「航空留学」とひとことで言っても、パイロット養成と航空整備は、まったく別の制度の上に立っています。パイロットは飛行時間を積んでCASA(オーストラリア民間航空安全庁)のライセンスを取る道、航空整備は学科と実務経験を積んでPart 66のライセンスに向かう道です。入口も、費用も、卒業後にできることも重なりません。
そしてこの分野には、他の留学分野にはない関門が3つあります。Class 1(第一種)の医学証明、航空英語能力証明(AELP)レベル4、そして「学位の学費に飛行訓練費が含まれているとは限らない」という費用構造です。
このページでは、ライセンスの階段、留学生が実際に入れる課程、学校別の学費、卒業生の進路、そしてビザ・永住ルートまで、公式情報をもとに整理します。
DATA ── 航空留学の要点
このページの結論 ── 3分でわかる航空留学
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航空業界の仕事を「飛行機に関わる仕事」とひとくくりにすると、留学の設計を間違えます。オーストラリアでは、操縦する人と整備する人が、まったく別の法規・別の試験・別の経験要件で管理されています。どちらもCASA(Civil Aviation Safety Authority/オーストラリア民間航空安全庁)が所管しますが、そこから先の道筋が交わりません。
教習と単独飛行で飛行時間を積み、段階ごとに学科試験と実技試験を受けます。時間が資産になる世界で、時間を買うためにお金がかかるのが費用構造の本質です。
Part 66 の学科試験に合格したうえで、実際に運航している機体での整備経験を記録し、CASAに申請します。学校を出ただけではライセンスになりません。
パイロットの課程を出て整備のライセンスに移る、あるいはその逆は、追加研修ではなく別の課程をやり直すことになります。最初の選択が重い分野です。
もうひとつ、日本から見ると分かりにくいのが大学の航空学位(Bachelor of Aviation)の位置づけです。オーストラリアには航空の学士課程がいくつもありますが、その中身は大きく3種類に分かれます。
スウィンバーン工科大学の Bachelor of Aviation and Piloting は、公式ページに「留学生は飛行訓練費が学費に含まれる」と記載。学費は高くなりますが、見積りが1本にまとまります。
UNSWの Bachelor of Aviation (Flying) は、CPLと計器飛行証明の飛行訓練費約 A$154,500 を授業料とは別に案内しています。
グリフィス大学の Bachelor of Aviation(2年)は、公式ページで「全額自己負担の外部飛行訓練と組み合わせることで」商業パイロットとして働ける、と説明されています。
スウィンバーン工科大学の Bachelor of Aviation Management のように、空港運営・運航管理・無人航空機を扱う課程もあります。操縦はしません。
航空留学は、費用も期間も他分野より大きく振れます。先に不利な情報を並べます。ここを読んだうえで進めるかどうかを決めていただくのが、いちばん確実です。
パイロット課程は、ほぼすべての学校が入学条件に「CASA Class 1 医学証明を取得できること」を挙げています。視力・聴力・心血管系・既往歴などが対象で、検査を受けてみないと分からない項目があります。
学費を払ってから取れないと分かるのが、この分野でいちばん避けたい事態です。アンアルウェンでは、パイロット志望の方には出願より先に医学証明の見通しを立てることをおすすめしています。
グリフィス大学は年 A$45,500 × 2年=A$91,000ですが、飛行訓練は含まれません。UNSWは飛行訓練費約 A$154,500を別掲しています。
「大学の学費が安いから総額も安い」とは限りません。学費の章では、飛行訓練費を足したうえで比較します。
Qantas Group Pilot Academy の応募資格にはオーストラリア市民権または永住権が挙げられています。学生ビザの留学生は、この制度の対象外です。
「オーストラリアで訓練して、そのまま大手のカデットに」という設計は、まず永住権を得るという別の課題を先に解く必要があります。
オーストラリアで整備士になる標準ルートは Certificate IV in Aeroskills + 見習い(apprenticeship)です。Aviation Australia の Certificate IV(MEA40718 機体/MEA40618 装備品/MEA41322 構造)は、公式ページで国内学生向けとして案内され、応募要件にオーストラリア市民・永住者または該当ビザ保持でクイーンズランド州在住であることが挙げられています。
留学生向けに用意されているのは、EASA(欧州航空安全機関)のカテゴリーB1.1認定を出口とする Diploma(11064NAT・95週・A$63,000)です。この課程の出口はEASAであって、CASAのPart 66ライセンスがそのまま出るわけではありません。
CASA は Part 66 ライセンスの要件として「基礎知識(Part 66 学科試験)」と「基礎経験(運航中の航空機での整備実務。記録が必要)」の両方を挙げています。必要な経験年数は、それまでの訓練歴によって変わるとCASAが説明しており、具体的な年数は Part 66 Manual of Standards に定められています。
CASAは「Part 147 の認定課程を修了した場合がもっとも短く、技術系の訓練歴がない場合がもっとも長い」という趣旨の説明をしていますが、カテゴリー別の年数はウェブページ上には掲載されていません。実際の年数は Part 66 MOS の本文と、進学先の Part 147 訓練機関に確認してください。
内務省の職業リストで Air Traffic Controller(231112)は「RSMS ROL」の表示のみで、対象ビザも技能評価機関も記載されていません。技能移住のルートとしては、事実上つながっていない状態です。
「航空管制を目指してオーストラリアに留学する」という設計は、現時点ではおすすめできません。これは能力の問題ではなく、制度の入口がないという話です。
485ビザのうち、Diploma・トレード資格向けの Post-Vocational Education Work stream は、職業リストに載った職業の指名と技能評価が必要です。そして内務省の職業リストで Aeroplane Pilot(231111)の対象ビザ一覧に、485の記載はありません。
一方、学士以上の Post-Higher Education Work stream には職業の指名がありません。つまり「Diploma で CPL を取る」ルートと「学位で CPL を取る」ルートでは、卒業後に残れる年数がまったく変わる可能性があります。ビザの章で詳しく整理します。
オーストラリアのパイロットライセンスは、下から順に積み上げる構造になっています。留学で目指すのは、ほとんどの場合CPL(事業用操縦士)です。
| ライセンス/資格 | できること | 航空英語能力証明 | 留学課程での位置づけ |
|---|---|---|---|
| RPL Recreational Pilot Licence | 限られた空域で、自家用として飛べます | 無線を使う承認を受ける場合はレベル4以上 | Diploma課程の最初の段階(例:Air Gold Coast で11週) |
| PPL Private Pilot Licence | 自家用。報酬を受けての運航はできません | レベル4以上 | Diploma課程の第2段階(例:Air Gold Coast で12週) |
| CPL Commercial Pilot Licence 留学の主目標 | 報酬を受けて操縦できます。ここから職業になります | レベル4以上 | Diploma課程の到達点(例:Air Gold Coast で23週) |
| 計器飛行証明 Instrument Rating(MECIR等) | 計器飛行方式での運航。多発機の証明と組み合わせます | (CPLに準じます) | Diplomaでは別課程。大学ルートでは含まれることがあります |
| 教官資格 Grade 3 Instructor Rating | 教える側になり、報酬を得ながら飛行時間を積めます | (CPLに準じます) | CPL取得後の追加取得。進路の章で扱います |
| ATPL Air Transport Pilot Licence | 大型機の機長。学科(理論)だけ先に取ることが多い | レベル4以上 | 大学ルートでは学科分の単位が組み込まれることがあります |
CPLまでたどり着く道は、大きく2つです。どちらが正しいという話ではなく、目的(早くCPLを取りたいのか/卒業後にオーストラリアに残りたいのか)で選ぶものです。
IELTS 6.0〜6.5に届かない場合
入学前に取得
約11週
約12週
Diploma修了
ファウンデーション等
大学により実施
座学+飛行訓練
大学により内容が違います
| 比較軸 | ルートA:専門学校のDiploma | ルートB:大学の航空学位 |
|---|---|---|
| CPLまでの期間 | 約10〜16ヶ月 | 2〜3年 |
| 費用(定価) | A$89,950〜119,070 | A$91,000(飛行訓練別)〜約502,500 |
| 学位 | 付きません(Diploma) | 学士 |
| 卒業生ビザ(485) | Post-Vocational Education Work stream=職業リスト+技能評価が必要 | Post-Higher Education Work stream=職業の指名なし |
| 入学の英語 | IELTS 6.0〜6.5 | IELTS 6.0〜6.5 |
| 入学の選考 | 適性試験・面接 | 高校成績(ATAR相当)+適性試験・面接 |
| 日本に帰ることが前提の場合 | 費用対効果が高い | 学位が残る分の価値をどう見るか |
| 豪州に残りたい場合 | 卒業後の滞在設計が難しくなります | 選択肢が広がります |
※485ビザの各ストリームの要件は内務省が定めており、出願時点の最新条件を必ず確認してください。
| 学校 | 場所 | 期間 | 飛行時間 | 総額(定価) | 英語要件 | CRICOS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Learn To Fly 最安 | ムーラビン空港(メルボルン) | 62週 | 153.5時間 | A$89,950 | IELTS 6.0 | 03913A |
| Basair Aviation College | バンクスタウン(シドニー)/アーチャーフィールド(ブリスベン) | 10ヶ月 | 170時間 | A$92,394 | IELTS 6.5(各6.0) | 01552D |
| Air Gold Coast | ゴールドコースト空港 | 46週+休暇4週 | 150時間 | A$114,635 (授業料110,135+非授業料4,500) | IELTS 6.0 | 109211F |
| Flight One | アーチャーフィールド(ブリスベン) | 68週 | 200時間 (単独100+同乗90+模擬10) | A$119,070 (国内学生は111,310) | IELTS 6.5(各6.0) | 01302M |
| 大学 | 学位 | 期間 | 学費(留学生・定価) | 飛行訓練 | 英語要件 | 場所・CRICOS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| グリフィス大学 | Bachelor of Aviation | 2年 | 年 A$45,500 2年で A$91,000 | 含まれません 外部の訓練機関で自費 | IELTS 6.5 | ネイサン(ブリスベン) 085494C |
| アデレード大学 | Bachelor of Aviation (Pilot) | 3年 | 年 A$48,600 3年で A$145,800 | 学位には含まれません Graduate Diploma in Aviation 併修でCPL・MECIR | IELTS 6.5(各6.0) | モーソンレイクス 115678J |
| UNSW | Bachelor of Aviation (Flying) | 3年 | 初年度 A$62,500 学位全体の表示は A$348,000 | 別掲 約 A$154,500 CPL+多発機計器飛行証明 | プログラム独自の基準 | ケンジントン+バンクスタウン空港 017227G |
| RMIT | Bachelor of Aviation (Pilot Training) | 3年 | 年 A$72,767 (2027年入学の表示) | RPL・PPL・CPLを取得 | プログラム独自の基準 | メルボルンシティ+ポイントクック/ベンディゴ 111190K |
| スウィンバーン工科大学 | Bachelor of Aviation and Piloting | 3年 | 総額 A$231,250〜250,320 | 留学生は学費に含まれます CPL・MECIR・MCC/教官資格・ATPL学科 | IELTS 6.0(各6.0) | ホーソン+ムーラビン 093354D |
| CQU | Bachelor of Aviation | 3年 | 課程ページに留学生学費の表示なし | 専攻により異なります Airline and Airport Operations/Flight Operations | 大学の基準 | ケアンズ/オンライン 00219C(大学コード) |
なお、UNSWは2026年入学について一部プログラムが定員に達し、新規の留学生受付を停止していると告知しています(2027年入学は受付中)。「その大学に課程がある」ことと「いま出願できる」ことは別の話です。
整備の側は、パイロットとは考え方がまったく違います。飛行時間ではなく、「学科試験」と「実機での整備経験」の2本立てです。
| カテゴリー | 対象 | 標準的な訓練資格 |
|---|---|---|
| カテゴリー A | ライン整備(基本的な機体の整備・確認) | Certificate II 相当 |
| カテゴリー B1 | 機体・エンジン・構造などの機械系 | Diploma of Aeroskills (Mechanical) |
| カテゴリー B2 | アビオニクス(電気・電子・計器)系 | Diploma of Aeroskills (Avionics) |
| カテゴリー C | 基地整備(ベースメンテナンス)の証明 | 上位資格・経験を前提とします |
Part 147 認定機関、または独学
カテゴリーに対応した科目
運航中の機体。記録が必要
Part 66 ライセンス
ここが、この分野でいちばん誤解が多いところです。「オーストラリアで航空整備を学ぶ」と「オーストラリアのCASAライセンスを取る」は、留学生にとっては同じ意味になりません。
| 課程 | 提供 | 期間 | 学費(留学生・定価) | 出口 | CRICOS |
|---|---|---|---|---|---|
| 11064NAT Diploma of Aircraft Maintenance Engineering – Mechanical TB1 | Aviation Australia(ブリスベン空港) | 95週 | A$63,000 教科書・作業服・安全装備・試験料込み | EASA カテゴリーB1.1(タービン機)の Certificate of Recognition+Diploma | 110041J |
| Bachelor of Engineering Technology (Aircraft Maintenance – Avionics) | Aviation Australia 1.5年+CQU 1.5年 | 3年 | 約 A$107,490 | 上記Diploma(Avionics)+学士 | 105502E |
| Certificate IV in Aeroskills(MEA40718 機体/MEA40618 装備品/MEA41322 構造) | Aviation Australia(ブリスベン・ケアンズ) | 約10ヶ月 | 公式ページは国内学生向けとして案内 | 見習い(apprenticeship)に進むための資格 | ― |
Aviation Australia がブリスベン空港の敷地内で開講する95週の課程です。理論1,351時間+実習1,190時間という構成で、教科書・作業服・安全装備・工具・試験料が学費に含まれると案内されています。
入学要件は高校卒業(数学は10年生レベル以上の合格)、Academic IELTS 総合6.0(各項目5.5以上・出願から2年以内)とされています。
出口は EASA(欧州航空安全機関)のカテゴリーB1.1(タービン機)の Certificate of Recognitionで、学校はこれを「EASA Part-66 ライセンスに向けた最初の一歩」と説明しています。CASAのPart 66ライセンスがそのまま出る課程ではありません。
ここに並べるのは、すべて各校が公表している「定価」です。奨学金や減額が適用されると、この金額から下がることがあります。まず定価で全体像をつかんでから、下げられる要素を探すのが順番です。
| ルート | 期間 | 授業料 | 飛行訓練費 | 合計(定価) | 得られるもの |
|---|---|---|---|---|---|
| 整備:Aviation Australia の Diploma 最安 | 95週 | A$63,000 | ― | A$63,000 | Diploma+EASA B1.1 認定 |
| パイロット:Learn To Fly の Diploma | 62週 | A$89,950 | (込み) | A$89,950 | Diploma+CPL(153.5時間) |
| パイロット:Flight One の Diploma | 68週 | A$119,070 | (込み) | A$119,070 | Diploma+CPL(200時間) |
| 整備:Aviation Australia+CQU の学士 | 3年 | 約 A$107,490 | ― | 約 A$107,490 | Diploma(Avionics)+学士 |
| パイロット:グリフィス大学の学位+外部の飛行訓練 | 2年+α | A$91,000 | 別途・自費 | A$91,000+飛行訓練費 | 学士(飛行訓練は自分で手配) |
| パイロット:アデレード大学の学位+Graduate Diploma | 3年+α | A$145,800 | Graduate Diploma 側 | A$145,800+Graduate Diploma | 学士+(併修で)CPL・MECIR |
| パイロット:RMIT の学位 | 3年 | 年 A$72,767(2027年) | 表示から区分できません | 約 A$218,301(年額×3) | 学士+RPL・PPL・CPL |
| パイロット:スウィンバーン工科大学の学位 | 3年 | 飛行訓練込みの総額表示 | A$231,250〜250,320 | 学士+CPL・MECIR・MCC/教官資格・ATPL学科 | |
| パイロット:UNSW の学位 | 3年 | 初年度 A$62,500 学位全体の表示は A$348,000 | 別掲 約 A$154,500 | 約 A$342,000〜502,500 内訳は要確認 | 学士+CPL・多発機計器飛行証明・ATPL学科の単位 |
正直に書きます。この分野は、他分野に比べて奨学金が薄い領域です。とくに専門学校の飛行訓練課程には、留学生向けの大きな減額制度はほとんど見当たりません。下げられる余地があるのは、主に大学ルートです。
公式ページに「出願すると、最大20%の留学生向け奨学金の対象として自動的に検討される」と記載されています。ただし対象課程・条件は大学が定めており、航空系が対象に含まれるかは個別確認が必要です。
公式ページに「条件を満たせば、総学費の最大25%の International Merit Scholarship の対象となる場合がある」と記載されています。こちらも対象課程の確認が要ります。
留学生向けの減額制度は、各校の公式ページに見当たりませんでした。ここは価格そのものと、含まれる飛行時間で選ぶことになります。
他分野では、大学の留学生向け奨学金が特定の学部を除外している例が多く見られます。航空系が除外リストに入っていないかは、出願前に必ず確認します。
この分野の英語は、二段構えです。ここを一段だと思っていると、卒業間際に足元をすくわれます。
| 課程 | 英語要件 |
|---|---|
| Learn To Fly(Diploma・CPL) | IELTS 総合 6.0 |
| Air Gold Coast(Diploma・CPL) | Academic IELTS 総合 6.0 |
| Flight One(Diploma・CPL) | Academic IELTS 総合 6.5(各6.0以上) |
| Basair(Diploma・CPL) | IELTS 総合 6.5(各6.0以上) |
| Aviation Australia(整備Diploma) | Academic IELTS 総合 6.0(各5.5以上・2年以内) |
| グリフィス大学(Bachelor of Aviation) | Academic IELTS 総合 6.5 |
| アデレード大学(Bachelor of Aviation – Pilot) | IELTS 総合 6.5(各6.0以上) |
| スウィンバーン工科大学(Bachelor of Aviation and Piloting) | Academic IELTS 総合 6.0(各6.0以上) |
CASAは、PPL・CPL・ATPL・航空機関士・航空管制官のライセンス発行、および海外ライセンスの切替に、航空英語能力証明(Aviation English Language Proficiency)を要件としています。RPLでも、無線を使う承認を受ける場合は必要です。
| レベル | 有効期間 | 位置づけ |
|---|---|---|
| レベル4 | 3年 | ライセンス保持に必要な最低水準 |
| レベル5 | 6年 | ― |
| レベル6 | 期限なし | 母語話者が通常該当する水準とされています |
航空英語は、日常会話やIELTSとは語彙も言い回しも違います。管制との交信、緊急時の報告、標準的な用語 ── ここは「英語が得意」だけでは埋まらない領域です。
そのため、入学要件のIELTSを満たすことと、AELPレベル4を取ることは、別々に準備する必要があります。多くの学校は課程の中でこの訓練を組み込んでいますが、「組み込まれているか」「別料金か」は学校によって違います。ここは出願前に確認する項目のひとつです。
報酬を受けて操縦するライセンス(CPL・ATPL)には、Class 1(第一種)の医学証明が必要です。パイロット課程の入学条件にも、ほぼ例外なくこれが入っています。
飛行訓練の課程では、ASIC(Aviation Security Identification Card)の取得が入学条件に挙げられます。空港の保安区域に立ち入るための身分証です。
ここが、この分野でもっとも誤解されている部分です。CPLを取った翌日に、航空会社の副操縦士になれるわけではありません。飛行時間を積む期間が必ず入ります。その期間をどう過ごすかまで設計してはじめて、この留学は形になります。
| 職種 | 就業者数 | 週給の中央値 | 見通し | 年齢中央値 | 女性比率 | フルタイム率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Aeroplane Pilot(操縦士) | 約 8,200人 | A$2,496 年換算で約 A$129,800 | Strong(強い) | 41歳 | 7% | 61% |
| Aircraft Maintenance Engineer (Avionics) | 約 2,300人 | A$1,978 年換算で約 A$102,900 | Moderate(中程度) | 35歳 | 8% | 93% |
| Aircraft Maintenance Engineer (Mechanical) | 約 1,800人 | A$1,978 年換算で約 A$102,900 | Moderate(中程度) | 33歳 | 9% | 94% |
※オーストラリア政府の職業情報サイト(Your Career)に掲載されている数値です。「週給の中央値」はフルタイム就業者の全職種調査に基づくもので、経験年数・雇用形態・地域によって実際の収入は大きく変わります。年換算は週給を52倍した参考値です。
150〜200時間
飛行時間を積む段階
ターボプロップの副操縦士
ジェット機
CPLの後にもっとも多く選ばれる道とされています。追加の訓練は4〜6週、費用はA$22,000〜34,000程度という案内が業界メディアで示されています。教えながら飛行時間を積めるのが利点です。
ジェネラルアビエーション(一般航空)と呼ばれる領域です。オーストラリアは国土が広く、地方部の航空需要が大きいのが特徴で、地方拠点の運航会社が受け皿になります。
Rex や QantasLink といった地方路線のターボプロップ機が、路線パイロットとしての最初の段階にあたります。多発機の計器飛行証明を持っていることが前提になる求人が多い領域です。
操縦以外にも、フライトディスパッチャー(運航管理)、安全管理、訓練部門など航空会社の内部職があります。航空の学位はここでも評価されます。
航空会社から整備を受託する事業者です。EASA基準を採用する事業者が世界的に多く、EASA認定を出口とする課程はここで意味を持ちます。
空港で運航の合間に行う整備です。公的データでは、整備士の主な就業先として「製造業」「公共行政・安全」「運輸・郵便・倉庫」が挙げられています。
オーストラリアは資源開発、救急搬送、山火事対応でヘリコプターの需要が大きい国です。地方拠点の運航会社も整備士を必要とします。
整備士はパイロットと違い、190(州指名ビザ)の対象です。ここが両者の決定的な違いで、永住を視野に入れるなら整備の側が現実的な設計になり得ます。
| 方向 | 学ぶもの | 永住ルートの観点 |
|---|---|---|
| 航空エンジニア(Aeronautical Engineer) | 工学部の航空宇宙工学。設計・解析の側です | ANZSCO 233911 は MLTSSL・CSOL の両方に掲載。189(技術独立)・485の対象で、航空分野で唯一これらの記載がある職種です(技能評価はEngineers Australia) |
| 空港・航空会社のオペレーション | Bachelor of Aviation Management(スウィンバーン工科大学など)/ビジネス系の学位 | 職種により異なります。学位ルートなので485(Post-Higher Education Work)は職業の指名なし |
| 客室乗務員 | Aviation Australia のフライトアテンダント養成課程など | Flight Attendant(451711)は ROL・CSOL に掲載。189・190・485の記載はありません(専用ページはこちら) |
| 無人航空機(ドローン) | Remote Pilot Licence。学位の副専攻として扱う大学もあります | 単独の職業リスト掲載は確認できませんでした |
内務省の職業リスト(skilled occupation list)で確認できる、航空関連職の掲載状況です。ここは制度が頻繁に改定されるため、出願時点で必ず引き直してください。
| 職業 | ANZSCO | 掲載リスト | 対象ビザ | 技能評価機関 |
|---|---|---|---|---|
| Aeroplane Pilot(操縦士) | 231111 | ROL・CSOL | 407/489/491/494/482/186 189・190・485の記載なし | CASA |
| Helicopter Pilot(回転翼操縦士) | 231114 | ROL・CSOL | 407/489/491/494/482/186 | CASA |
| Flying Instructor(飛行教官) | 231113 | ROL・CSOL | 407/489/491/494/482/186 | VETASSESS |
| Air Transport Professionals nec | 231199 | ROL・CSOL | 494/482/186 | VETASSESS |
| Aircraft Maintenance Engineer(Avionics/Mechanical/Structures) | 323111 323112 323113 | STSOL・CSOL | 190/407/489/491/494/482/186 189・485の記載なし | TRA |
| Aeronautical Engineer(航空エンジニア) | 233911 | MLTSSL・CSOL | 189/190/407/485/489/491/494/482/186 | Engineers Australia |
| Air Traffic Controller(航空管制官) | 231112 | RSMS ROL の表示のみ | 対象ビザの記載なし | 記載なし |
| Flight Attendant(客室乗務員) | 451711 | ROL・CSOL | 407/489/491/494/482/186 | VETASSESS |
Aeroplane Pilot は ROL と CSOL のみ。対象は482(雇用主スポンサー)、186(雇用主指名)、491・494(地方の州指名/雇用主)で、いずれも自分ひとりでは完結しません。
Aircraft Maintenance Engineer は STSOL・CSOL 掲載で、190(州指名)が対象。雇用主のスポンサーがなくても、州の指名を得る道が残されています。これは操縦士との大きな違いです。
航空関連職のうち485の記載があるのは Aeronautical Engineer だけです。ただしこれは職業の指名が必要なストリームの話で、学士以上のストリームには職業指定がありません。
| ストリーム | 対象の学歴 | 職業の指名 | 滞在期間 | 申請料 |
|---|---|---|---|---|
| Post-Higher Education Work | 学士以上 | 不要 | 通常2〜3年(資格により異なります) | A$5,750〜 |
| Post-Vocational Education Work | 準学士・Diploma・トレード資格 | 必要(+技能評価) | 最長18ヶ月 | A$5,750〜 |
※申請時に35歳以下であることが要件とされています(例外あり)。金額・要件はいずれも改定されるため、出願時点の内務省の公式情報を必ず確認してください。
オーストラリアで取ったライセンスを、日本でそのまま使えるわけではありません。ただし、まったく無駄になるわけでもありません。制度の要点だけ整理します。
日本の航空従事者技能証明(事業用操縦士など)は国土交通省が所管しています。外国のライセンスを持っている場合、学科試験の一部が免除される取扱いがありますが、免除される科目や、その前提となる要件は個別に定められています。
また、外国で取得した航空英語能力証明の切替についても、国土交通省が手続きを設けています。
※免除の範囲・必要書類・手数料は制度改正で変わります。「オーストラリアのCPLを持っていれば日本でこれだけ免除される」と断定できる形では書けません。実際の可否は、地方航空局(東京航空局・大阪航空局)に事前照会するのが確実です。ここはアンアルウェンでも確認をお手伝いします。
日本の一等・二等航空整備士も国土交通省が所管する国家資格で、オーストラリアやEASAのライセンスがそのまま日本の資格になる仕組みはありません。
ただし、日本の航空会社・整備会社が海外での整備実務経験や英語力を評価するケースはあります。とくにEASA基準は世界の多くのMROが採用しているため、実務の共通言語として通用しやすいという側面はあります。
航空は英語が業務言語の産業です。マニュアル、整備記録、管制交信、メーカーとのやりとり ── すべて英語で回ります。
オーストラリアで訓練を受け、AELPレベル4以上を持ち、英語で航空の実務を経験したという事実は、日本の航空業界でもそのまま説明できる材料になります。ライセンスの切替が必要でも、この部分は目減りしません。
IELTS 6.0〜6.5まで
この段階で確定させます
10〜16ヶ月
飛行時間を積む段階へ
ファウンデーション等
2〜3年
職業の指名なし
教官・小型運航など
IELTS 6.0(各5.5)
95週・A$63,000
CQUで1.5年
州指名の対象職種
航空宇宙工学など
2〜3年
技能評価
MLTSSL掲載職種
この分野で最初に確認すべき点です。「Bachelor of Aviation」という名前だけでは判断できません。含まれない場合、外部の訓練機関の見積りを足して初めて総額が出ます。
Diploma課程で150時間〜200時間の幅があります。時間が多いほど費用は上がりますが、そのぶん実力と、次のステップでの評価につながります。金額だけの比較は成立しません。
規定時間で基準に届かなければ、追加訓練が必要です。この単価が事前に示されているかどうかで、見積りの信頼度が変わります。
組み込まれている学校と、別料金の学校があります。これはライセンス発行の要件なので、どこかで必ず必要になります。
DAME(指定航空医)の紹介、予約、必要書類の案内 ── ここを丁寧に案内してくれる学校は、他の手続きも丁寧なことが多いです。
飛行訓練は天候に左右されます。訓練空域の混雑度、雨季の有無、風の傾向は、修了までの実際の期間に効いてきます。ムーラビン、バンクスタウン、アーチャーフィールド、ゴールドコーストで条件が違います。
留学生向けの課程はEASA認定が出口になっていることがあります。どちらを目指すかで、その後の就職先も、必要な実務経験も変わります。入学前に確定させるべき点です。
目的とご予算の確認
パイロット志望はここが先
適性試験・面接の対策
ASIC・ARNの手配も
到着後サポート
学校選び・出願手続き・GS(Genuine Student)対策・学生ビザ申請を、すべて無料でサポートします。
オーストラリアに提携オフィスがあります。滞在中から帰国まで、継続してご相談いただけます。
一人ひとりに時間をかけるため、サポート人数を限定しています。大手のような画一的な案内はしません。
授業や校内の雰囲気を自分の目で確認したうえで厳選しています。
オーストラリア留学に特化して活動してきました。
費用・生活面のデメリットも隠しません。このページで永住ルートの制約を先に書いているのも、同じ考え方からです。
「手続きだけを代行するエージェント」ではなく、「留学という大きな挑戦を一緒に考え、現地でも支え続けるパートナー」であること。それが、アンアルウェンが他の留学エージェントに負けない一番の強みです。
飛行経験がまったくありません。ゼロからでも入れますか。
はい。AVI50222 Diploma of Aviation(CPL)は、飛行経験のない方を対象とした統合課程として設計されています。RPL(自家用の入門段階)から始めて、PPL、CPLと順に進みます。入学条件は18歳以上・高校卒業程度・英語(IELTS 6.0〜6.5)・適性試験と面接・Class 1 医学証明で、飛行経験は問われません。
視力が悪いのですが、パイロットになれますか。
これはClass 1 医学証明の基準次第で、こちらで「大丈夫です」とお答えできる話ではありません。矯正視力で基準を満たせば認められる場合もあれば、条件が付く場合もあります。判断するのはCASA指定の航空医(DAME)です。
ただし、これは早い段階で確定できる項目でもあります。学費を払う前に受診しておけば、取れない場合に整備や他の分野へ切り替える判断ができます。この分野では、医学証明を先に取るのが合理的です。
オーストラリアでCPLを取れば、日本の航空会社に就職できますか。
そのままでは使えません。日本で報酬を得て操縦するには、国土交通省の技能証明(事業用操縦士など)が必要です。外国のライセンスを持っている場合、学科試験の一部が免除される取扱いがありますが、免除の範囲は個別に定められています。
また、日本の航空会社の採用要件は各社が定めており、「オーストラリアのCPLがあればこの会社に入れる」と言えるものではありません。渡航前に、目指す進路の要件を具体的に確認したうえで課程を選ぶことをおすすめします。
CPLを取ったあと、オーストラリアで働けますか。
働くにはビザが必要で、ここが最大の課題です。Aeroplane Pilot(231111)は ROL・CSOL に掲載されており、482(雇用主のスポンサー)・186・491・494 が対象。189(技術独立)と190(州指名)の記載はありません。つまり雇ってくれる会社か、州の関与が必要です。
また、Qantas Group Pilot Academy は市民・永住者が対象のため、留学生はこの制度からは入れません。
大学の航空学位を出た場合は、卒業生ビザ(485)の Post-Higher Education Work stream で2〜3年の滞在が可能になり、その間に飛行時間を積む設計は取れます。この点が、Diplomaルートと学位ルートの実質的な差です。
航空整備のほうが永住しやすいというのは本当ですか。
制度上、選択肢は広いです。Aircraft Maintenance Engineer(323111/323112/323113)は STSOL・CSOL に掲載され、190(州指名)が対象に入っています。操縦士には190の記載がないため、この点は明確な違いです。
ただし「しやすい」と言い切ることはできません。州指名には州ごとの要件(職種リスト、居住歴、雇用状況など)があり、年度によって変わります。またCASAのPart 66ライセンスには実務経験が必要で、それを積むには就労できるビザが要るという循環もあります。制度上の入口があることと、実際に通ることは別の話です。
整備の課程でEASA認定と書かれていました。CASAのライセンスにはなりませんか。
留学生向けの Diploma(11064NAT)は、EASA(欧州航空安全機関)のカテゴリーB1.1に対する Certificate of Recognition を出口としています。CASAのPart 66ライセンスが自動的に出るものではありません。
CASAは、海外のライセンス保持者がCASAの承認を受けたPart 147訓練機関で評価を受け、その報告をもとにPart 66ライセンスを申請する道を案内しています。ただし、どの程度の追加要件が生じるかは個別の審査です。「この課程を出れば何年でCASAのライセンスが取れる」と断定できる公式の記述は確認できませんでした。進学先に書面で確認することをおすすめします。
在学中にアルバイトはできますか。
学生ビザでは授業期間中は2週間あたり48時間まで、長期休暇中は制限なく就労できます(修士研究課程・博士課程は制限なし)。
ただし飛行訓練は天候に左右されるため、スケジュールが直前に変わります。固定シフトのアルバイトとは相性がよくありません。資金計画は「アルバイトで補う」前提ではなく、必要額を先に確保しておく設計をおすすめします。
Diplomaと大学の学位、結局どちらがいいですか。
「日本に帰る前提か」で分かれます。
日本や第三国で就職する前提なら、専門学校のDiplomaが合理的です。最短10ヶ月、最安 A$89,950 でCPLまで到達できます。
オーストラリアに残る可能性を残したいなら、大学の学位です。卒業生ビザ(485)のストリームが変わり、卒業後に滞在して飛行時間を積む期間を確保しやすくなります。費用は2.5倍から5倍以上になりますが、そこで買っているのは「時間を積む場所」です。
迷われる場合は、ご予算の上限と、5年後にどこにいたいかを聞かせてください。そこから逆算してご提案します。
英語がIELTS 5.0程度です。どのくらいの準備期間が必要ですか。
一般にIELTSのスコアを0.5上げるのに、集中的な学習で3ヶ月前後が目安とされますが、これは個人差が大きく、確約できるものではありません。5.0から6.0であれば、語学学校で半年前後を見込む方が多いという実感はあります。
加えて、この分野ではAELP(航空英語能力証明)レベル4という別の関門があります。入学要件を満たしただけでは終わらない点を織り込んだうえで、期間と費用を組んでください。
航空管制官(Air Traffic Controller)を目指せますか。
留学からのルートは、現時点では見当たりません。内務省の職業リストで Air Traffic Controller(231112)は「RSMS ROL」の表示のみで、対象ビザも技能評価機関も記載されていません。
航空管制は各国とも保安上の理由から採用要件が厳しく、オーストラリアで留学生が管制官になるルートは、制度として整備されていないとお考えください。
操縦・整備以外で航空業界に入る道。Aviation Australia の養成課程は日本人に人気があります。英語力とホスピタリティが問われる職種です。
手を動かす仕事という点で、航空整備と発想が近い分野です。職業リストの掲載状況や技能評価(TRA)の仕組みも共通する部分があります。
航空機の電子装備(アビオニクス)に関心がある方は、こちらの分野も選択肢に入ります。永住ルートの観点では、こちらのほうが広い構成です。
空港運営、航空会社のオペレーション、ロジスティクス。「航空業界で働く」の入口は、操縦席と整備場だけではありません。
航空券・旅客サービス・旅行商品の企画。航空と隣り合う産業で、就労につながりやすい分野です。
26分野の一覧から、ご自身の目的に合う領域を探せます。「航空にこだわりたい」のか「航空に関わりたい」のかで、選ぶ分野が変わります。
航空留学は、順番を間違えると
取り返しがつかない分野です
Class 1 医学証明が取れるか。飛行訓練費が学費に含まれるか。卒業後にどのビザで残るのか。
この3つを先に確定させるだけで、その後の判断がはっきりします。
アンアルウェンは、学校選びからGS対策・学生ビザ申請まで無料でサポートします。
毎月12名様限定で、一人ひとりのご事情に合わせてお時間をいただいています。
「まだ迷っている段階です」というご相談で構いません。迷っている段階のほうが、設計の余地が大きいからです。
このページについて
各大学・専門学校および政府機関の公式情報をもとに、アンアルウェンの留学カウンセリングチームが作成しています。最終更新:2026年8月6日/執筆・監修:アンアルウェン 留学カウンセリングチーム
学費・入学要件・ライセンス制度・ビザ要件・職業リストの掲載状況は変更される場合があります。出願前に必ず最新情報をご確認ください。とくに飛行訓練費、Class 1 医学証明の費用、ビザ申請料は改定が続いている項目です。
アンアルウェンは留学手続きのサポートを行う留学エージェントです。ビザ申請に関する法律上の助言は、MARA(登録移民代理人)の業務範囲となります。個別のビザ判断が必要な場合は、登録移民代理人をご案内します。