小学校 / 中高 / 特別支援 / 学費 / 登録
オーストラリアで教員として働くには、学位を取るだけでは足りません。 州の教員登録機関(NSWならNESA、ビクトリアならVIT)に登録して、初めて教壇に立てます。 すでに大学を出ている方なら、2年のMaster of Teachingで目指せます。 ただし登録の英語要件は IELTSのスピーキング8.0・リスニング8.0。この数字が、この分野のすべてを決めます。
Summary — 3分でわかる
オーストラリアの教員登録は全州共通で、IELTS Academic の4技能平均7.5、どの技能も7.0以上、そのうえでスピーキングとリスニングは8.0以上を求めます。この分野を検討するなら、最初に直視すべき数字はここです。
サザンクロス大学とチャールズダーウィン大学は入学時 IELTS 7.0。一方 UTS・カーティン・ECU・QUT は入学時点で7.5/S・L 8.0。前者は「入学は早いが、在学中に8.0まで上げる必要がある」という設計になります。
中等教員は「教える教科のメジャー(おおむね6科目)」が出願条件です。数学を教えたいなら学部で数学を、理科なら理科を履修していることが求められます。初等教員は教科の縛りが緩い代わりに、永住ルートが狭くなります。
最も安いのがサザンクロス大学(年26,000)。ただし初等・中等が学べるのはゴールドコースト校とパース校だけで、シドニー・メルボルン・ブリスベンの3校は幼児教育のみという条件があります。定価の表だけでは判断を誤ります。
中等教員(241411)と特別支援教員(241511 ほか)はMLTSSL・CSOLの両方に掲載。初等教員(241213)はCSOLのみで、独立技術移住(189)の対象になりません。「教員になる」という同じ目的でも、校種の選択でルートの幅が変わります。
Master of Special and Inclusive Education などの課程は、すでに教員資格を持つ人が専門を足すためのもので、これ単体では教員登録につながりません。ゼロから目指すなら Master of Teaching → 教員登録 → 特別支援の上乗せ、またはACUの学部4年課程という順序になります。
職業リスト・登録基準・州指名の枠は毎年見直されます。最新の可否は登録移民エージェント(MARA登録)にご確認ください。本ページの記載は一般的な情報提供であり、個別の移民アドバイスではありません。01 — Three sectors
オーストラリアの学校教員は、大きく3つの校種に分かれます。 Early Childhood(就学前)、Primary(初等・おおむね小学校)、Secondary(中等・日本の中学と高校にあたる)。 加えて、これらの資格の上にSpecial Needs/Inclusive Education(特別支援・インクルーシブ教育)の専門が乗ります。
日本との最大の違いは、資格が「免許」ではなく「登録(registration)」として管理されていることです。 日本の教員免許が文部科学省の制度で全国一律なのに対し、オーストラリアは州ごとの登録機関が担当します。 NSW州はNESA、ビクトリア州はVIT、クイーンズランド州はQCT。 ただし登録の基準そのものは全国で統一されているため、ある州で登録できれば、他州への移動も手続き上は可能です。
1クラスの担任として、全教科を教えます。学部で特定の教科を専攻していなくても出願できる代わりに、小学校の学習領域でフルタイム1年分の履修が求められます。
教科担任として、専門の1〜2教科を教えます。学部での専攻がそのまま教える教科になるのが特徴。数学・理科・技術科は全国的に不足が続いています。
支援学級・特別支援学校・通常学級での個別支援。校長の6割が人材確保に苦労していると回答する、最も人が足りない領域です。
「先生になる」を一括りにしないでください。オーストラリアの教育系の職には、学校教員(初等241213/中等241411/特別支援241511)のほかに、幼児教育教員(Early Childhood Teacher・241111)、英語教師(TESOL)、保育スタッフ(Child Care Worker)などがあり、必要な学歴も、英語要件も、給与も、永住との距離もそれぞれ違います。学校教員はそのなかで最も要件が重い代わりに、給与水準と職としての安定性が最も高い区分です。
02 — The four gates
オーストラリアで教壇に立つまでに、通らなければならない関門は4つです。順番に見ていきます。
| 関門 | 内容 | いつ |
|---|---|---|
| 01 認定された課程に入る | Initial Teacher Education(ITE)として認定された課程であること。認定されていない教育系の修士(Master of Education など)を出ても、教員登録にはつながりません | 出願時 |
| 02 LANTITE に合格する | 読み書き・数的能力の全国共通テスト。卒業前に合格が必要。2025年から受験回数の上限が撤廃されました | 在学中 |
| 03 実習を終える | 大学院ルートで60日以上、学部ルートで80日以上の教育実習。実習前にWorking with Children Checkの取得が必要です | 在学中 |
| 04 州の教員登録を受ける | NESA(NSW)・VIT(VIC)・QCT(QLD)など。ここで英語要件(S・L 8.0)が問われます | 卒業後 |
「教育学の修士」と「教員養成課程」は別物です。ここを取り違えると2年が無駄になります。Master of Education(M.Ed.)は、すでに教員である人が専門性を深めるための課程で、多くの場合これを修了しても教員登録はできません。教員資格につながるのは Master of Teaching(M.Teach)のほう、つまり「初期教員教育(Initial Teacher Education)」として認定された課程です。
コース名だけでは判別できません。大学によっては Master of Teaching と名乗りながら特定の校種の認定しか持たないもの、Master of Education の名前で ITE 認定を持つものもあります。判断材料は「AITSL の認定を受けた ITE 課程か」「卒業生が州の登録機関に登録できると各校が明記しているか」の2点です。アンアルウェンでは、この確認を出願前に必ず行います。
03 — The real hurdle
この分野を検討するなら、最初に見るべき数字がこれです。 オーストラリアの教員登録の英語要件は、全州共通で次の水準です。 IELTS Academic ── 4技能の平均 7.5 以上/どの技能も 7.0 を下回らないこと/そのうえでスピーキングとリスニングは 8.0 以上。
受験は申請時点からおおむね2年以内のものに限られます。IELTS以外では ISLPR(全4項目でレベル4)、PEAT(全4項目でA)が認められています。
スピーキング8.0とリスニング8.0。これはソーシャルワークや看護で求められる「全項目7.0」より、明確に一段上の水準です。 理由は単純で、教員の仕事が、話すことと聞き取ることそのものだからです。 30人の子どもに説明し、保護者と面談し、同僚と協議する。ここで英語が足りないと、仕事が成立しません。
免除される条件と、日本人が置かれる位置。この要件には免除規定があります。オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・アメリカ・カナダ・アイルランドの大学で、英語で教授・評価される高等教育を4年分修了している場合、英語試験は不要になります(NSW州のNESAは「保有する資格がすべてこれらの国のもの」であることを条件としています)。
ここで、日本の大学を出た方が置かれる位置がはっきりします。日本の学士+オーストラリアの2年間のMaster of Teaching、という組み合わせでは、この4年ルールを満たしません。したがって、ほとんどの日本人受験者は IELTS を受けることになります。これは避けられない前提として、最初に受け止めていただく必要があります。
ここが学校選びの実務的な分岐点です。入学の時点で登録と同じ水準を課す学校と、7.0で入れる学校があります。
| 学校 | 入学時の IELTS 要件 | 教員登録時(全州共通) |
|---|---|---|
| サザンクロス大学(SCU) | 総合 7.0・各技能 7.0 | 平均 7.5 各技能 7.0 以上 S・L は 8.0 |
| チャールズダーウィン大学(CDU) | 総合 7.0・各技能 7.0 | |
| UTS(シドニー工科大学) | 総合 7.5・L 8.0・S 8.0・R 7.0・W 7.0 | |
| カーティン大学 | 総合 7.5・L 8.0・S 8.0・R 7.0・W 7.0 | |
| ECU(エディスコーワン大学) | 平均 7.5・各7.0以上・S / L 8.0 | |
| QUT | 総合 7.5 以上・S / L 8.0 |
この差の意味を、正確に理解してください。SCU・CDUの7.0は「要件が低い」のではなく、「登録に必要な8.0を、在学中に取ってください」という設計です。実際、SCUは自校の案内で登録要件(S・L 8.0)を明示しています。
それでも、この2校の存在は大きな意味を持ちます。7.0で入学できれば、2年間オーストラリアで暮らしながら8.0を目指せるからです。日本でスピーキング8.0まで上げてから渡航するのと、現地で英語に囲まれながら上げるのとでは、かかる時間が変わります。一方で「在学中に届かなかった場合、学位は取れても登録できない」というリスクを負うことも事実です。どちらを選ぶかは、現在のスコアと期限から逆算して決めます。
カウンセラーから、ひとつだけ。この分野のご相談で、いちばん多くお伝えしているのは「今のスコアを教えてください」という一言です。学校の話より先に、そこから逆算しないと計画が組めません。スピーキング8.0は、日本での英語学習の延長線上で自然に届く数字ではありません。ただし、すでに7.0が出ている方であれば、現地で2年過ごすうちに8.0に届く方は少なくありません。逆に6.0台で止まっている段階なら、まず語学学校を含めた設計が必要です。「無理です」ではなく、「何年かければ届くか」を一緒に計算するのが私たちの仕事だと考えています。
04 — Two routes
すでに大学を卒業している方は、こちらが基本です。初等・中等・幼児教育のいずれかを選び、2年で教員資格につながる学位を取ります。注意:この2年だけでは、英語試験の免除条件(4年ルール)は満たしません。
4年分の高等教育をオーストラリアで修了することになるため、英語試験の免除条件を満たす可能性があります。ただし日本の高校卒業では直接出願できず、ファウンデーションコースやディプロマが必要になる大学が多くあります。またアデレード大学の学部教員課程のように、入学時点で IELTS 7.5/S・L 8.0 を課す大学もあります。「学部なら英語が緩い」とは限りません。
4年ルートには、もうひとつの現実があります。4年間の学費と生活費を合わせると、総額は A$200,000 を超えることも珍しくありません。すでに日本の大学を出ている方が、英語免除だけを目的に学部からやり直すのは、費用対効果が合わないケースがほとんどです。この判断は必ず、金額を並べたうえで一緒に検討します。
05 — Your subject
Master of Teaching(中等)の出願で最も見られるのは、成績でも志望動機でもなく、 「教える教科の学部科目を、どれだけ履修したか」です。
大学によって表現は違いますが、要求される水準はおおむね共通しています。
ここが、この分野で最初に確認すべきポイントです。「教員になりたい」と決めても、学部で何を学んだかによって、教えられる教科が自動的に絞られます。経済学部の方が数学の教員を目指す場合、履修した統計・数理系の科目が数えられるかどうかで結論が変わります。文学部の方が英語(English)の教員を目指す場合も同様です。
成績証明書を1科目ずつ照合すれば、「どの大学の、どの教科なら出願できるか」が分かります。この照合は無料で承っています。
初等は教科の縛りが緩く、小学校のカリキュラム領域(英語・数学・理科・保健体育・技術・芸術・人文社会)でフルタイム1年分の履修が条件になります(ACU・CDUの例)。 一般教養で履修した科目が数えられることも多く、中等より出願のハードルは低いのが実情です。
ただし、この「入りやすさ」は永住ルートの狭さと表裏です。初等教員(241213)はMLTSSLに載っていません。 目的が「オーストラリアに残ること」であれば、この点を先に把握してから校種を選んでください。
06 — Special education
特別支援教育は、この分野で最も誤解が多い領域です。まず、事実を正確にお伝えします。 Master of Special and Inclusive Education / Master of Inclusive Education といった課程は、すでに教員資格を持つ人が専門を足すためのものです。これ単体を修了しても、教員登録にはつながりません。
ゼロから特別支援教員を目指す場合、まず Master of Teaching で教員資格を取り、州の登録を受けたうえで、そこに特別支援を上乗せするという順序になります。
学生ビザとの相性に注意が必要です。これらの上乗せ課程はオンライン提供やパートタイム前提のものが多く、学生ビザで通学する形になっていない場合があります。「特別支援を学びに留学する」という組み立てが、そもそも成立しないケースがあるということです。この確認は出願前に必ず行います。
ゼロから特別支援を目指す、数少ない直接ルート。学部からであれば、初期教員教育の段階で特別支援を組み込んだ課程があります。代表例が ACU(オーストラリアカトリック大学)の Bachelor of Education (Primary and Special Education) です。4年で初等教員と特別支援の両方の資格を取る設計になっています。
なぜ、それでも特別支援を勧めるのか。この領域は、オーストラリアの学校で最も人が足りていません。小学校では校長の6割が特別支援スタッフの確保に苦労していると回答し、中学校段階では教員の44%が「自分の学校には特別支援スタッフが不足している」と答えています(OECD平均は33%)。そして永住ルートの面でも、特別支援教員(241511・241512・241513・241599)はいずれもMLTSSLに掲載されています。初等教員(241213)が載っていないことを考えると、この差は小さくありません。
07 — Schools
Master of Teaching を年 A$26,000(1ユニット3,250×8ユニット)で提供。今回確認したなかで最も安く、次に安いUNEより年 A$4,000以上下です。年3回(3月・6月・10月)の入学があり、待ち時間が少ないのも利点です。入学時の英語は IELTS 総合7.0・各技能7.0。
ただし、専攻とキャンパスの組み合わせに強い制約があります。初等・中等が学べるのはゴールドコースト校とパース校だけ。ブリスベン・メルボルン・シドニーの3校は幼児教育(Early Childhood)のみです。「シドニーで小学校教員の課程を」という組み立てはできません。実習は480時間(60日)。
サザンクロス大学のページ SCUの幼児教育教員コースNSW州アーミデール。指定地方(カテゴリー3・卒業生ビザ+2年)にあたる大学町で、教育学部の歴史が長い大学です。Master of Teaching (Secondary) の2026年留学生学費は年 A$30,480。生活費が都市部より明確に安く、地方指定の加点も得られます。
ニューイングランド大学のページノーザンテリトリー唯一の大学。幼児・初等・中等のすべてを提供し、2026年の留学生学費はいずれも年 A$32,760(10単位あたり4,095)。入学時の英語は IELTS 総合7.0・各技能7.0で、SCUと並ぶ現実的な入口です。
ノーザンテリトリーは全域が指定地方で、卒業生ビザの延長(+2年)と永住申請の加点の対象になります。加えて申請不要で自動適用される30%減額の奨学金があり、対象となれば定価から大きく下がります(対象コースは年度により変わるため、出願前に照会します)。
チャールズダーウィン大学のページグリフィス大学は Master of Primary Teaching を年 A$36,500(目安)で提供。ブリスベンとゴールドコーストにキャンパスがあります。
QUTの Master of Teaching (Secondary) は年 A$37,900(2026年・96単位)、ケルビングローブ校。16の教科専攻から選べ、実習は60日(420時間)。入学時点で IELTS 7.5・S / L 8.0 を課すため、入学できた時点で登録要件をほぼ満たしているという設計です。
メルボルン・バーウッド校。Master of Teaching (Secondary) の留学生学費は年 A$41,600と今回の比較では最も高い水準ですが、30以上の教科専攻と、大学が手配する60日以上の実習が特徴です。1.5年での早期修了オプションもあります(第3学期を使う設計)。
ディーキン大学のページ※これらの学校の2026年留学生学費は、公式ページ上で個別見積り扱いとなっているため本ページの一覧には含めていません。推測での記載はしていません。出願前に学校担当者へ直接確認し、最新額をお伝えします。
08 — Tuition
この表の金額は、すべて奨学金を適用する前の「定価」です。 実際には、大学が留学生向けに用意する成績ベースの奨学金や、チャールズダーウィン大学のような申請不要・自動適用の減額によって、 この順位が入れ替わることがあります。定価の表だけで学校を決めると、判断を誤ります。
| 大学 | 都市 | 課程 | 年額(定価) | 2年総額 |
|---|---|---|---|---|
| サザンクロス大学 最安 | ゴールドコースト/パース | M.Teach(幼児・初等・中等) | A$26,000 | 52,000 |
| ニューイングランド大学 | アーミデール 地方 | M.Teach(中等) | A$30,480 | 60,960 |
| チャールズダーウィン大学 | ダーウィン 地方 | M.Teach(幼児・初等・中等) | A$32,760 30%適用で 22,932 | 65,520 適用後 45,864 |
| グリフィス大学 | ブリスベン/ゴールドコースト | M.Primary Teaching | A$36,500 | 73,000 |
| QUT | ブリスベン | M.Teach(中等) | A$37,900 | 75,800 |
| ディーキン大学 | メルボルン(バーウッド) | M.Teach(中等) | A$41,600 | 83,200 |
| ニューカッスル大学 ※有資格教員向けの上乗せ課程 | オンライン | M.Special & Inclusive Education(1年) | A$41,175 | ― |
以上を合わせると、Master of Teaching 2年間の総額はおおむね A$115,000〜145,000 が目安になります。
09 — Scholarships
教育分野には、他分野のような「教員志望者専用の大型奨学金」は多くありません。しかし、それで終わりではありません。 大学が留学生全般に用意する成績ベースの奨学金は、教員課程にも適用されます。
| 大学 | 2年の定価 | 仮に20%減額 | 差額 |
|---|---|---|---|
| サザンクロス大学 | A$52,000 | 41,600 | ▲10,400 |
| チャールズダーウィン大学 | A$65,520 | 52,416 | ▲13,104 |
| QUT | A$75,800 | 60,640 | ▲15,160 |
| ディーキン大学 | A$83,200 | 66,560 | ▲16,640 |
※この表は「減額が学費に与える影響の大きさ」を示すための試算です。各校が20%を出すという意味ではありません。実際の減額率・対象・条件は大学ごとに異なります。
アンアルウェンを通すと、何が変わるか。
①対象になり得る奨学金の洗い出し ── 自動適用型(申請不要)と要申請型を分けて、ご経歴で対象になるものを全て確認します
②締切からの逆算 ── 要申請の奨学金は、コース出願の締切より早いことがあります。ここを外すと、条件を満たしていても受け取れません
③申請書類の作成 ── 成績証明書の換算、推薦状、志望理由書の作成をサポートします
④期間短縮の照会 ── 日本で教職課程を修了している方は、単位認定で期間が短縮できないかを学校に直接照会します。短縮できれば、それがそのまま最大の減額になります
これらはすべて無料です。エージェント経由でも、学校に支払う学費は直接申し込む場合と変わりません。
10 — Pathways
最短ルートです。期間2年/学費 A$52,000〜83,200。UTS・カーティン・ECU・QUTを含む全ての学校が出願対象になります。
この分野で最も現実的なルートです。先に渡航し、英語環境のなかで8.0を目指します。ただし在学中に届かなければ、学位は取れても登録できません。この不確実性を理解したうえで選んでいただく必要があります。卒業生ビザ(485)の期間中に受け直すことも可能です。
語学学校の費用は月 A$1,500〜2,000程度。合計で3〜3年半、総額 A$140,000前後を見込んでください。時間も費用もかかるルートです。ここで「本当に教員資格でなければならないのか」を一度立ち止まって確認することをお勧めしています。目的が「英語を教えること」ならTESOL、「子どもと関わる仕事」なら幼児教育・チャイルドケアのほうが早く届きます。
まず成績証明書の照合をしてください。科目の数え方は大学によって違い、A大学で不足でもB大学では足りることが実際にあります。中等が難しい場合、初等(Primary)に切り替えると要件が緩くなるのが一般的な解決策です。ただし初等は永住ルートが狭い点を、必ずセットでご説明します。
唯一、学位を取り直さずに済む可能性があるルートです。日本の教員免許+4年制大学の学位は、AITSLの評価で「教員資格として認められる」場合があります。詳しくは後半で整理します。ただし英語要件(S・L 8.0)は、このルートでも免除されません。
11 — LANTITE
LANTITE(Literacy and Numeracy Test for Initial Teacher Education Students)は、 オーストラリアの教員養成課程に在籍するすべての学生が、卒業前に合格しなければならない全国共通テストです。 留学生も例外ではありません。ACER(オーストラリア教育研究所)が実施します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | リテラシー65問+ニューメラシー65問=計130問(コンピュータ形式) |
| 基準 | オーストラリア成人人口の上位30%相当の読み書き・数的能力(OECDの基準で検証) |
| 受験回数 | 2025年から上限が撤廃されました。従来は生涯3回まででしたが、現在は合格するまで受け直せます |
| 合格時期 | 卒業前。NSW州では2026年8月1日から、LANTITE合格が暫定認証(conditional accreditation)の前提になります |
| 実施 | 年に複数回の受験期間が設定されます |
留学生にとって、ニューメラシーよりリテラシーが壁になります。ニューメラシーは日本の高校数学の範囲で十分に対応できる内容です。一方リテラシーは英語ネイティブの成人を基準にした読解・文法・語彙を問うため、IELTSとは違う種類の準備が要ります。
ただし、2025年に受験回数の上限が撤廃されたことで、この試験の性質は大きく変わりました。以前は「3回落ちたら課程を続けられない」という設計でしたが、現在は時間と受験料をかければ必ず通せる試験になっています。過度に恐れる必要はありません。
12 — Placement
全国基準として、大学院ルート(Master of Teaching)は60日以上、学部ルートは80日以上の教育実習(Professional Experience)が課されます。 学校によってはこれより長く、ECU の中等課程は約15週間を3ブロックに分けて実施します。
実習は見学ではありません。指導教員のもとで実際に授業を計画し、教壇に立ち、評価を行い、記録を残します。 オーストラリアの公立・私立学校が受け入れ先となり、大学が手配するのが一般的です(ディーキンは「大学が手配する」ことを明記しています)。
ここは、この留学で最も英語が要求される場面です。講義は資料や録音で補えますが、実習はそうはいきません。30人の子どもに向かって説明し、生徒の質問に即座に返し、指導教員と授業を振り返る。教員登録でスピーキング8.0・リスニング8.0が求められている理由は、まさにここにあります。
逆に言えば、この60日こそが、卒業後の就職で最も評価される経験でもあります。実習先の学校からそのまま声がかかるケースは珍しくありません。学校を選ぶことは、実習先の選択肢を選ぶことでもあります。
これらは在学中に学校の指示で進めますが、日本側で取得が必要な書類(無犯罪証明・予防接種証明の英訳など)は、渡航前に準備しておくとスムーズです。アンアルウェンでは、この段取りも含めてご案内します。
13 — Careers & salary
州の教員登録を受けると、公立・私立を問わず学校に応募できるようになります。 この分野の特徴は、給与表が公開されていることです。交渉ではなく、経験年数と職位で決まります。
| 段階 | 年収(A$) | 備考 |
|---|---|---|
| 初任(大学卒業直後) | 90,177 | 州教育省が「大学を出てすぐ」の額として公表 |
| 経験を積んだ教員(最高位) | 129,536 | 7段階の給与表を、おおむね6年で上りきる設計 |
| 校長 | 229,435 | 学校規模により変動 |
| 統括校長(Executive Principal) | 245,989 | ― |
この給与水準が、この分野を検討する最大の理由になることがあります。初任で A$90,000超は、オーストラリアの新卒職としてかなり高い部類です。しかも6年ほどで最高位に達する設計のため、収入の伸びが早い。地方・遠隔地の学校にはさらに追加の手当があり、教員不足の深刻な地域ほど条件が良くなります。一方で、州により給与表は異なります。上記はNSW州の例です。
小学校では校長の60%が特別支援スタッフの確保に苦労していると回答。中学校段階では教員の44%が不足を指摘(OECD平均33%)。
全国的な不足が続いています。学部で理系を専攻した方は、この分野で強い立場に立てます。
都市部より不足が深刻で、採用のハードルが下がり、手当が付きます。永住申請の加点とも重なります。
教育分野全体でも需要が高い領域。詳しくは幼児教育・チャイルドケアのページをご覧ください。
ただし「不足している=すぐ採用される」ではありません。2025年のJobs and Skills Australiaの調査では、教育分野は引き続き人材不足の上位に挙げられていますが、全体としては不足職種の割合が33%(2024年)から29%(2025年)へ縮小しています。この分野で最初の職を得るときに見られるのは、実習をどこで、どのように終えたかです。
冒頭の指標について ── OUTCOME(年 A$90,177)はNSW州教育省が公表する教員給与表の「大学を出てすぐ」の額です。他ページで使用している職種群の中央値とは性質が異なり、これは初任給の実額です。州により給与表は異なります。LIFE(月 約A$3,200)は学生ビザの就労上限(2週48時間)まで働いた場合の目安ですが、60日の実習期間中はこの水準の就労が現実的ではありません。14 — Read this twice
校種によって、ルートの幅がはっきり違います。
| 職種(ANZSCO) | MLTSSL | CSOL | 技能評価 |
|---|---|---|---|
| 241411 中等教員 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241511 特別支援教員 241512 / 241513 / 241599 も同様 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241111 幼児教育教員 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241213 初等教員 | ✗ 掲載なし | ✓ 掲載 | AITSL |
この1行が、この分野で最も見落とされている事実です。初等教員(241213)はMLTSSLに掲載がないため、独立技術移住(サブクラス189)の対象になりません。雇用主指名(482/186)、州指名(190・491)といったルートは制度上開かれていますが、「自力で点数を積んで申請する」というルートは使えないということです。
一方、中等教員と特別支援教員はMLTSSL・CSOLの両方に掲載されており、189を含む全てのルートが制度上開かれています。「小学校か、中学・高校か」の選択が、そのまま永住ルートの幅を決める ── この構造を知らずに校種を選ぶと、後から取り返しがつきません。
州の教員登録、AITSLの技能評価、点数の確保、州指名の枠 ── それぞれに別の関門があります。
州の教員登録(平均7.5/S・L 8.0)と、AITSLの技能評価(R7・W7・S8・L8)。基準の書き方は違いますが、実質的にはどちらもスピーキング8.0・リスニング8.0を要求します。
「教員だから通る」という保証はどこにもありません。職業リストも、2024年12月のCSOL導入以降も見直しが続いており、上記の掲載状況は永続的なものではありません。
「就職してから永住」という順序が取りづらい場合があります。
15 — For licensed teachers
日本で教員免許を持ち、教職経験がある方は、この分野で最も有利な立場にいます。理由は3つあります。
日本の4年制大学の学位+教員免許は、AITSLの技能評価で「教員資格」として認められる場合があります。その場合、Master of Teachingを取り直す必要がありません。
教職課程を修了しているということは、教える教科の学部科目を体系的に履修しているということです。中等の出願で最も厳しく見られる部分を、最初からクリアしています。
「なぜ教員なのか」を経歴で語れます。学生ビザのGS(Genuine Student)要件でも、卒業後の就職でも、教職経験は説得力そのものになります。
ただし、免除されないものが一つあります。英語です。日本の教員免許をどれだけお持ちでも、州の教員登録(平均7.5/S・L 8.0)とAITSLの技能評価(R7・W7・S8・L8)の英語要件は、そのまま残ります。日本の資格は4年ルールの免除対象になりません。この分野で日本の教職経験者がつまずくのは、ほぼ例外なくここです。
ご相談の順序をお伝えします。日本の教員免許をお持ちの方は、①AITSLの評価で認められる可能性があるか ②認められた場合、州の登録に何が足りないか ③足りないのが英語だけなら、どう埋めるか ── この順で確認します。「Master of Teachingに出願する」と決める前に、この照合をしてください。2年と A$60,000以上を節約できる可能性があります。この確認は無料で承っています。
16 — Back in Japan
まず正確にお伝えします。オーストラリアの教員資格を取っても、日本の教員免許が得られるわけではありません。 日本の免許は、日本の教職課程・免許法に沿って取得する必要があります。
そのうえで、この留学が日本で効いてくるのは次のような場面です。
この分野で最も相性がいいのは、日本ですでに教職経験がある方です。日本の免許+日本での教職経験+オーストラリアの教員資格+英語。この組み合わせは、インターナショナルスクールでも日本の学校でも、置き換えの利かない立ち位置になります。職歴のない状態でオーストラリアの資格だけを取ると、日本国内での活かし方の設計が難しくなります。
17 — Timeline
| ステップ | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 01 無料相談・経歴の確認 | 目的の整理、成績証明書と「教える教科の科目」の照合、日本の教員免許をお持ちの方はAITSL評価の可能性の確認 | 2年〜1年半前 |
| 02 英語の計画 | この分野で最も時間がかかる工程です。現在のスコアから逆算し、「入学要件7.0の学校で先に渡航」か「日本で8.0まで上げる」かを決めます | 1年半〜1年前 |
| 03 学校・校種の決定 | ITE認定の確認、教科の選択、都市(地方かどうか)、初等か中等かによる永住ルートの違いを踏まえて決定 | 1年〜9ヶ月前 |
| 04 奨学金の確認・申請 | 自動適用型・要申請型の洗い出し。要申請のものはコース出願より締切が早いことがあります | 9〜7ヶ月前 |
| 05 出願書類の作成 | 成績証明書・卒業証明書の英訳、志望理由書、英文職務経歴書。学校によっては非学力選考(面接・適性検査)があります | 9〜6ヶ月前 |
| 06 出願・オファー受領 | 条件付きオファーの場合は、条件(多くは英語)の充足へ | 6〜4ヶ月前 |
| 07 学費支払い・COE発行 | 受諾期限は学校により2〜4週間。送金の準備は先に整えておく必要があります | 4〜3ヶ月前 |
| 08 学生ビザ申請 | COE発行後、GS(Genuine Student)要件への回答作成を含めサポート | 3〜2ヶ月前 |
| 09 出発準備 | 住居手配、OSHC加入、航空券、無犯罪証明の準備、出発前オリエンテーション | 2〜1ヶ月前 |
この分野は、準備期間を長めに取ってください。理由は3つあります。①スピーキング8.0・リスニング8.0まで届く時間が読みにくいこと ②入学が年1〜2回の学校が多く、1度逃すと半年〜1年ずれること(SCUの年3回入学は例外的です)③教科要件の照合に時間がかかること。「1年前から」では間に合わないケースが実際にあります。まだ何も決まっていない段階でご相談いただくのが、この分野では正解です。
ビザの審査期間は国籍・ビザ歴・健康診断・資金状況・審査の混雑状況によって変わります。上の時期はあくまで逆算の目安としてお考えください。18 — Why An Arwen
アンアルウェンの強みは、留学の申し込みだけで終わらない、出発前から進学後まで続く伴走型サポートです。
学校選びや出願手続きはもちろん、進学で重要となるGS(Genuine Student)対策、学生ビザ申請もしっかりサポート。この分野は「なぜ教員なのか」を経歴と結びつけて語れるかが要になります。
オーストラリアには提携オフィスがあり、渡航後も学校生活や現地での手続き、困りごとを日本と現地の両方からサポートします。実習の書類やLANTITEの手続きのご相談にも対応できます。
一人ひとりに十分な時間をかけるため、サポート人数を毎月12名様限定としています。この分野は成績証明書を1科目ずつ照合する作業が要になるため、画一的な案内では対応できません。
紹介先を幅広く並べるだけではなく、スタッフが実際に学校へ足を運び、授業や校内の雰囲気を確認したうえで、厳選した学校を紹介しています。資料だけではわからないことがあります。
2008年の設立以来、3,000名以上の留学を支えてきた経験と、オーストラリア留学に特化した専門知識を生かしてご提案します。教育・保育分野へ進まれた方のサポート実績もあります。
費用や生活面の現実も率直にお伝えします。「今のスコアからだと3年かかります」「その目的ならTESOLのほうが合っています」──言いにくいことも含めてお伝えするのが、私たちの仕事だと考えています。
「手続きだけを代行するエージェント」ではなく、「留学という大きな挑戦を一緒に考え、現地でも支え続けるパートナー」であること。それが、私たちが他の留学エージェントに負けない一番の強みです。
19 — Free support
学校選びから渡航後のトラブル対応まで、すべて無料でサポートします。学校へ直接申し込む場合と比べて、余分な費用は一切かかりません。
※「無料」なのはアンアルウェンの手配代行サービスです。滞在手配料・寮費・保険料・出願料・受験料などの実費は別途かかります。
20 — FAQ
Free consultation
出願できる学校と、教えられる教科が、その場で分かります。 「私の学部で、数学の教員は目指せる?」「日本の教員免許は使える?」「スピーキング7.0だけど、あと何年かかる?」「小学校と中学・高校、どちらが自分に合う?」 この分野は、経歴とスコアで提案がまったく変わります。 ご相談・お見積りはすべて無料で、無理な勧誘は一切いたしません。
新規サポート 毎月12名様限定21 — Related
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最終更新日:2026年8月20日/執筆・監修:アンアルウェン 留学カウンセリングチーム
本ページのコース内容・学費・入学条件・認定状況・登録基準・奨学金・給与・職業リストは、各大学、AITSL、各州の教員登録機関(NESA・VIT・QCT ほか)、ACER、NSW州教育省および内務省の公式情報をもとに、アンアルウェンが確認・翻訳・整理したものです。制度・金額は予告なく変更される場合があるため、出願前には必ず最新情報をご確認ください。
※UTS・カーティン大学・ECU・ACU・ウェスタンシドニー大学の2026年留学生学費は、公式ページ上で個別見積り扱いとなっているため一覧に含めていません。推測での記載はしていません。「仮に20%減額」の試算は影響の大きさを示すためのもので、各校がその率を出すという意味ではありません。
※冒頭のOUTCOME(年 A$90,177)はNSW州教育省が公表する教員給与表の「大学を出てすぐ」の額で、他ページで使用している職種群の中央値とは性質が異なります。州により給与表は異なります。
※本ページの記載は一般的な情報提供であり、個別の移民アドバイスではありません。ビザ・移住に関する判断は、必ず登録移民エージェント(MARA登録)にご確認ください。