オーストラリアで教員として働くには、学位を取るだけでは足りません。州の教員登録機関(NSWならNESA、ビクトリアならVIT)に登録して、初めて教壇に立てます。
すでに大学を出ている方なら、2年のMaster of Teachingで目指せます。ただし登録の英語要件はIELTSのスピーキング8.0・リスニング8.0。この数字が、この分野のすべてを決めます。
DATA ── 教育学・教員留学の要点
このページの結論 ── 3分でわかる教員留学
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オーストラリアの学校教員は、大きく3つの校種に分かれます。Early Childhood(就学前)、Primary(初等・おおむね小学校)、Secondary(中等・日本の中学と高校にあたる)。加えて、これらの資格の上にSpecial Needs/Inclusive Education(特別支援・インクルーシブ教育)の専門が乗ります。
日本との最大の違いは、資格が「免許」ではなく「登録(registration)」として管理されていることです。日本の教員免許が文部科学省の制度で全国一律なのに対し、オーストラリアは州ごとの登録機関が担当します。NSW州はNESA、ビクトリア州はVIT、クイーンズランド州はQCT。ただし登録の基準そのものは全国で統一されているため、ある州で登録できれば、他州への移動も手続き上は可能です。
1クラスの担任として、全教科を教えます。学部で特定の教科を専攻していなくても出願できる代わりに、小学校の学習領域でフルタイム1年分の履修が求められます。
教科担任として、専門の1〜2教科を教えます。学部での専攻がそのまま教える教科になるのが特徴。数学・理科・技術科は全国的に不足が続いています。
支援学級・特別支援学校・通常学級での個別支援。校長の6割が人材確保に苦労していると回答する、最も人が足りない領域です。
オーストラリアで教壇に立つまでに、通らなければならない関門は4つです。順番に見ていきます。
| 関門 | 内容 | いつ |
|---|---|---|
| 01 認定された課程に入る | Initial Teacher Education(ITE)として認定された課程であること。認定されていない教育系の修士(Master of Education など)を出ても、教員登録にはつながりません | 出願時 |
| 02 LANTITE に合格する | 読み書き・数的能力の全国共通テスト。卒業前に合格が必要。2025年から受験回数の上限が撤廃されました | 在学中 |
| 03 実習を終える | 大学院ルートで60日以上、学部ルートで80日以上の教育実習。実習前にWorking with Children Checkの取得が必要です | 在学中 |
| 04 州の教員登録を受ける | NESA(NSW)・VIT(VIC)・QCT(QLD)など。ここで英語要件(S・L 8.0)が問われます | 卒業後 |
ここを取り違えると2年が無駄になります。Master of Education(M.Ed.)は、すでに教員である人が専門性を深めるための課程で、多くの場合これを修了しても教員登録はできません。教員資格につながるのはMaster of Teaching(M.Teach)のほう、つまり「初期教員教育(Initial Teacher Education)」として認定された課程です。
この分野を検討するなら、最初に見るべき数字がこれです。オーストラリアの教員登録の英語要件は、全州共通で次の水準です。
スピーキング8.0とリスニング8.0。これはソーシャルワークや看護で求められる「全項目7.0」より、明確に一段上の水準です。理由は単純で、教員の仕事が、話すことと聞き取ることそのものだからです。30人の子どもに説明し、保護者と面談し、同僚と協議する。ここで英語が足りないと、仕事が成立しません。
この要件には免除規定があります。オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・アメリカ・カナダ・アイルランドの大学で、英語で教授・評価される高等教育を4年分修了している場合、英語試験は不要になります(NSW州のNESAは「保有する資格がすべてこれらの国のもの」であることを条件としています)。
ここで、日本の大学を出た方が置かれる位置がはっきりします。日本の学士+オーストラリアの2年間のMaster of Teaching、という組み合わせでは、この4年ルールを満たしません。したがって、ほとんどの日本人受験者は IELTS を受けることになります。これは避けられない前提として、最初に受け止めていただく必要があります。
ここが学校選びの実務的な分岐点です。入学の時点で登録と同じ水準を課す学校と、7.0で入れる学校があります。
| 学校 | 入学時の IELTS 要件 | 教員登録時(全州共通) |
|---|---|---|
| サザンクロス大学(SCU) | 総合 7.0・各技能 7.0 | 平均 7.5 各技能 7.0 以上 S・L は 8.0 |
| チャールズダーウィン大学(CDU) | 総合 7.0・各技能 7.0 | |
| UTS(シドニー工科大学) | 総合 7.5・L 8.0・S 8.0・R 7.0・W 7.0 | |
| カーティン大学 | 総合 7.5・L 8.0・S 8.0・R 7.0・W 7.0 | |
| ECU(エディスコーワン大学) | 平均 7.5・各7.0以上・S / L 8.0 | |
| QUT | 総合 7.5 以上・S / L 8.0 |
この分野のご相談で、いちばん多くお伝えしているのは「今のスコアを教えてください」という一言です。学校の話より先に、そこから逆算しないと計画が組めません。
スピーキング8.0は、日本での英語学習の延長線上で自然に届く数字ではありません。ただし、すでに7.0が出ている方であれば、現地で2年過ごすうちに8.0に届く方は少なくありません。逆に6.0台で止まっている段階なら、まず語学学校を含めた設計が必要です。「無理です」ではなく、「何年かければ届くか」を一緒に計算するのが私たちの仕事だと考えています。
すでに大学を卒業している方は、こちらが基本です。初等・中等・幼児教育のいずれかを選び、2年で教員資格につながる学位を取ります。実習は60日以上。
高校卒業後、または専門学校卒業後に直接進むルートです。実習は80日以上。時間も費用も大きくなりますが、4年分の高等教育をオーストラリアで修了することになるため、英語試験の免除条件を満たす可能性があります。
Master of Teaching(中等)の出願で最も見られるのは、成績でも志望動機でもなく、「教える教科の学部科目を、どれだけ履修したか」です。
大学によって表現は違いますが、要求される水準はおおむね共通しています。
初等は教科の縛りが緩く、小学校のカリキュラム領域(英語・数学・理科・保健体育・技術・芸術・人文社会)でフルタイム1年分の履修が条件になります(ACU・CDUの例)。一般教養で履修した科目が数えられることも多く、中等より出願のハードルは低いのが実情です。
ただし、この「入りやすさ」は永住ルートの狭さと表裏です。初等教員(241213)はMLTSSLに載っていません。目的が「オーストラリアに残ること」であれば、この点を先に把握してから校種を選んでください。
特別支援教育は、この分野で最も誤解が多い領域です。まず、事実を正確にお伝えします。
学部からであれば、初期教員教育の段階で特別支援を組み込んだ課程があります。代表例がACU(オーストラリアカトリック大学)の Bachelor of Education (Primary and Special Education) です。4年で初等教員と特別支援の両方の資格を取る設計になっています。
Master of Teaching を年 AUD 26,000(1ユニット3,250×8ユニット)で提供。今回確認したなかで最も安く、次に安いUNEより年 AUD 4,000以上下です。年3回(3月・6月・10月)の入学があり、待ち時間が少ないのも利点です。入学時の英語は IELTS 総合7.0・各技能7.0。
ただし、専攻とキャンパスの組み合わせに強い制約があります。初等・中等が学べるのはゴールドコースト校とパース校だけ。ブリスベン・メルボルン・シドニーの3校は幼児教育(Early Childhood)のみです。「シドニーで小学校教員の課程を」という組み立てはできません。
実習は480時間(60日)。サザンクロス大学のページもあわせてご覧ください。幼児教育教員を目指す方には、SCUの幼児教育教員コース専用ページもご用意しています。
NSW州アーミデール。指定地方(カテゴリー3・卒業生ビザ+2年)にあたる大学町で、教育学部の歴史が長い大学です。Master of Teaching (Secondary) の2026年留学生学費は年 AUD 30,480。
生活費が都市部より明確に安く、地方指定の加点も得られます。ニューイングランド大学のページもご覧ください。
ノーザンテリトリー唯一の大学。幼児・初等・中等のすべてを提供し、2026年の留学生学費はいずれも年 AUD 32,760(10単位あたり4,095)。入学時の英語は IELTS 総合7.0・各技能7.0で、SCUと並ぶ現実的な入口です。
ノーザンテリトリーは全域が指定地方で、卒業生ビザの延長(+2年)と永住申請の加点の対象になります。加えて申請不要で自動適用される30%減額の奨学金があり、対象となれば定価から大きく下がります(対象コースは年度により変わるため、出願前に照会します)。チャールズダーウィン大学のページもご覧ください。
メルボルン・バーウッド校。Master of Teaching (Secondary) の留学生学費は年 AUD 41,600と今回の比較では最も高い水準ですが、30以上の教科専攻と、大学が手配する60日以上の実習が特徴です。1.5年での早期修了オプションもあります(第3学期を使う設計)。ディーキン大学のページもご覧ください。
UTSはシドニー中心部で、実習はNSW州の多様な学校で60日。入学時 IELTS 7.5・L 8.0・S 8.0・R 7.0・W 7.0。
カーティン大学(パース)は幼児・初等・中等の3専攻を提供し、年4回の集中形式。ECU(パース・ジュンダラップ校)の中等課程は実習が約15週間と長めで、夏季・冬季スクールを使った早期修了オプションがあります。
ACUはメルボルン校・ストラスフィールド校(シドニー)で Master of Teaching (Primary) を提供。実習60日。学部では Bachelor of Education (Primary and Special Education) という、初等+特別支援の4年課程があります。ウェスタンシドニー大学はバンクスタウン・シティ校で Master of Teaching (Primary)、成績優秀者向けに学費50%減額を含む奨学金が用意されています。
※これらの学校の2026年留学生学費は、公式ページ上で個別見積り扱いとなっているため本ページの一覧には含めていません。出願前に学校担当者へ直接確認し、最新額をお伝えします。
| 大学 | 都市 | 課程 | 年額(定価) | 2年総額 |
|---|---|---|---|---|
| サザンクロス大学 最安 | ゴールドコースト/パース | M.Teach(幼児・初等・中等) | AUD 26,000 | 52,000 |
| ニューイングランド大学 | アーミデール(地方) | M.Teach(中等) | AUD 30,480 | 60,960 |
| チャールズダーウィン大学 | ダーウィン(地方) | M.Teach(幼児・初等・中等) | AUD 32,760 | 65,520 |
| グリフィス大学 | ブリスベン/ゴールドコースト | M.Primary Teaching | AUD 36,500 | 73,000 |
| QUT | ブリスベン | M.Teach(中等) | AUD 37,900 | 75,800 |
| ディーキン大学 | メルボルン(バーウッド) | M.Teach(中等) | AUD 41,600 | 83,200 |
| ニューカッスル大学 ※有資格教員向けの上乗せ課程 | オンライン | M.Special & Inclusive Education(1年) | AUD 41,175 | ― |
教育分野には、他分野のような「教員志望者専用の大型奨学金」は多くありません。しかし、それで終わりではありません。大学が留学生全般に用意する成績ベースの奨学金は、教員課程にも適用されます。
| 大学 | 2年の定価 | 仮に20%減額 | 差額 |
|---|---|---|---|
| サザンクロス大学 | AUD 52,000 | 41,600 | ▲10,400 |
| チャールズダーウィン大学 | AUD 65,520 | 52,416 | ▲13,104 |
| QUT | AUD 75,800 | 60,640 | ▲15,160 |
| ディーキン大学 | AUD 83,200 | 66,560 | ▲16,640 |
※この表は「減額が学費に与える影響の大きさ」を示すための試算です。各校が20%を出すという意味ではありません。実際の減額率・対象・条件は大学ごとに異なります。
2年
在学中
在学中
教壇へ
入学要件 7.0
2年かけて
実習60日
教壇へ
IELTS対策 6〜12ヶ月
全4項目
2年
S・L 8.0 が条件
照合が先
大学により判断が違う
2年
教壇へ
資格の照合
多くは英語
個別判断
教壇へ
LANTITE(Literacy and Numeracy Test for Initial Teacher Education Students)は、オーストラリアの教員養成課程に在籍するすべての学生が、卒業前に合格しなければならない全国共通テストです。留学生も例外ではありません。ACER(オーストラリア教育研究所)が実施します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | リテラシー65問+ニューメラシー65問=計130問(コンピュータ形式) |
| 基準 | オーストラリア成人人口の上位30%相当の読み書き・数的能力(OECDの基準で検証) |
| 受験回数 | 2025年から上限が撤廃されました。従来は生涯3回まででしたが、現在は合格するまで受け直せます |
| 合格時期 | 卒業前。NSW州では2026年8月1日から、LANTITE合格が暫定認証(conditional accreditation)の前提になります |
| 実施 | 年に複数回の受験期間が設定されます |
全国基準として、大学院ルート(Master of Teaching)は60日以上、学部ルートは80日以上の教育実習(Professional Experience)が課されます。学校によってはこれより長く、ECUの中等課程は約15週間を3ブロックに分けて実施します。
実習は見学ではありません。指導教員のもとで実際に授業を計画し、教壇に立ち、評価を行い、記録を残します。オーストラリアの公立・私立学校が受け入れ先となり、大学が手配するのが一般的です(ディーキンは「大学が手配する」ことを明記しています)。
州の教員登録を受けると、公立・私立を問わず学校に応募できるようになります。この分野の特徴は、給与表が公開されていることです。交渉ではなく、経験年数と職位で決まります。
| 段階 | 年収(AUD) | 備考 |
|---|---|---|
| 初任(大学卒業直後) | 90,177 | 州教育省が「大学を出てすぐ」の額として公表 |
| 経験を積んだ教員(最高位) | 129,536 | 7段階の給与表を、おおむね6年で上りきる設計 |
| 校長 | 229,435 | 学校規模により変動 |
| 統括校長(Executive Principal) | 245,989 | ― |
最も人が足りていない領域です。小学校では校長の60%が特別支援スタッフの確保に苦労していると回答。中学校段階では教員の44%が不足を指摘(OECD平均33%)。
全国的な不足が続いています。学部で理系を専攻した方は、この分野で強い立場に立てます。
都市部より不足が深刻で、採用のハードルが下がり、手当が付きます。永住申請の加点とも重なります。
教育分野全体でも需要が高い領域。詳しくは幼児教育・チャイルドケアのページをご覧ください。
| 職種(ANZSCO) | MLTSSL | CSOL | 技能評価 |
|---|---|---|---|
| 241411 中等教員 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241511 特別支援教員 241512 / 241513 / 241599 も同様 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241111 幼児教育教員 | ✓ 掲載 | ✓ 掲載 | AITSL |
| 241213 初等教員 | ✗ 掲載なし | ✓ 掲載 | AITSL |
日本で教員免許を持ち、教職経験がある方は、この分野で最も有利な立場にいます。理由は3つあります。
日本の4年制大学の学位+教員免許は、AITSLの技能評価で「教員資格」として認められる場合があります。その場合、Master of Teachingを取り直す必要がありません。
教職課程を修了しているということは、教える教科の学部科目を体系的に履修しているということです。中等の出願で最も厳しく見られる部分を、最初からクリアしています。
「なぜ教員なのか」を経歴で語れます。学生ビザのGS(Genuine Student)要件でも、卒業後の就職でも、教職経験は説得力そのものになります。
まず正確にお伝えします。オーストラリアの教員資格を取っても、日本の教員免許が得られるわけではありません。日本の免許は、日本の教職課程・免許法に沿って取得する必要があります。
そのうえで、この留学が日本で効いてくるのは次のような場面です。
| ステップ | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 01 無料相談・経歴の確認 | 目的の整理、成績証明書と「教える教科の科目」の照合、日本の教員免許をお持ちの方はAITSL評価の可能性の確認 | 2年〜1年半前 |
| 02 英語の計画 | この分野で最も時間がかかる工程です。現在のスコアから逆算し、「入学要件7.0の学校で先に渡航」か「日本で8.0まで上げる」かを決めます | 1年半〜1年前 |
| 03 学校・校種の決定 | ITE認定の確認、教科の選択、都市(地方かどうか)、初等か中等かによる永住ルートの違いを踏まえて決定 | 1年〜9ヶ月前 |
| 04 奨学金の確認・申請 | 自動適用型・要申請型の洗い出し。要申請のものはコース出願より締切が早いことがあります | 9〜7ヶ月前 |
| 05 出願書類の作成 | 成績証明書・卒業証明書の英訳、志望理由書、英文職務経歴書。学校によっては非学力選考(面接・適性検査)があります | 9〜6ヶ月前 |
| 06 出願・オファー受領 | 条件付きオファーの場合は、条件(多くは英語)の充足へ | 6〜4ヶ月前 |
| 07 学費支払い・COE発行 | 受諾期限は学校により2〜4週間。送金の準備は先に整えておく必要があります | 4〜3ヶ月前 |
| 08 学生ビザ申請 | COE発行後、GS(Genuine Student)要件への回答作成を含めサポート | 3〜2ヶ月前 |
| 09 出発準備 | 住居手配、OSHC加入、航空券、無犯罪証明の準備、出発前オリエンテーション | 2〜1ヶ月前 |
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学校選びや出願手続きはもちろん、進学で重要となるGS(Genuine Student)対策、学生ビザ申請もしっかりサポート。この分野は「なぜ教員なのか」を経歴と結びつけて語れるかが要になります。
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スピーキング8.0・リスニング8.0は、本当に必要ですか?下げる方法はありませんか?
必要です。これは学校ごとの入学要件ではなく、全州共通の教員登録の基準なので、学校を変えれば下がるという種類のものではありません。IELTS Academic で4技能平均7.5、どの技能も7.0以上、そのうえでスピーキングとリスニングは8.0以上。
ただし、条件の満たし方には幅があります。IELTS以外にも ISLPR(全4項目レベル4)と PEAT(全4項目A)が認められており、日本での受験機会は限られますが選択肢としては存在します。またオーストラリア・NZ・イギリス・アメリカ・カナダ・アイルランドの大学で4年分の高等教育を修了している場合は免除されます。日本の学士+2年のMaster of Teachingではこの条件を満たしませんが、オーストラリアで4年制の学部教員課程を出た場合は該当します。どのルートが現実的かは、ご経歴と現在のスコアで変わります。
日本の教員免許を持っています。オーストラリアでそのまま使えますか?
可能性はあります。ただし条件があります。日本の4年制大学の学位+教員免許は、AITSL(技能評価機関)の評価で「教員資格」として認められる場合があります。認められれば、Master of Teachingを取り直す必要がありません。これは2年と AUD 60,000以上の差になります。
ただし、英語要件は免除されません。州の教員登録(平均7.5/S・L 8.0)も、AITSLの技能評価(R7・W7・S8・L8)も、そのまま残ります。日本の資格は「英語圏4年ルール」の対象外だからです。日本の教職経験者がこの分野でつまずくのは、ほぼ例外なくここです。
Master of Teachingへの出願を決める前に、まずこの照合をしてください。①AITSLの評価で認められる可能性 ②認められた場合に足りないもの ③足りないのが英語だけなら埋め方――この順で確認します。無料で承っています。
小学校の先生と中学・高校の先生、どちらを選ぶべきですか?
目的によって答えが変わります。判断材料を2つお伝えします。
①出願のしやすさは初等が上です。初等は「小学校の学習領域でフルタイム1年分」という緩めの条件で、一般教養の科目が数えられることも多くあります。中等は「教える教科のメジャー(おおむね6科目)」が必要で、学部の専攻がそのまま制約になります。
②永住ルートの幅は中等が上です。中等教員(241411)はMLTSSLとCSOLの両方に掲載されていますが、初等教員(241213)はMLTSSLに載っておらず、独立技術移住(189)の対象になりません。州指名や雇用主指名のルートは開かれていますが、自力で点数を積んで申請するルートは使えないということです。
目的が「オーストラリアに残ること」なら、中等または特別支援を強くお勧めします。目的が「教員資格を取って日本のインターナショナルスクールで働くこと」なら、初等でも問題ありません。この判断は、必ず目的から逆算します。
特別支援教育を学びたいのですが、どのコースに出願すればいいですか?
ここは誤解が多い部分です。Master of Special and Inclusive Education(ニューカッスル大学)や Master of Inclusive Education(ウェスタンシドニー大学)といった課程は、すでに教員資格を持つ人が専門を足すためのもので、これ単体では教員登録につながりません。加えて、オンライン提供やパートタイム前提のものが多く、学生ビザで通学する形になっていない場合があります。
ゼロから特別支援教員を目指す場合、ルートは2つです。①Master of Teaching(2年)で教員資格を取り、州の登録を受けたうえで特別支援を上乗せする ②ACUの Bachelor of Education (Primary and Special Education) のように、学部4年で初等教員と特別支援を同時に取る。
それでも特別支援をお勧めする理由はあります。この領域はオーストラリアの学校で最も人が足りておらず(小学校では校長の6割が確保に苦労と回答)、永住の面でも特別支援教員(241511ほか)はMLTSSLに掲載されています。初等教員が載っていないことを考えると、この差は小さくありません。
いくらかかりますか?
Master of Teachingの学費は年 AUD 26,000〜41,600(2年で 52,000〜83,200)です。最も安いのがサザンクロス大学(年26,000)、次いでUNE(30,480)、チャールズダーウィン大学(32,760)、グリフィス大学(36,500)、QUT(37,900)、ディーキン大学(41,600)。これに生活費(学生ビザの財政要件は単身12ヶ月で AUD 29,710)、OSHC(年700〜900)、ビザ申請料 AUD 2,500〜、LANTITEとIELTSの受験料が加わり、2年間の総額はおおむね AUD 115,000〜145,000が目安になります。
ただしこの金額は定価です。チャールズダーウィン大学のように申請不要で自動適用される30%減額がある学校では、順位そのものが入れ替わります。定価の表だけでは判断を誤ります。ご経歴で対象になり得る奨学金の洗い出しは無料で承っています。
入学要件がIELTS 7.0の学校を選べば、楽になりますか?
入学は早くなりますが、要件が消えるわけではありません。サザンクロス大学とチャールズダーウィン大学は総合7.0・各技能7.0で入学できます。一方 UTS・カーティン・ECU・QUT は入学の時点で7.5/S・L 8.0を課します。
7.0で入学するという選択には、明確な利点と、明確なリスクがあります。利点は、2年間オーストラリアで暮らしながら8.0を目指せること。日本で独学するより、届くまでの時間が短くなる方が多くいらっしゃいます。リスクは、在学中に届かなかった場合、学位は取れても教員登録ができないこと。卒業生ビザ(485)の期間中に受け直すことは可能ですが、その分だけ計画が後ろにずれます。
どちらを選ぶかは、現在のスコアで決まります。すでに7.0が出ていてスピーキングが7.5に近い方なら、前者は合理的な選択です。7.0にまだ届いていない段階なら、まず語学学校を含めた設計が必要になります。
LANTITEは、留学生でも通りますか?
通ります。そして2025年から、性質が大きく変わりました。LANTITEはリテラシー65問・ニューメラシー65問の全国共通テストで、基準は「オーストラリア成人人口の上位30%相当」。教員養成課程の全学生が卒業前に合格する必要があり、留学生も対象です。
以前は生涯3回までという上限があり、3回落ちると課程を続けられませんでした。この上限が2025年に撤廃されました。現在は合格するまで受け直せます。つまり時間と受験料をかければ必ず通せる試験になっています。
留学生にとっての難所はニューメラシーではなくリテラシーです。ニューメラシーは日本の高校数学の範囲で十分対応できます。リテラシーは英語ネイティブの成人を基準にした読解・文法・語彙を問うため、IELTSとは別の準備が必要です。ただし、これは在学中に取り組む課題であって、出願段階で心配することではありません。
在学中にアルバイトはできますか?
できます。学生ビザでは就学中は2週間あたり48時間まで、長期休暇中は制限なく就労できます(「週20時間まで」は古い情報です)。
ただし、実習期間中は現実的に難しくなります。60日の実習はフルタイムで学校に入るため、その期間は学業と実習で埋まります。この分野は「働きながら学ぶ」設計が取りにくいと考えて、資金計画を立ててください。
一方で、学校のサポートスタッフ、学童保育、チュータリング、日本語補習校といった仕事は、この分野に直結します。教育現場での経験は実習でも就職でも評価されますし、英語環境で子どもと接する時間そのものが、スピーキング8.0への近道になります。
卒業すれば永住できますか?
修了=永住ではありません。そして、校種によって道筋の幅が違います。
中等教員(241411)と特別支援教員(241511・241512・241513・241599)はMLTSSLとCSOLの両方に掲載されており、独立技術移住(189)を含む全てのルートが制度上開かれています。一方初等教員(241213)はCSOLのみで、MLTSSLには載っていません。雇用主指名や州指名は可能ですが、自力で点数を積んで申請する189は使えません。
そのうえで現実をお伝えすると、州の教員登録・AITSLの技能評価・点数の確保・州指名の枠という段階があり、それぞれが別の関門です。英語の壁は二重で、登録(S・L 8.0)と技能評価(R7・W7・S8・L8)の両方で問われます。州指名の枠は毎年変動し、職業リストも改定されます。ダーウィン・アーミデールなどの地方で学ぶことは、卒業生ビザの延長と加点の両面で有利に働きます。個別の移民アドバイスは登録移民代理人(MARA)の業務範囲となるため、必要な段階で連携してご案内します。
エージェントを通すと費用は高くなりますか?
いいえ。アンアルウェンのサポートはすべて無料です。学校へ直接申し込む場合と、支払う学費は変わりません。学校選び、出願書類、GS(Genuine Student)ステートメント、学生ビザ申請、住居手配、渡航後のサポートまで、追加費用なしでご利用いただけます。この分野の場合はこれに加えて、ITE認定(教員登録につながる課程かどうか)の確認、成績証明書と教科要件の1科目ずつの照合、日本の教員免許をお持ちの方のAITSL評価の可能性の確認、自動適用型を含む奨学金の洗い出し、実習前に必要な書類の段取りまで含めてサポートします。なお、学校が定める出願料(AUD 50〜200程度)は、エージェント経由・直接申込を問わず学校に支払うものです。
教育学と近い分野、あわせて検討される方が多いページをまとめました。
Certificate III から Master of Teaching まで、入口の幅が広い分野です。幼児教育教員(241111)もMLTSSLに掲載されており、永住との距離は近い。学校教員より英語要件が現実的なコースから始められます。
目的が「英語を教えること」なら、こちらが本命です。期間も費用も英語要件も、学校教員より現実的。日本の英語教員の方がスキルアップとして選ばれることも多い分野です。ただし学校教員の資格とは別物です。
日本で保育士資格をお持ちの方、これから子どもと関わる仕事を目指す方へ。現場から入り、働きながら次を考えるという順序が取りやすい分野です。
英語要件はIELTS 7.0(全項目)で、教員登録の8.0より一段低い水準。学校のウェルビーイング部門で働くルートもあり、「子どもと社会をつなぐ仕事」という目的が同じなら比較対象になります。
まず、成績証明書と今のIELTSスコアを見せてください。
出願できる学校と、教えられる教科が、その場で分かります。
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