせて入学要件を上げている例があります。ディーキン大学の Master of Professional Psychology は総合7.0かつ全項目7.0(AHPRAより厳しい設定です)、ACUの学部(Bachelor of Psychological Science)は総合7.0(L・R・S 7.0/W 6.5)。
なお、2回の受験を合算できる規定があります。それぞれの回で総合7.0以上、2回を通じてL・R・S 7.0以上とW 6.5以上、そしてどちらの回もどの項目も6.5を下回っていないことが条件です。テスト以外の経路(教育歴による経路)もありますが、条件が細かく2025年3月に改定されているため、AHPRAの pathway selection tool で個別に確認してください。
「5+1」の最後の1年は、学生ビザで過ごせますか?
過ごせません。ここは計画の要になる部分です。
5+1ルートのインターンシップ1年は、仮登録(provisional registration)を持った状態で、委員会が承認した指導者のもとで実務を行う期間です。大学のコースではないため、学生ビザの対象になりません。卒業生ビザ(485)など、就労が認められるビザが前提になります。
485ビザ(Post-Higher Education Work stream)の滞在期間は、内務省の公表によれば学士(Honours含む)で2年、修士(コースワーク)で2年。年齢は申請時に35歳以下(一部例外あり)。この2年のうちにインターンシップ1年を終える設計になります。
そして受け入れ先は自分で見つける必要があります。PsyBAは、職務が心理学的な性質を持ち、アセスメント・問題の定式化・診断・介入・予防といった業務を含み、8つのコアコンピテンシーを一通り習得・実証できる幅があることを求めています。「見つかります」とも「難しいです」とも断定はできませんが、5年目のプレースメントの段階から先を見据えて動くことが実務的に重要です。
日本の大学で心理学を学びました。何年で登録まで行けますか?
最短で3年(4年目+5年目+インターン1年)ですが、前提条件があります。
まず、日本で取得した心理学の学位が、APACのLevel 1に相当すると認められるかの評価が要ります。ディーキン大学は「留学生はAPACに資格を評価してもらい、APACの履修系列に相当するかを確認する必要がある」と案内しています。UNSWの臨床修士については「海外の資格は出願前にオーストラリア心理学会(APS)の評価を受ける必要がある」とされています。
この評価には時間がかかります。また、相当すると認められるかは履修内容次第で、こちらから結果を保証することはできません。統計・研究法・実験計画の履修があるかどうかが、しばしば論点になります。
認められた場合は、Graduate Diploma of Psychology (Advanced)(4年目・1年)から入れます。ディーキン大学の場合、年 AUD 45,400 です。まず成績証明書とシラバスを拝見させてください。判定に必要な材料を整理します。無料です。
心理学を学んだことがありません。それでも目指せますか?
目指せます。すでに大学を卒業されている場合は、学部3年をやり直す必要はありません。
Graduate Diploma of Psychology(Level 1相当を1年で修める課程)を提供している大学があります。そのうえで Graduate Diploma of Psychology (Advanced)(Level 2・1年)→ 5年目(1年)→ インターン(1年)と進めば、最短4年です。
ただし2点、確認が必要です。ひとつはその課程が留学生を受け入れているか。もうひとつはオンライン専用の課程ではないかです。オンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。心理学の4年目課程はオンライン提供が多い領域なので、ここは必ず確認してください。
高校卒業から入る場合は、3〜4年の学士から始めて合計6年になります。どちらの入り方でも、統計と研究法は避けられません。「文系だから数字は少ない」という想定は、オーストラリアの心理学課程には当てはまりません。
オーストラリアで学べば、日本の公認心理師になれますか?
認定を受ける枠組みは存在しますが、自動的に受験資格が得られるわけではありません。
公認心理師の受験資格には区分Cという枠組みがあり、文部科学大臣および厚生労働大臣による受験資格の認定を、書類審査で受ける仕組みです。想定されているパターンには「外国の大学+外国の大学院」「日本の大学+外国の大学院」「外国の心理に関するライセンス」などが含まれます。外国の教育機関については大学は教育年限4年以上、大学院は2年以上といった基準が示されています。
ただし、「この大学のこの課程なら通ります」とは、こちらから申し上げられません。審査は個別の履修内容にもとづき、判断は所管の大臣が行います。エージェントが結果を保証できる性質のものではありません。
本気で目指す場合は、渡航前に日本側の要件を確認したうえで履修計画を立ててください。後から科目を追加するのは困難です。なお臨床心理士は、原則として協会が指定した日本の大学院の修了が受験資格の基礎となる民間資格で、オーストラリアの学位で直接満たす設計にはなっていません。
カウンセラーになるほうが早いのではないですか?
年数だけを見れば、そのとおりです。ただし、性質が違います。
オーストラリアでは、AHPRAの国家登録制度の対象は psychologist であり、counsellor や psychotherapist は対象外です。ACA・PACFAといった職能団体の会員制度はありますが、いずれも任意です。Master of Counselling などの修士は1〜2年で、学部の専攻を問わない課程もあります。
ただし移住という観点では、条件がはっきり分かれます。内務省の職業リスト検索によれば、Clinical Psychologist(272311)など4つの心理職コードは189・190・491・485・482・186・494の対象である一方、Psychotherapist(272314)は189と485の対象外、Rehabilitation Counsellor・Drug and Alcohol Counsellor・Student Counsellor はCSOL掲載で、482など雇用主が関わるビザが中心です。189は雇用主のスポンサーも州の指名も不要なビザなので、この差は小さくありません。
「早く現場に出たい」ならカウンセリング、「オーストラリアで長く働きたい・永住も視野に入れたい」なら心理士。目的から逆算して選んでください。ソーシャルワークも、支援職として比較の対象になります。
在学中にアルバイトはできますか?
できます。学生ビザでは就学中は2週間あたり48時間まで、長期休暇中は制限なく就労できます(「週20時間まで」は古い情報です)。
ただしこの分野特有の注意点があります。ひとつは4年目(Honours)が研究の年で、通年の独立研究プロジェクトを抱えることになる点。もうひとつは5年目にプレースメントが入る点です。プレースメント中は、平日の日中が埋まります。固定シフトのアルバイトは組みにくくなります。
その代わり、大学の研究室でのリサーチアシスタントや、メンタルヘルス関連団体でのボランティアという選択肢があります。この分野では、そうした経験が5年目・インターンシップの受け入れ先を探す際の足がかりになることがあります。時給だけで選ばないほうがよい局面です。
エージェントを通すと費用は高くなりますか?
いいえ。アンアルウェンのサポートはすべて無料です。学校へ直接申し込む場合と、支払う学費は変わりません。学校選び、出願書類、GS(Genuine Student)ステートメント、学生ビザ申請、住居手配、渡航後のサポートまで、追加費用なしでご利用いただけます。
この分野の場合はこれに加えて、APAC認定の有無の確認、4年目・5年目の入学要件の逆算、その年の留学生受け入れ状況の確認、授業料減額の対象国の確認、日本の学位の相当性評価の手配まで含めてサポートします。特に「減額の対象国に日本が入っているか」は、知らずに出願すると年 AUD 10,000 以上の差になります。
なお、学校が定める出願料は、エージェント経由・直接申込を問わず学校に支払うものです。
心理学と近い分野、あわせて検討される方が多いページをまとめました。
支援職としては、心理学より短く資格に到達できます。AASW認定のMaster of Social Work (Qualifying) は2年。ただし英語はIELTS 7.0(全4項目7.0)で、心理学より厳しい設定です。永住ルートも開いています。
同じくAHPRAの国家登録制度に属する職種。メンタルヘルス領域で働きたい場合、精神科看護という道もあります。登録までの年数は心理士より短く、求人の数も多い領域です。
子どもの発達と学習に関心があるなら、こちらも比較の対象になります。教員登録の英語はSpeaking・Listening 8.0と、心理士より高い水準が求められる点は知っておいてください。
発達心理学に関心がある方の、もうひとつの入口。心理学より短い課程で現場に出られます。Certificate III/Diplomaから始められる点も、心理学の6年ルートとは対照的です。
学士から5年目(Master of Professional Psychology)まで、1校で揃う数少ない大学です。コース構成、キャンパス、奨学金の条件をまとめています。
ブリスベンの研究大学。4年制のBachelor of Psychological Science (Honours) と、国籍制限のない25%減額が特徴です。出願条件と奨学金をまとめています。
シドニーの研究大学。学部4年から臨床修士2年まで、Level 1〜4を1校で通せます。ただし臨床修士は最難関です。コース構成と奨学金の条件をまとめています。
シドニー北部の大学。Bachelor of Psychology で3つの専攻(応用心理科学・認知脳科学・メンタルヘルスとカウンセリング)から選べます。キャンパスと出願条件をまとめています。
6年の道のりを、最初に地図にしておきませんか。
いまの成績と英語スコアから、現実的なルートを組み立てます。
「心理士を目指したいが、6年は長すぎるだろうか」「日本の心理学部の単位は認められる?」「4年目に進めなかったらどうなる?」
この分野は、入口の選択が5年後の選択肢を決めます。だからこそ、最初に全体像を持っておく価値があります。無料相談・無理な勧誘は一切ありません。
※サポートは毎月12名様限定です。お早めにご連絡ください。