この分野で最初にお伝えしたいのは、オーストラリアでは「建築の学士」が認定の対象になっていないということです。AACA(オーストラリア建築認定評議会)が認定しているのは修士(Master of Architecture)で、公式にも「学士レベルの学位は認定されていません」と明記されています。
そして、卒業したあとがまだ長い。Architect と名乗るには、ログブックに3,300時間の実務を記録し、そのうち1,650時間以上をオーストラリア国内で積み、3段階の建築実務試験(APE)に合格する必要があります。
このページでは、学士3年+修士2年+実務2年=最短7年の道のりを、認定校の一覧・学費・ポートフォリオ・永住ルートまで、公式情報だけで組み立てます。
DATA ── 建築留学の要点
このページの結論 ── 3分でわかる建築留学
CONTENTS
日本語で「建築を勉強したい」と言うとき、そこにはふたつの違う願いが混ざっていることがあります。「空間や構造をデザインする力を身につけたい」のか、「Architect として登録して、自分の名前で設計をしたい」のか。オーストラリアの制度では、この2つがはっきり分かれています。
Bachelor of Architectural Design(3年)で、設計スタジオ、構造、環境性能、建築史、デジタルファブリケーションなどを学びます。ここで身につく設計とプレゼンテーションの力は、どの進路でも使えます。ただしこの学位単体はAACAの認定対象ではありません。
「Architect」は州ごとの建築士法で保護された名称です。名乗るには各州の Architects Registration Board への登録が必要で、その前提がAACA認定資格+3,300時間の実務+APE合格です。登録しなければ Architect とは名乗れません。
この構造は、日本の一級建築士制度と似ているようで、ひとつ大きく違う点があります。日本では大学の建築学科(指定科目)を出れば受験資格に近づきますが、オーストラリアでは「学士は認定の対象外」と制度側が明言していることです。AACAの公式資料には、次のように書かれています。
言い換えると、「3年で学士を取って卒業する」という選択肢は、建築家を目指す文脈では成立しにくいということです。3年で終えるなら、その先は建築デザイナー、BIMオペレーター、都市計画、インテリア、不動産開発といった「Architect と名乗らない」職域を前提に進路を考えることになります。入学前に、5年(または7年)行くのか3年で切るのかを決めておいてください。
オーストラリアで Architect として登録するまでの標準ルートは、次の3段階です。AACAは「最も一般的な経路は、認定されたオーストラリアの建築資格を修めたうえで建築実務試験(APE)を受けることである」としています。
Bachelor of Architectural Design 等
Master of Architecture(AACA認定)
3,300時間・うち1,650時間は豪州内
Part 1・2・3
州のBoardへ
学歴+ポートフォリオ
Master of Architecture
うち1,650時間は豪州内
Part 1・2・3
最短4年
建築の専攻なし
UWA Master of Architecture
うち1,650時間は豪州内
Part 1・2・3
最短5.5年
建築留学は、費用も年数も大きい選択です。あとから知ると計画が崩れる事実を、先に6つお伝えします。
繰り返しになりますが、これがこのページで最もお伝えしたい点です。AACAの公式資料に「学士レベルの学位は認定されていない」と明記されています。「オーストラリアの大学で建築を学びました」と言えても、それが3年の学士だけであれば、APEには進めません。
AACAの規定では、ログブックに記録する3,300時間のうち、1,650時間(フルタイム約1年)以上をオーストラリア国内で積む必要があります。海外での実務は最大12か月分までしか算入できません。つまり「豪州で修士を取り、日本の設計事務所で2年働いてからAPEを受ける」という組み立ては成立しません。卒業後にオーストラリアに残れるかどうかが、この分野の分岐点です。
クイーンズランド大学は「建築の学士(または同等)」+GPA 4.5/7、UNSWは「国内で認定された建築の学部学位、たとえばUNSWのBachelor of Architectural Studies(または同等)+WAM 65以上」、RMITは「オーストラリアの建築専門の学士(または同等の海外資格)」を要件としています。「デザイン系の学位ならなんでも」ではありません。グリフィス大学は比較的広く「建築、建築デザイン、デザイン、環境デザインのいずれかの関連学士」としていますが、それでも分野の限定はあります。
RMITは「入学は競争的で、学業成績と選考課題の提出にもとづいて選抜される」、カーティン大学は「コースへの入学は競争的で、高い加重平均が必要」と公式に記載しています。要件を満たすことと、席を得られることは別です。また、UNSWは2026年入学について「一部の課程は定員に達し、新規申込を締め切っている」旨の告知を出しています(2027年入学は受付中)。出願は早いほうが有利に働く局面があります。
2026年に旧アデレード大学とUniSA(南オーストラリア大学)が統合し、アデレード大学になりました。AACAの認定一覧では、旧University of Adelaide の M Arch(3CM015)と University of South Australia の M Arch(DMAE)は「2026年12月まで」、統合後のアデレード大学 M Arch(MAARC)は2026年からと記載されています。旧課程の在学生向けにはYMAAL という「ティーチアウト用の暫定認定課程」も設定されています。いま募集されている課程がどの認定に紐づくのかは、出願前に必ず確認してください。
AACAの認定一覧には、カーティン大学がOpen Universities Australia(OUA)を通じてオンライン提供する Master of Architecture(OM-ARCH/OW-ARCH)も掲載されています。認定課程であることは事実ですが、オンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。渡航して学ぶ場合は、カーティン・パースキャンパスで対面提供される MC-ARCH を選ぶことになります。「同じ大学の同じ名前の課程」でも、ビザの扱いが違う点に注意してください。
AACAが公表している「Accredited Architecture Qualifications」(2026年6月更新)から、アンアルウェンでご案内できる大学を州別に整理しました。カッコ内はコース番号と認定開始年です。
| 州 | 大学 | 認定されている課程 | 都市 |
|---|---|---|---|
| ACT | キャンベラ大学 | M Arch(913AA・2007) | キャンベラ |
| NSW | シドニー大学 | M Arch(MAARCHIT-02・2008)/B Design Arch (Hons) + M Arch【5年一貫】(BHDARARC-01/MADARARC-01・2017) | シドニー |
| UNSW | M Arch(8143・2007)/M Arch + M Property Development(8144・2025) | シドニー | |
| シドニー工科大学(UTS) | M Arch(C04235・2008)/B Des in Arch + M Arch【5年一貫】(C10413・2025) | シドニー | |
| ニューカッスル大学 | M Arch(12060・2009) | ニューカッスル | |
| 西シドニー大学 | M Arch(3761・2021) | パラマタ | |
| QLD | ボンド大学 | M Arch(SD-93017・2022)/M Arch (Prof)(SD-93045・2002) | ゴールドコースト |
| クイーンズランド大学 | M Arch(5429・2008) | ブリスベン | |
| クイーンズランド工科大学(QUT) | M Arch(DE83・2023) | ブリスベン | |
| グリフィス大学 | M Arch(5558・2013)/B Architectural Design + M Arch【5年一貫】(5759・2025) | ゴールドコースト | |
| SA | アデレード大学 | M Arch(MAARC・2026)※旧2大学の課程は2026年12月まで | アデレード |
| TAS | タスマニア大学 | M Arch(D7C・2007) | ホバート/ローンセストン |
| VIC | RMIT | M Arch(MC163・2008) | メルボルン |
| ディーキン大学 | M Arch(S700・2007)/M Arch + M Construction Management(D764・2025)/B Design (Arch) + M Arch【5年一貫】(D306・2025) | ジーロング(ウォーターフロント) | |
| モナッシュ大学 | M Arch(F6001・2022)/B Arch Design + M Arch【5年一貫】(F6003・2025) | メルボルン(コーフィールド) | |
| スウィンバーン工科大学 | M Arch(MA-ARC・2021)/M Arch and Urban Design(MA-ARCUD・2021) | メルボルン(ホーソン) | |
| WA | 西オーストラリア大学(UWA) | M Arch(25520・2008) | パース |
| カーティン大学 | M Arch(MC-ARCH・2007)※OUA経由のオンライン版は学生ビザ対象外 | パース | |
| ノートルダム大学 | M Arch(5152・2020) | フリーマントル |
修士(Master of Architecture)の入学要件・英語・学費を並べました。学費はすべて定価(奨学金適用前)です。
| 大学 | 期間 | 入学要件(学歴・成績) | 英語(IELTS) | 年間授業料(定価) |
|---|---|---|---|---|
| グリフィス大学 学費が最も低い |
2年 | 建築・建築デザイン・デザイン・環境デザインの関連学士+GPA 5.0/7+ポートフォリオ(16ページ以内) | 6.5 (各6.0) |
AUD 42,000 2026年 |
| QUT | 2年 | 認定された3年制の海外建築学士+GPA 4.5相当+承認されたポートフォリオ/または他学位+豪州M Archの1年目をGPA 4.5相当で修了 | 6.5 (各6.0) |
AUD 44,700 2026年 |
| UNSW | 2年 | 国内で認定された建築の学部学位(UNSW Bachelor of Architectural Studies等)+WAM 65以上。海外の学位はポートフォリオ必須 | 要確認 | AUD 48,500 2026年・初年度 |
| アデレード大学 | 2年 | Bachelor of Architectural Design、または認定機関の3年制プレプロフェッショナル課程+GPA 4.0/7。海外の建築学位はポートフォリオで審査 | 6.5 (各6.0) |
AUD 50,500 2026年 |
| クイーンズランド大学 | 2年 | 建築の学士(または同等)+GPA 4.5/7。GPA 4.0でも、設計事務所での実務6か月があれば可 | 6.5 (各6.0) |
AUD 52,528 2026年・16ユニット |
| RMIT | 2年 | オーストラリアの建築専門の学士(または同等の海外資格)。選考課題の提出あり・競争的 | 6.5 (各6.0) |
AUD 54,720 公式表記は2027年年額 |
| シドニー工科大学(UTS) | 2年 | 過去8年以内の建築学士+GPA 5.0/7+ポートフォリオ(建築プロジェクト3〜5件のPDF)+関連実務(該当する場合) | 6.5 (W 6.0) |
要確認 国内学生の総額のみ掲載 |
| シドニー大学 | 2年 | Bachelor of Design in Architecture/Bachelor of Architecture and Environments(または同等)+平均65以上。ほとんどの出願者にポートフォリオ必須 | 要確認 | 要確認 |
| 西オーストラリア大学(UWA) 建築以外の学位から入れる |
2年 (建築専攻なしは最長3.5年) |
学士+UWA換算の平均60%以上。建築の学部専攻がなくても出願できる数少ない課程 | 6.5 (各6.0) |
要確認 単位あたり課金 |
| カーティン大学 | 2年 | Bachelor of Applied Science (Architectural Science) または同等。競争的で高い加重平均が必要。AACA非認定課程からはポートフォリオが必要な場合あり | 6.5 (各6.0) |
要確認 国内学生の額のみ掲載 |
| ディーキン大学 | 2年 (条件により1.5年) |
建築の学士+WAM 65以上/WAM 55〜64はポートフォリオ+志望理由書で審査 | 要確認 | 要確認 |
| ボンド大学 最短で修了できる |
1年4か月 (4学期) |
学士保有者は直接入学。Graduate Diploma経由なら2年 | 要確認 | 要確認 |
ここに記載しているのは、すべて定価(奨学金適用前)の金額です。実際には、次のセクションの奨学金が自動適用されて下がることがあります。
| 大学・課程 | 期間 | 年額(定価) | 3年の総額 |
|---|---|---|---|
| QUT Bachelor of Architectural Design | 3年 (Gardens Point) | AUD 43,300 2026年・96単位 | AUD 129,900 |
| UNSW Bachelor of Architectural Studies | 3年 (144単位) | AUD 52,000 2026年・初年度 | AUD 167,500 公式掲載の総額 |
※UNSWは初年度額と修了までの総額の両方が公式に掲載されているため、両方を記載しています。QUTは年額のみの掲載のため、3年分を単純に掛けた概算です。授業料は毎年改定されるため、実際の総額は上記より上振れするのが通例です。
| 大学 | 年額(定価) | 2年の概算 | 備考 |
|---|---|---|---|
| グリフィス大学 | AUD 42,000 | AUD 84,000 | 2026年・80単位/ゴールドコースト |
| QUT | AUD 44,700 | AUD 89,400 | 2026年・96単位/ブリスベン |
| UNSW | AUD 48,500 | AUD 97,000 | 2026年・初年度の目安/シドニー |
| アデレード大学 | AUD 50,500 | AUD 101,000 | 2026年/アデレード・シティ |
| クイーンズランド大学 | AUD 52,528 | AUD 105,056 | 2026年・16ユニット/ブリスベン |
| RMIT | AUD 54,720 | AUD 109,440 | 公式表記は「2027年 年額」/メルボルン |
| ルート | 学士3年 | 修士2年 | 合計(定価) |
|---|---|---|---|
| QUTで通す | AUD 129,900 | AUD 89,400 | AUD 219,300 |
| UNSWで通す | AUD 167,500 | AUD 97,000 | AUD 264,500 |
差は AUD 45,200、1豪ドル100円換算でおよそ452万円です。ただし、この差は奨学金でひっくり返ることがあります。たとえばグリフィス大学の20%減額(申請不要)を修士2年に適用すると AUD 16,800 下がり、年額は AUD 33,600 になります。次のセクションで整理します。
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 学生ビザの財政要件(生活費) | 単身12か月 AUD 29,710 | これは実際の支出の見積もりではなく、申請時に「示せること」を求められる金額です。実際の生活費は都市によって変わります |
| 学生ビザ申請料 | AUD 2,500 | 2026年7月1日改定 |
| OSHC(留学生健康保険) | 年 AUD 700〜900 | 単身の目安。保険会社・期間により変動 |
| 模型・製図・出力の材料費 | 個人差が大きい | この分野固有の出費です。スタジオ課題ごとに模型材料、大判出力、3Dプリント等がかかります。金額は大学・課題により大きく変わるため、公表値としてお示しできる数字はありません |
| 卒業生ビザ(485)申請料 | 内務省サイトで要確認 | 金額は改定が続いているため、申請時点の公式額をご確認ください |
| APE受験料 | Part 1&2 AUD 670 Part 3 AUD 510 | ビクトリア州・2026年セッションの金額。Part 2の再受験のみは AUD 265。州により異なります |
| AACA技能評価(移住用) | AUD 440 | 豪州の認定資格を持つ人向け。処理期間は約4週間 |
5年分の総額の目安は AUD 370,000〜420,000、1豪ドル100円換算でおよそ3,700万〜4,200万円です。そのあとに、実務2年(この期間は収入があります)とAPEが続きます。
この分野で費用を下げる最大のレバーは、入学時に自動適用される授業料減額です。「定価で比べて安い大学」より、「減額後に安くなる大学」を見たほうが実態に近づきます。
授業料の20%減額。申請は不要です。オーストラリア・ニュージーランド以外の国籍で、直近の学歴がGPA 4.5/7以上、かつ出願先の学業・英語要件を満たしていることが条件です。出願と同時に自動で審査され、対象になればLetter of Offerに記載されます。対象期間は2025年トライメスター3から2027年の各トライメスター開始。
Master of Architecture は、公式に示されている除外課程リスト(医学系、歯学系、言語聴覚、MBA、フライトマネジメント等)に含まれていません。ただし除外条件には「パートタイム提供のみの課程」「提携機関との共同提供」といった項目もあるため、最終的な適用可否は出願時にご確認ください。
2026年の統合後、留学生向けの奨学金は次のように整理されています。
注意点がひとつあります。50%枠のうち Adelaide Launch Your Future ASEAN Scholarship はASEAN加盟国の学生が対象で、日本は対象に含まれていません。日本国籍の方が50%を狙う場合は、申請が必要な Academic Excellence Scholarship のほうになります。
この分野の英語要件は、比較的シンプルです。看護や教員のように「大学の入学基準」と「登録機関の基準」が二重に存在する構造にはなっていません。大学の入学要件をクリアすれば、その先で英語スコアを積み増す必要は、制度上は生じません。
| 大学 | 総合 | 各項目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| クイーンズランド大学 | 6.5 | 6.0 | Reading/Writing/Speaking/Listening 各6.0 |
| QUT | 6.5 | 6.0 | 学士・修士とも同水準 |
| グリフィス大学 | 6.5 | 6.0 | IELTS Academic |
| RMIT | 6.5 | 6.0 | 「いずれの項目も6.0を下回らないこと」 |
| カーティン大学 | 6.5 | 6.0 | IELTS Academic |
| UWA | 6.5 | 6.0 | 「いずれのバンドも6.0未満でないこと」 |
| アデレード大学 | 6.5 | 6.0 | R/L/S/W 各6.0 |
| シドニー工科大学(UTS) | 6.5 | W 6.0 | Writingのみ6.0の指定 |
英語スコアが足りない場合は、大学付属の英語コース(Direct Entry Program)を経由する方法があります。UTS College のように、大学本体とは別に付属カレッジのページを設けている学校もあります。ただし建築の場合、英語を伸ばす期間中もポートフォリオの制作は進められます。この時間の使い方は、後述のポートフォリオのセクションで触れます。
学士3年から始めて、修士2年、実務2年で合計7年が標準です。学士への入学は、大学によって「高校の成績+英語」で直接出願できる場合と、ファウンデーションコースやディプロマを経由する場合があります。QUTの Bachelor of Architectural Design はATAR/選抜ランク80.00(2026年第1学期の国内学生の実績値)を目安として公開しており、留学生の換算基準は別途設定されています。日本の高校の成績がどう換算されるかは大学ごとに違うため、成績証明書を拝見して個別に判定します。
この段階で検討する価値があるのが、5年一貫型(VIM)の課程です。学士と修士が1本の課程として設計されており、途中で修士の入学選考を受け直す必要がありません。UTS(C10413)、グリフィス大学(5759)、モナッシュ大学(F6003)、ディーキン大学(D306)、シドニー大学(BHDARARC-01/MADARARC-01)が該当します。「3年後に修士に入れなかったらどうしよう」という不確実性を、入学時点で減らせるのがこの形式の利点です。
修士2年から入れる可能性があります。合計4年(修士2+実務2)です。ただし、次の3点が論点になります。
選択肢は限られますが、あります。西オーストラリア大学(UWA)は公式に「建築を専攻した学士を持つ場合は2年、そうでない場合は最長3.5年」と記載しています。つまり建築の学部専攻がなくても Master of Architecture に出願できる課程です。入学要件は学士+UWA換算の平均60%以上。
QUTにも、「他分野の学位+オーストラリアの認定 Master of Architecture の1年目をGPA 4.5相当で修了」という入学経路が示されています。いずれも「学部3年をやり直す必要はないが、2年では終わらない」と理解しておいてください。
実務経験そのものは、修士の入学要件を緩める材料になり得ます。クイーンズランド大学は「GPA 4.5/7、または GPA 4.0+設計事務所での大学院レベルの実務6か月」と、実務で成績要件を補う経路を明示しています。UTSも「関連する職務経験(該当する場合)」を出願書類に含めています。
ただし、APEのログブックについては別の話です。AACAは海外での実務を最大12か月までしか算入せず、オーストラリア国内で最低12か月(1,650時間)を求めています。日本での長い実務経験があっても、豪州国内での1年は省略できません。
建築の修士出願で、他分野にない要素がポートフォリオです。成績が要件ぎりぎりでも作品で挽回できる余地がある一方、作品が用意できないと出願自体が難しくなります。
| 大学 | 公式に示されている要件 |
|---|---|
| UNSW | 海外の大学で建築の学部学位を修めた場合は必須。デジタル形式で、敷地分析・展開ダイアグラム・技術図面・最終プレゼンテーションを含めること |
| シドニー工科大学(UTS) | PDF形式のデジタルポートフォリオ。建築プロジェクト3〜5件 |
| グリフィス大学 | デザインポートフォリオ(最大16ページ)を提出し、審査を受ける |
| シドニー大学 | ほとんどの出願者に必要 |
| QUT | 「承認されたポートフォリオ」が入学要件に含まれる |
| ディーキン大学 | WAM 65以上なら不要。WAM 55〜64の場合はポートフォリオ+志望理由書で審査 |
| アデレード大学 | オーストラリア以外の建築学位を持つ場合、ポートフォリオの提出により審査対象となり得る |
| RMIT | ポートフォリオという語ではなく「選考課題(selection task)の提出」と記載 |
| カーティン大学 | AACA非認定の課程からの出願では必要となる場合がある |
日本の大学を卒業してから年数が経っている方へ。ポートフォリオは、卒業設計や在学中の課題を再編集して構成することが一般的です。データが手元に残っているかどうかが、準備期間を大きく左右します。設計事務所での実務作品を使う場合は、守秘義務と著作権の扱い、自分の担当範囲の明示が論点になります。「英語の準備をしながらポートフォリオを整える」という時間の使い方が、この分野では合理的です。
修士を修了したあと、Architect として登録するために受けるのが APE(Architectural Practice Examination)です。AACAが管理し、各州・準州の Architects Registration Board が実施します。全国共通の3段階構成で、年2回行われます。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 総時間 | 3,300時間以上(フルタイム約2年相当) |
| 修了後の最低時間 | 1,650時間以上(フルタイム約1年相当)を、認定資格の修了後に取得 |
| オーストラリア国内での最低時間 | 1,650時間以上。州・準州はどこでも可 |
| 海外での実務 | 最大12か月分まで算入可能 |
| 修了前の実務 | 最大1年分を記録可能(在学中のアルバイト等) |
| 各項目の時間配分 | 必須のパフォーマンス基準ごとに最低35時間、ひとつの基準につき最大350時間まで |
| 記録方法 | AACAのログブック(1シート=1プロジェクト・3か月分、全80シート)。シートの追加はできません |
| 署名 | 指導建築士の署名はAACAの要件ではありません(申請者本人の法定宣誓供述書で正確性を担保) |
建築士の全国能力基準(National Standard of Competency for Architects)の該当する項目について、知識と応用を問う筆記試験です。2026年の実施日は、セッション1が4月14日、セッション2が9月22日です。
経験のある建築家2名による面接です。候補者の作品、実務経験、専門知識について、さまざまな場面設定や調達(procurement)の論点にもとづいて評価されます。評価の水準は「複合的なプロジェクト(complex project)」を基準としており、AACAは「中規模以上で、敷地条件・計画・構造・設備・材料・構成の統合的な解決を要するプロジェクト」と定義しています。
| セッション | Part 1 申込締切 | Part 2 実施日 |
|---|---|---|
| セッション1 | ACT・QLD・WA:1月30日 NSW・NT・TAS・VIC:2月1日 SA:2月8日 | 4月14日 |
| セッション2 | ACT・QLD・WA:7月10日 NSW・NT・TAS・VIC:7月12日 SA:7月16日 | 9月22日 |
費用(ビクトリア州・2026年セッション):Part 1+Part 2 が AUD 670、Part 2の再受験のみが AUD 265、Part 3 が AUD 510。州により異なるため、受験する州のBoardの公表額をご確認ください。
※ログブックの運用に関する記載の一部は、AACAが公表している「Architectural Practice Examination — General Information and Frequently Asked Questions」(2020年11月更新版)にもとづいています。時間数・国内要件・費用については、各州Boardが2026年セッション向けに公表している内容と照合しています。受験の直前には、必ず受験する州のBoardで最新の要件をご確認ください。
登録を目指す道と、目指さない道の両方があります。どちらも建築の学位が活きる進路です。
設計事務所に就職し、指導建築士のもとで3,300時間を積んでAPEに挑む道。「Architect」の名称と、その名で設計業務を行う権限が得られます。登録は州ごとで、認定資格は全州・NZで通用します。
Architectural Designer、BIMマネージャー、都市デザイン、ランドスケープ、インテリア、建設マネジメント、不動産開発など。「Architect」と名乗らなければ、登録なしで設計に関わる業務は多くあります。ディーキン大学は建設マネジメント、スウィンバーン工科大学はアーバンデザインとの併修修士を用意しています。
AACA認定一覧には、UNSWの M Arch + M Property Development(8144)、ディーキン大学の M Arch + M Construction Management(D764)、スウィンバーン工科大学の M Arch and Urban Designが掲載されています。認定を保ったまま、2つ目の専門を積める設計です。
建築は、職業リスト上の位置づけが良好な分野です。ただしこの分野固有の事情として、「永住のため」ではなく「登録のため」に卒業後オーストラリアに残る必要があるという点があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職業コード | OSCA 241131 Architect(旧ANZSCO 232111) |
| 掲載リスト | MLTSSL(中長期戦略技能リスト)とCSOL(コアスキル職業リスト)の両方/技能レベル1 |
| 技能評価機関 | AACA |
| 評価の種類 | Verification of Australian Accredited Architecture Qualification(オーストラリア・NZ・香港・シンガポールの認定資格を持つ人向け)/Overseas Qualifications Assessment(それ以外の国で資格を取った人向け) |
| 評価費用・期間 | AUD 440(カード決済手数料別)/通常4週間以内に完了 |
| 関連職種 | Landscape Architect(232112)もCSOLに掲載/技能レベル1 |
485ビザ(Post-Higher Education Work stream)の滞在期間は、修士(コースワーク)で2年。年齢は申請時に35歳以下(修士[研究]・博士、および香港・BNOパスポート保持者は50歳以下)。コース修了後、原則6か月以内に申請します。
この2年が、そのままログブックの3,300時間を積む期間になります。逆に言えば、485を取らずに帰国すると、オーストラリア国内での1,650時間を積む機会を失います。「登録まで行くのか、修士で切り上げるのか」は、修了の1年前には決めておきたい判断です。
オーストラリアの建築修士を、日本の一級建築士の受験資格に直接つなげられるか。ここは正確にお伝えする必要があります。
つまり、枠組みは存在します。ただし「この大学のこの課程なら通ります」と、こちらから申し上げることはできません。判断は個別の履修内容にもとづき、所管の大臣が行うものであり、エージェントが結果を保証できる性質のものではありません。
本気で日本の一級建築士も視野に入れる場合は、渡航前に日本側の指定科目の一覧を確認したうえで、履修計画を立ててください。あとから科目を追加するのは困難です。シラバス・成績証明書・履修時間の記録を、在学中から保管しておくことも実務的に重要です。
一方で、オーストラリアで Architect として登録できた場合、その資格は日本での就職において明確な差別化になります。国際的な設計事務所、海外案件を扱う組織設計事務所、ゼネコンの海外部門などでは、英語での設計実務経験と豪州の登録資格の組み合わせが評価される場面があります。ただし「必ず有利になる」と断定できる統計はないため、あくまで一般的な傾向としてお伝えしています。
これが第一条件です。認定のない課程を出ても、APEに進めません。認定一覧はAACAが公表しており、コース番号まで一致しているかを確認してください。同じ大学でも課程によって認定の有無が違います。
VIMなら途中で修士の選考を受け直す必要がありません。一方、学士と修士を別に取るなら、学士を出た大学と違う大学の修士に移る自由があります。どちらが向いているかは、確実性を取るか選択肢を取るかで変わります。
定価の順位と、減額後の順位は入れ替わります。グリフィス大学の20%(申請不要)、アデレード大学の15%/25%(申請不要)など、自動適用される制度を含めて計算してください。
この分野では、卒業後2年をオーストラリアで過ごす前提になります。設計事務所の数と分布は都市によって違います。「学びたい大学」と「働きたい都市」がずれていないかを、入学前に確認しておく価値があります。
GPA、英語、ポートフォリオ、卒業からの年数。この4つのどれが足りないかで、準備の順序が変わります。UTSの「過去8年以内」のような条件は、あとから満たすことができません。早い段階での確認が要ります。
多くの大学が2月と7月の年2回入学。ボンド大学は1月と9月。UNSWは2026年入学について一部課程が定員に達した旨を告知しています。希望の入学時期に席があるかは、その都度確認が必要です。
| 時期 | やること | アンアルウェンの関わり |
|---|---|---|
| 12〜18か月前 | ルートの決定(学士から/修士から/VIM)、大学の絞り込み、成績証明書の英訳準備 | 無料相談。成績証明書を拝見して、修士に直接出願できる可能性を判定します |
| 10〜14か月前 | IELTSの受験、ポートフォリオの制作開始 | 各大学の形式要件(ページ数・件数・含める図面)を整理してお渡しします |
| 8〜12か月前 | 出願書類の準備、奨学金の対象確認 | その年の減額制度の対象国・対象課程・成績条件を照会します |
| 6〜10か月前 | 出願、Letter of Offer の受領 | 出願手続きを代行。複数校への出願も無料 |
| 4〜6か月前 | 学費の支払い、CoEの取得、OSHC加入 | 手続きの案内と、支払いスケジュールの整理 |
| 3〜4か月前 | GS(Genuine Student)ステートメントの作成、学生ビザ申請 | GS対策とビザ申請を全面サポート。建築は就学期間が長いため、5年(または7年)の計画をどう説明するかが問われます |
| 1〜2か月前 | 住居手配、航空券、渡航準備 | ホームステイ・学生アパートの手配、出発前オリエンテーション |
| 渡航後 | 現地生活の立ち上げ、学業 | 現地オフィスでのサポート、コース変更・延長、485ビザの相談 |
※上記は一般的な目安です。ビザの処理期間は国籍・ビザ歴・健康診断・資金状況・審査の混雑状況によって変わるため、「いつまでに申請すれば必ず間に合う」とはお伝えできません。余裕をもったスケジュールをおすすめします。
アンアルウェンの強みは、留学の申し込みだけで終わらない、出発前から進学後まで続く伴走型サポートです。
「手続きだけを代行するエージェント」ではなく、「留学という大きな挑戦を一緒に考え、現地でも支え続けるパートナー」であること。それが、私たちが他の留学エージェントに負けない一番の強みです。
学校選びや出願手続きはもちろん、進学で重要となるGS(Genuine Student)対策、学生ビザ申請もしっかりサポート。建築は5年(登録まで7年)の長期計画になる分野なので、その年数をどう説明するかが問われます。ここに時間をかけます。
オーストラリアには提携オフィスがあり、渡航後も学校生活や現地での手続き、困りごとを日本と現地の両方からサポートします。学士から修士への進学や、卒業生ビザ(485)の申請についてもご相談いただけます。
一人ひとりに十分な時間をかけるため、サポート人数を毎月12名様限定としています。建築はいまの学歴・成績・ポートフォリオの有無によって最適なルートが変わる分野です。画一的な案内ではなく、その方の状況に合わせて設計します。
紹介先を幅広く並べるだけではなく、スタッフが実際に学校へ足を運び、授業や校内の雰囲気を確認したうえで、厳選した学校を紹介しています。設計スタジオや工房の設備は、資料だけではわかりません。
2008年の設立以来、3,000名以上の留学を支えてきた経験と、オーストラリア留学に特化した専門知識を生かしてご提案します。学部から大学院へ進まれた方のサポート実績もあります。
費用や生活面の現実も率直にお伝えします。「学士だけでは認定の対象になりません」「実務の1年以上はオーストラリア国内でないと算入されません」「この大学は留学生向けの年額を公表していないので、いまは金額をお伝えできません」──言いにくいことも含めてお伝えするのが、私たちの仕事だと考えています。
アンアルウェンは、オーストラリア留学の専門エージェントです。学校選びから渡航後のトラブル対応まで、すべて無料でサポートします。学校へ直接申し込む場合と比べて、余分な費用は一切かかりません。
建築の学士を3年で卒業すれば、オーストラリアで建築家として働けますか?
働けません。ここがこのページで最もお伝えしたい点です。
AACAは公式資料に「オーストラリアでは、認定される資格は通常 Master of Architecture の学位である」「学士レベルの学位は認定されていない」と明記しています。3年の学士だけでは、建築実務試験(APE)への入口に立てません。
ただし、学士だけでも進める道はあります。Architectural Designer、BIMオペレーター、都市デザイン、インテリア、建設マネジメント、不動産開発など、「Architect」の名称を使わない職域です。「Architect」は州の建築士法で保護された名称なので、そこだけが登録の対象になります。
入学前に、5年(または7年)行くのか3年で切るのかを決めておいてください。
いくらかかりますか?
ルートによって変わります。授業料(定価)で計算します。
ルートA(QUTで通す):学士3年(43,300×3=129,900)+修士2年(44,700×2=89,400)=AUD 219,300。
ルートB(UNSWで通す):学士3年(公式掲載の総額 167,500)+修士2年(48,500×2=97,000)=AUD 264,500。
差は AUD 45,200、およそ452万円です。
これに生活費(学生ビザの財政要件は単身12か月で AUD 29,710)、OSHC(年 700〜900)、学生ビザ申請料 AUD 2,500(2026年7月1日改定)、そして模型材料・大判出力・3Dプリントといったこの分野固有の実費が加わります。5年間の総額の目安は AUD 370,000〜420,000、1豪ドル100円換算でおよそ3,700万〜4,200万円です。
ただし、これは定価です。グリフィス大学の20%減額(申請不要)やアデレード大学の25%枠が適用されると、この数字は下がります。まずは減額後の見積もりをお出しします。
日本の大学の建築学科を卒業しました。修士2年だけで登録まで行けますか?
修士に直接入れる可能性はありますが、そのあとに実務2年があります。合計4年です。
まず入学の可否について。QUTは「認定された3年制の海外建築学士+GPA 4.5相当+承認されたポートフォリオ」、UNSWは「国内で認定された建築の学部学位(または同等)+WAM 65以上」に加えて「海外の大学で修めた場合はポートフォリオの提出が必要」としています。同等性の判断は大学が行うため、日本の建築学科の学位が自動的に該当するとは限りません。
UTSには「過去8年以内に修了した建築の学士」という期限があります。卒業から年数が経っている方は、この条件のある大学とない大学を分けて検討する必要があります。
そして実務2年について。3,300時間のうち1,650時間以上をオーストラリア国内で積む必要があり、海外での実務は最大12か月分までしか算入できません。日本での実務経験が長くても、豪州国内での1年は省略できません。
まずは成績証明書とシラバス、そしてお手元にある作品データを拝見させてください。判定に必要な材料を整理します。無料です。
建築以外の学部を出ています。それでも目指せますか?
目指せますが、選択肢は限られます。
西オーストラリア大学(UWA)は公式に「建築を専攻した学士を持つ場合は2年、そうでない場合は最長3.5年」と記載しており、建築の学部専攻がなくても Master of Architecture に出願できる数少ない課程です。入学要件は学士+UWA換算の平均60%以上、英語はIELTS 6.5(各6.0)。ただしUWAは留学生向けの年額を課程ページに掲載しておらず、単位あたりの課金です。金額は個別に確認が必要です。
QUTにも「他分野の学位+オーストラリアの認定 Master of Architecture の1年目をGPA 4.5相当で修了」という経路が示されています。
もうひとつの選択肢は、学士3年からやり直すことです。年数はかかりますが、ポートフォリオを大学で作れるという利点があります。他分野出身の方にとって、出願用のポートフォリオをどう用意するかは実務的に最大の課題になるため、この点は無視できません。
ポートフォリオがありません。どうすればいいですか?
まず、どの大学がポートフォリオを求めているかを整理します。
公式に必須としているのは、UNSW(海外学位の場合)、UTS(建築プロジェクト3〜5件のPDF)、グリフィス大学(16ページ以内)、シドニー大学(ほとんどの出願者)、QUT(承認されたポートフォリオ)です。ディーキン大学はWAM 65以上なら不要で、WAM 55〜64の場合にポートフォリオ+志望理由書で審査という設計になっています。
つまり、成績が高ければポートフォリオを回避できる大学もあります。ここは戦略の分かれ目です。
作品を用意する場合、卒業設計や在学中の課題を再編集するのが一般的です。データが手元に残っているかどうかが、準備期間を大きく左右します。実務作品を使う場合は、守秘義務・著作権・自分の担当範囲の明示が論点になります。
「何を評価するか」「どの完成度が必要か」を大学は数値で公表していないため、こちらから合格ラインをお示しすることはできません。ただし形式面(ページ数・件数・含める図面の種類)は公式に明示されており、これは守るべき制約です。そこを外さない構成づくりからお手伝いします。
修士を出たあと、日本に帰って実務経験を積んでからAPEを受けられますか?
できません。ここは計画の要になる部分です。
AACAの規定では、ログブックの3,300時間のうち1,650時間以上(フルタイム約1年相当)をオーストラリア国内で積む必要があり、海外での実務は最大12か月分までしか算入できません。
したがって「豪州で修士を取り、日本で2年働いてAPEを受ける」という組み立ては成立しません。卒業生ビザ(485・修士コースワークで2年)で現地に残り、その2年で3,300時間を積む設計になります。
受け入れ先は自分で見つける必要があります。また、AACAは記録できる実務の場として「建築士の監督下にある設計事務所」「ビルディングデザイン事務所」「建設業の関連企業」「関連する政府機関」「自営(意思決定レベルで従事している場合)」を挙げており、建築士の監督下にない場合は Executive(意思決定)レベルの業務しか記録できません。就職先を選ぶ段階で、この違いを知っておく価値があります。
「就職できます」とも「難しいです」とも断定はできませんが、在学中のインターンやアルバイトから先を見据えて動くことが、実務的に重要です。
在学中のアルバイトは、実務時間として認められますか?
認められる場合があります。ただし条件があります。
AACAは「認定資格の修了前に、1年分の実務経験を記録してよい」としています。つまり在学中に設計事務所で働いた時間を、ログブックに入れられる可能性があるということです。
ただし、3,300時間のうち1,650時間以上は「修了後」でなければなりません。修了後の起算日は大学が発行する成績証明書に記載された日付とされています。
また建築士の監督下にない場合は、Executive(意思決定)レベルの業務しか記録できません。Observer(観察)・Participant(参加)レベルの経験は、監督下でなければ認められません。
学生ビザでの就労は就学中は2週間あたり48時間まで、長期休暇中は制限なしです(「週20時間まで」は古い情報です)。設計スタジオの課題は時間を取るため、シフトの組み方は現実的に考える必要があります。ただしこの分野では、在学中の事務所経験がそのまま登録への時間になり得るため、時給だけで選ばないほうがよい局面です。
オーストラリアで建築を学べば、日本の一級建築士になれますか?
認定を受ける枠組みは存在しますが、自動的に受験資格が得られるわけではありません。
日本の建築士法では、外国の大学等を卒業した方が学歴要件を用いる場合、「建築士法において学歴と認められる学校の卒業者と同等以上であることを証する書類」の提出が求められ、受験申込後の受験資格審査(国土交通大臣の認定)で受験の可否が判断されます。審査では履修した建築系の科目について、授業内容や成果が、日本の指定科目と同程度であるかをひとつずつ確認します。書類が提出されない場合は「受験資格なし」と判断される場合があるとされています。
ただし、「この大学のこの課程なら通ります」とは、こちらから申し上げられません。判断は個別の履修内容にもとづき、所管の大臣が行うものです。エージェントが結果を保証できる性質のものではありません。
本気で目指す場合は、渡航前に日本側の指定科目を確認したうえで履修計画を立ててください。あとから科目を追加するのは困難です。シラバス・成績証明書・履修時間の記録は、在学中から保管しておいてください。
カーティン大学のオンライン修士は、日本にいながら受けられますか?
制度上は受けられますが、学生ビザの対象にはなりません。
AACAの認定一覧には、カーティン大学がOpen Universities Australia(OUA)を通じて提供する Master of Architecture(OM-ARCH・OW-ARCH)が掲載されています。認定課程であることは事実です。
ただしオンライン専用の課程は学生ビザの対象になりません。渡航して学ぶ場合は、パースキャンパスで対面提供される MC-ARCH を選ぶことになります。同じ大学の同じ名前の課程でも、ビザの扱いが違います。
さらに重要な点として、オンラインで修士を取っても、APEに進むには3,300時間のうち1,650時間以上をオーストラリア国内で積む必要があります。日本にいながら登録まで完結する設計にはなっていません。就学と実務、どちらの段階でオーストラリアに滞在するのかを、最初に決めておいてください。
アデレード大学は、いま出願しても大丈夫ですか?
出願できますが、認定の状況を確認したうえで進めてください。
2026年に旧アデレード大学とUniSA(南オーストラリア大学)が統合し、アデレード大学になりました。AACAの認定一覧では、旧University of Adelaide の M Arch(3CM015)と University of South Australia の M Arch(DMAE)は「2026年12月まで」、統合後のアデレード大学 M Arch(MAARC)は2026年からと記載されています。
また、旧課程の在学生向けに YMAAL というティーチアウト用の暫定認定課程が設定されており、AACAは「2025年12月31日時点で在籍していた学生が修了または退学するまでの期間、認定される」としています。
これから出願する方は、新課程(MAARC)が対象になります。2026年の留学生向け年額は AUD 50,500、入学は2月と7月、英語はIELTS 6.5(各6.0)。なお、留学生はパートタイム就学ができない旨が公式に記載されています。出願時点でどの課程コードに紐づくかは、学校に確認のうえお伝えします。
エージェントを通すと費用は高くなりますか?
いいえ。アンアルウェンのサポートはすべて無料です。学校へ直接申し込む場合と、支払う学費は変わりません。学校選び、出願書類、GS(Genuine Student)ステートメント、学生ビザ申請、住居手配、渡航後のサポートまで、追加費用なしでご利用いただけます。
この分野の場合はこれに加えて、AACA認定の有無とコース番号の照合、ポートフォリオの形式要件の整理、留学生向け年額が非公表の大学への照会、減額制度の対象国・対象課程の確認、そして卒業後2年の実務まで見据えた都市選びまでサポートします。特に「留学生向けの年額を公表していない大学」は複数あり、定価を知らないまま比較すると判断を誤ります。
なお、学校が定める出願料は、エージェント経由・直接申込を問わず学校に支払うものです。
建築と近い分野、あわせて検討される方が多いページをまとめました。
「空間や造形をつくりたい」という動機が近い分野です。グラフィック、プロダクト、インテリア、UI/UXなど。建築のような国家的な登録制度がないぶん、資格までの年数という制約から自由です。
設計ではなく、建てる側から建築に関わる道。大工、れんが積みなどの職業訓練課程は1〜2年で現場に出られます。ただし1年課程では卒業生ビザ(485)が取れない点は知っておいてください。
建築の環境性能・サステナビリティに関心があるなら、こちらも比較の対象になります。Engineers Australia の認定は、同じ大学内でも課程によって認定・暫定・非認定が混在する点が、建築のAACA認定と似た構造です。
都市と環境の関係から建築を考えたい方へ。環境系3職種はMLTSSLとCSOLの両方に掲載されており、永住ルートという観点では建築と近い位置づけです。
シドニーの研究大学。Bachelor of Architectural Studies から Master of Architecture まで1校で通せます。M Arch + M Property Development という併修修士もAACA認定。コース構成と奨学金の条件をまとめています。
ブリスベンの実務志向の大学。学士 AUD 43,300/修士 AUD 44,700 と、主要都市の大学のなかでは学費が抑えられています。学士+修士を5年で通す課程もあります。
ゴールドコースト。修士の年額 AUD 42,000 は今回比較した中で最も低く、さらに20%減額(申請不要・GPA 4.5/7)が乗ります。学士+修士の5年一貫課程もAACA認定です。
パース。建築の学部専攻がなくても Master of Architecture に出願できる(最長3.5年)数少ない大学です。他分野からの転向を考えている方は、まずここを確認してください。
7年の道のりを、最初に地図にしておきませんか。
いまの学歴と作品から、現実的なルートを組み立てます。
「日本の建築学科の単位は認められる?」「ポートフォリオがないけれど出願できる?」「卒業後、本当に現地で就職できる?」
この分野は、入口の選択が5年後・7年後の選択肢を決めます。だからこそ、最初に全体像を持っておく価値があります。無料相談・無理な勧誘は一切ありません。
※サポートは毎月12名様限定です。お早めにご連絡ください。